2018年9月19日水曜日

第28回学習会 日本の難民問題と入管問題

第28回学習会 日本の難民問題と入管問題



 「難民申請者の99%以上を受け入れず「難民鎖国」と呼ばれる日本。
 帰国できない事情をもつ外国人を、無期限に収容し、精神的な拷問にかける日本の入国管理局。

 日頃、市民に「人権」を啓発する法務省のもとで生じている実態です。

 何が起きているのか。どうしてそうなるのか。
 入管収容者との面会や抗議活動の経験をもとに報告します。

【参考】日本の難民条約加入
 ベトナム戦争によるインドシナ難民大量流出 を契機に1981年に「難民条約」1982年に「難民議定書」に加入。同年1月1日から同条約・議定書ともに発効。導入から2017年までの難民申請数は60674件、うち、難民と認定されたものは708件、難民と認定しなかったものの、人道上の配慮を理由に在留を認めたものは2588件となっている。(外務省HPより)
8月30日の人種差別撤廃委員会による勧告をはじめ、国連の各委員会から懸念と改善が求められている。

*チラシのダウンロードはこちらから!

◆講師:SYI(収容者友人有志一同) 織田朝日さん/柏崎正憲さん

◆日時:2018年10月19日(金) 18:30~20:30

◆会場:連合会館 5F 501会議室(千代田区神田駿河台3-2-11)
https://rengokaikan.jp/access/

千代田線・新御茶ノ水駅 B3出口(徒歩0分)
丸ノ内線・淡路町駅 B3出口(B3出口まで徒歩5分)
都営新宿線・小川町駅 B3出口(B3出口まで徒歩3分)
JR中央線/総武線・御茶ノ水駅聖橋口(徒歩5分)

◆参加費:500円

◆主催:「国連・人権勧告の実現を!」実行委員会

-E-mail:jinkenkankokujitsugen@gmail.com
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2018年8月24日金曜日

第27回学習会 「国内人権機関・個人通報制度」は、日本でなぜできないのか?


第27回学習会 
「国内人権機関・個人通報制度」は、日本でなぜできないのか?



 国連の様々な人権機関から日本政府に対し、設置と導入を強く求められているものが2つあります。それは「国内人権機関」と「個人通報制度」です。

 この2つは、人権に関する世界基準として、各国の人権を保障するために欠かすことのできないものです。「国内人権機関」は、人権侵害の救済と人権保障を推進する、政府から独立した機関です。「個人通報制度」は、個人が裁判などでも人権侵害の救済がされない場合に、各条約の人権機関へ通報して勧告が出される制度です。

 日本政府は、これまで何度も勧告で指摘されているにも関わらず、長年「検討中」と繰り返すのみです。2013年に安倍政権は「国連の人権勧告に従う義務なし」と閣議決定し、強い抗議の声が上がりました。2020年の東京オリンピックを前に小池都知事は、「いかなる種類の差別も禁止」したオリンピック憲章に基づく条例を検討中ですが、現状は形だけで中身の伴わない条例案に留まっています。

 私たち「国連・人権勧告の実現を!」実行委員会は、これまで多くの人権団体と協力し、多方面に渡る学習会を開催してきました。どの学習会でも、いまの日本の人権状況を改善するためには、「国内人権機関」の設置と「個人通報制度」を導入する必要性が確認されています。

 今回の学習会では、国際人権法の専門家であり本テーマを長年にわたり研究してこられた寺中誠さんに、詳しくお話を伺います。みなさま、ぜひ奮ってご参加ください。

*チラシのダウンロードはこちらから

◆講師:寺中誠さん(東京経済大学現代法学部教員)

◆日時:2018年9月7日(金) 19:00~21:00

◆会場:阿佐谷地域区民センター 2F 第6集会室

阿佐ヶ谷駅南口より徒歩2分(杉並区阿佐谷南1-47-17)
http://www.city.suginami.tokyo.jp/shisetsu/katsudo/center/1006943.html

◆資料代:500円

◆主催:「国連・人権勧告の実現を!」実行委員会

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2018年6月7日木曜日

第26回学習会の報告


「国連・人権勧告の実現を!」第26回学習会

2018年5月31日


 「婚外子差別を国連に訴えて」というテーマで、「なくそう戸籍と婚外子差別・交流会」の田中須美子さんに講演をしていただいた。以前から、男尊女卑、家制度に疑問を持っていた田中さんは、1973年にパートナーと非婚で共同生活を始めた。生まれた子どもが、「摘出でない子」として住民票や戸籍の続柄で差別記載されたため、1988年に住民票続柄裁判をはじめに、1999年には戸籍続柄裁判も起した。地道に根気よく、裁判闘争をしながら国連に訴えるという国際的な運動としてこの運動を続けられた。30年に及ぶ運動を1時間半でお話しいただいた。内容が豊富で広範囲で時間が足りなかったと思う。
以下講演内容を簡単にまとめる。

 まず住民票続柄差別記載の撤廃を求めて裁判を起こした。一方の姓の放棄、嫁扱い、性別役割の強制などに疑問を持ち、婚姻届を出さなかった。子どもが生まれると「子どもが可哀そう」という周囲の非難と共に、出生届、住民票の続柄差別記載、戸籍の続柄差別記載で子どもが法律で差別された。「嫡出子」「嫡出でない子」と分けて、婚外子を法律で差別していることは、憲法第14条の法の下の平等違反であり、憲法13条24項の個人の尊重・個人の尊厳保障への違反である。これは人権侵害だ。そういう主張から裁判を起こした。

 1995年に住民票続柄差別の撤廃。1998年には父認知による児童扶養手当打ち切り撤廃。2009年に国籍上の差別撤廃。2013年に民法相続差別規定の撤廃と改善が行われてきた。
しかし、今なお、出生届で「嫡出子」かどうかチェックされ、戸籍の続柄で婚外子と一目でわかる差別記載がされたままなど戸籍法、民法上、所得税法などで11項目にわたる差別は残っている。

 国内で裁判を行うと同時に、国連への働きかけも行った。1989年に国連自由権規約委員会から「婚内子・婚外子の差別」の問題でゼネラルコメントが出た。1990年には、子どもの権利条約作成の中心人物であるアダム・ロパトカさんから「婚外子差別」問題でメッセージが出された。1991年の裁判判決で「婚外子記載には合理性がある。国連人権規約に反しない」との総括所見が出された。

 そこで1992年から国連自由権規約に訴える行動を起こした。1993年に、国連人権規約委員会は、「婚外子に対する日本の法律を改正し、差別的条項を削除するよう勧告する」と出した。この結果、1994年に住民票の続柄差別記載が撤廃され、世帯主との続柄はすべて「子」と統一された。1995年に高裁で婚外子問題について「プライバシー侵害」「法の下での平等違反」という判決が出た。

 1998年5月には、子ども権利委員会日本審査で委員全員が婚外子差別問題と条約の整合性なしと指摘し、日本に改善を求めた。1998年10月には、自由権規約委員会からも婚外子差別で「社会的偏見」を生むなどの指摘があった。

 2003年には女性差別撤廃委員会に「婚外子差別は同時に非婚で子どもを産む女性への差別である」と訴えると、過半数以上の委員が「母子双方への差別である」と日本に撤廃を求めた。2013年に最高裁法廷で民法相続差別規定は憲法違反であると裁判官11人全員一致で決定した。これは10回にも及ぶ勧告の効果でもある。婚外子差別法制度の最大の根拠だった相続差別規定はなくなったが、その他の法的差別は残っていることから、2014年に自由権規約委員会、2016年に女性差別撤廃委員会へ改めて訴えた。 
 
 国連勧告の効果としては、裁判で勧告を活用し判決に反映してきたこと、地方議会に対し婚外子差別に関する陳情に効果があったことである。すでに10の地方議会で意見書や要望者などが国に出されている。これまで国連からの勧告は11度にわたっている。今後も差別撤廃の訴えを続けるつもりである。差別をなくすために家族登録簿である戸籍制度を廃止し、個人登録制度に変えていった方がよい。

 以上質問に答える形でお話になった分も一緒にまとめたが、30年にわたる持続力と信念の確固さに敬服した学習会だった。

2018年3月25日日曜日

第26回学習会 婚外子差別を国連に訴えて

第26回学習会 婚外子差別を国連に訴えて


 2013年9月4日最高裁大法廷は、「婚外子の相続分は婚内子の2分の1」とした民法の規定を憲法違反と決定しました。1993年以来、国連の人権条約の各委員会から計10回にもわたって条約違反の指摘と法改正の勧告がなされ、婚外子の相続差別を残す国は、インド・フィリピンなどごくわずかという有様でした。

 勧告されたのは、相続の問題だけではありません。出生届の差別記載(嫡出子か否か)や「嫡出でない子」という差別的用語と概念の廃止、婚外子とその母を社会的差別から保護することなども求められていますが、無視されたままです。相続差別規定の廃止は、婚外子差別撤廃の入口であって出口ではないのです。

 田中須美子さんは、住民票や戸籍の続柄差別裁判を闘うなど、婚外子差別撤廃の活動を中心的に担い自由権規約委員会や女性差別撤廃委員会へのロビー活動なども行ってきました。婚外子差別の国際的現状、国内におけるこの間の成果と残された課題について伺います。ご参加お待ちしています。

*チラシのダウンロードはこちらから!

◆講師:田中須美子さん(なくそう戸籍と婚外子差別・交流会)

◆日時:2018年5月31日(木) 18:30~20:30

◆会場:スマイルなかの 4階 多目的室
中野駅北口より徒歩7分(中野区中野5-68-7)

◆資料代:500円

◆主催:「国連・人権勧告の実現を!」実行委員会

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2018年3月24日土曜日

第25回学習会の報告

「戦後日本で暮らした宋神道(ソン・シンド)さんの人生と「日韓合意」」
講師  梁澄子さん

 2つの大きなテーマを90分で語っていただくのはかなりの無理な要求だが、梁さんは早口ながら、説得力ある語り口でこなしてくれた。全体を大きな8項目で整理したので、その項目に従って、概略を報告する。

1.宋神道さんとの出会い

 韓国では1988年にキーセン観光に反対するセミナーで尹貞玉さんが初めて「慰安婦」について講演。1990年に挺対協が発足。1991年に金学順(キム・ハクスン)さんが慰安婦であったことを名乗り、同年金さん含めた訴訟が開始。92年に4団体で「慰安婦110番」が設立され、宋さんの情報が届けられた。すぐに川田文子さんが宋さんを訪問。少し遅れて梁さんも面会。

 そのときの強烈な印象が忘れられない。「お前は朝鮮人か。俺は朝鮮人は嫌いだ。~~」の毒舌の中に自分を試していた宋さんの本心が見え、この人は人の本質を見抜く力を持った人だと思い、のちに95歳の生涯を看取るまでの付き合いが始まった。

 やがて、東京で宋さんを囲む会が持たれ、「在日の慰安婦裁判を支える会」が結成される。残念ながら裁判には負けてしまったが、宋さんは裁判を通して信じられる支援者と出会い、幸せだと語る。「裁判には負けたが俺の心は負けてない。」は有名な言葉で映画のタイトルにもなった。そして宋さんはいつも「戦争は絶対にやっちゃいけない。」と言っていた。

 支援者たちとの交流が進むも、2011年の東北大震災の時に女川にいた宋さんは行方不明になってしまい、支援者たちは必至で探し、避難している宋さんと再会できた。その後、東京に転居し、見守られながら最後は施設で95歳の生涯を閉じた。

 2、活動を通して被害回復をした日本軍「慰安婦」サバイバーたち

 今、話題になっている「少女像」は「平和の碑」として2011年に水曜デモ1000回記念として建立。少女像・おばあさんの影・椅子・碑文の4点合わせて「平和の碑」と言う。

 碑文には「~その崇高な精神と歴史を引き継ぐため、ここに平和の碑を建立する。」とある。

 また、2012年に設立された「ナビ基金」は日本政府から賠償金が出たら、今も戦時下で被害にあっている女性たちに全部あげたい。」という金福童(キン・ボクトン)さんと吉元玉(キル・ウォノク)さんの思いが作らせたもので、コンゴの性暴力被害者やベトなム戦争時に韓国兵によって性暴力を受けた女性と子どもたちへの支援などに生かされている。そして、「米軍慰安婦」との交流や訴訟支援も開始された。

3、「日韓合意」直後の韓国の被害者と市民の反応

 2015年12月28日突然行われた日韓合意に対して、被害者たちは、「ハルモニたちのためにと言う考えがないようだ。日本は真に罪を認定し、法的な賠償と公式な謝罪をすべきだ。私たちの名誉と人権を誰が踏みにじったのか。ハルモノたちに一言の相談もせずに妥結など納得いかない。」と厳しい発言が続いた。

 合意発表直後、挺対協は失望感で放心状態だったが、発表直後の水曜デモでは市民の怒りが爆発し、「少女像を守る大学生行動」が提起され今も日本大使館の前で座り込みが続いている。そして各大学からの抗議声明も続き、32自治体の首長たちが「平和の碑」建立を支持する全国連帯結成、日韓日本軍「慰安婦」合意無効と正義の解決のための全国行動(全国行動団体500参加)ハルモニたちの国連各人権委員会への合意の問題点を知らせる嘆願書提出、全国行動主催の2000人集会など、市民たちは怒りの行動を続けた。

 そして、2016年、「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶財団」が発足し、翌2017年に「希望のたね基金」が日本で設立された。この希望のたねツァーでは若者の参加を支援、参加者は本当のことを知らなかった、と感想を述べ、5月に報告会を開催予定。

4、日韓合意の何が問題なのか

○合意の内容

 ①日本政府は「当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた」「責任を痛感」し、安倍首相は内閣総理大臣として「心からお詫びと反省の気持ち」表明。

 ②韓国政府設立財団に日本政府予算で10億円支出し、元「慰安婦」すべての「名誉と尊厳の回復、心の癒しのための事業」を行う。

 ③両政府は②の措置が着実に実施されることを前提に「慰安婦」問題が「最終的かつ不可逆的に解決されることを確認」し、今後、国連等国際社会において、本問題について互いに批判することを控える。

 ④韓国政府は、在韓日本大使館前の「平和の碑」に関して、「適切に解決されるよう努力する。」

○合意の問題点

 ①被害者不在の合意。

 ②8か国の被害者・支援者の総意で作成提出した「日本政府への提言」(2014年)は全く反映されず。

 ③金福童さん「日韓合意が一番悪いのは、歴史を売ったこと。」

 ④代読謝罪であり、賠償ではない。

 ⑤真相究明、再発防止措置に触れず。

 ⑥重大人権侵害問題に「最終的・不可逆的解決」はありえない。

 ⑦韓国以外の被害者に考慮なし。

5、日韓合意後の日本政府の言動

 2016年1月の国会答弁から2017年の2月外務省統一見解まで、日本政府は次のような見解を述べている。

 ・請求権は1965年に解決済み。

 ・強制連行を示す記述は見当たらないという立場は不変。

 ・慰安婦強制連行の見方は、吉田清治氏の虚偽発表を朝日新聞が大きく報道。

 ・10億円は賠償と受け取られないよう、医療・介護・葬儀関係費・親族の奨学金などを想定して現金支給。これで、日本側の責務は完了。

・「慰安婦」被害者への総理のお詫びは毛頭考えていない。

・安倍総理が「日本は義務を実施、10億円拠出しているのだから、次は韓国が誠意を示すべき。(平和の碑関連)

・「平和の碑」は外務省が「慰安婦像」で統一する方針。

・安倍総理の「まるで振り込め詐欺」発言で韓国側猛反発。10億返そう。

6、韓国政府による合意検証と新方針

 2017年文政権発足。外相直属の「韓・日 日本軍慰安婦被害者問題合意検討タスクフォース(TF)発足。

  TFは検討の結果、非公開部分で日本政府が挺対協の説得や海外に慰霊碑等の建立不支持、性奴隷と言うことを使わない、日本側が「最終的」の他に「不可逆的」を要求。「被害者中心アプローチ」を重視、被害者の受け入れがない限り、問題は再燃する、などを発表した。韓国の運動体はすでに支援金を受け取った人も等しく被害者として、これまで同様の支援を続けている。

 国連人権専門家たちの認識として、CEDAWが「日韓合意は被害者中心のアプローチを採用していない。サバイバーの見解を考慮し、彼女たちの真実・正義・被害回復に対する権利を保障すべきと勧告。ほかに、ザイド・フセイン国連人権高等弁務官や国連人権専門家共同声明でも同様の見解が出されている。

2018年康京和外相が韓国政府の新方針を発表。 

  ・日本政府が拠出した10億円は韓国政府の予算で充当。

  ・再交渉は求めない。

  ・日本が自発的に、国際的な普遍基準に則って、真実を認め被害者の名誉と尊厳の回復と心の傷の癒しに向けた努力を続けることを期待。

 ○金福童さん「日韓合意が解体と理解。韓国が返すお金を受け取れないならきちんと謝罪して、そのお金を賠償金だと言えばいい。」

7、韓国政府の新方針に対する日本の反応

 ○日本政府

 ・1ミリたりとも合意を動かす考えはない。(菅官房長官)

 ・意味がわからない。韓国大使館の公使を呼び厳重抗議(外務省)

 ・国と国との約束を守ることは国際的かつ普遍的な原則。韓国側が一方的にさらなる措置を求めることは、全く受け入れることはできない。(安倍総理)

○ メディア

 ・理解に苦しむ。納得しがたい。合意の根本を傷つけた。外交常識に外れ、非礼。
 わかりにくい対応。 
  など、沖縄タイムズ・毎日・朝日・読売・産経などほとんど


8、最近の韓国政府の見解

 2018年2月国連人権理事会の定例記号での康外相の発言
 被害者中心のアプローチが欠如していた。被害者たちの傷を癒し、尊厳と名誉を回復するために、被害者や家族市民団体と協力して、過去の過ちが繰り返されないよう、現在と未来の世代が歴史の教訓を学ぶことが重要。

 2018年3月1日の文大統領演説
 加害者である日本政府が「終わった」と言うべきではない。不幸な歴史ほど、その歴史を記憶し、その歴史から学ぶことが真の解決。日本は人類普遍の良心を持って、歴史の真実と正義に向き合わなければならない。日本が苦痛を与えた隣国と真に和解し、平和共存と繁栄の道を共に歩むことを望む。

 日本政府はこうした韓国側に対して、日韓合意は国と国との約束。責任を持って実施すべき。性奴隷と言う言葉は事実に反するので使うべきではないと確認。慰安婦の強制連行と言う見方は虚偽の事実捏造を大手新聞社が事実のように報道したことから始まった、などの見解を出している。


最後に

 日韓合意のことは宋さんに伝えることができなかった。すでに高齢で認知症の症状が出ている宋さんを安らかに見送りたいと思った。2017年12月16日に95歳の生涯を閉じた宋さんを韓国の若者が空港で待っていてくれた。そして天安(チョナン)にある望郷の丘に埋葬し、宋さんはやっと故郷に帰れた。2018年の2月に行ったお別れの会には200人もの人が参列した。宋さんが亡くなって以来、「ごめんね。と言う言葉しかかけられないでいたが、お別れ会の最後に遺影に向かって出た言葉は「宋さん、良かったね。」だった。
  
  出会いから最後まで、深い付き合いのあった宋さんと支援者の皆さんの人間的な交流の重みと温かさを伝えていただく学習会だった。
 
 
 

2018年3月8日木曜日

第25回学習会 戦後日本で暮らした宋神道(ソン・シンド)さんの人生と『日韓合意』

第25回学習会 戦後日本で暮らした宋神道(ソン・シンド)さんの人生と『日韓合意』




 2017年12月19日、宋神道さんが95歳で逝去されました。宋神道さんは日本軍「慰安婦」にされた朝鮮人女性で、16歳から7年間、中国の慰安所で苦しくつらい日々を過ごし、戦後日本に来られました。

 1993年、日本政府に謝罪と損害賠償を求め提訴しましたが、2003年に最高裁で敗訴が確定し、やりきれない思いを抱えて宮城で生活されていました。2011年3月の東日本大震災ですべてを奪われ、東京へと移住します。

 宋さんと暖かい交流を続けてきた梁澄子(ヤン・チンジャ)さんが中心となり作られた映画『オレの心は負けてない』での宋さんの姿は、ユーモアと皮肉、深い思いに溢れ、多くの人々の気持ちを強く揺さぶりました。

 さて、2015年12月末、「慰安婦」問題をめぐる「日韓合意」が突如締結されましたが、それは被害者抜きの「解決」でした。日本政府が拠出した10億円も、賠償や謝罪としてのものではありません。国連の拷問委員会でも、韓国政府に合意の見直しが勧告されています。
 
 韓国では人々の力で朴政権が倒れ、「日韓合意」の検証を経て、文大統領は「(被害者の)意志に反する合意だった」と謝罪しています。韓国政府は、国際基準に則り真実を認め、名誉と尊厳の回復、傷心を癒やす努力、自発的な謝罪などを促す新方針を発表しましたが、日本政府は「全く受け入れられない」と開き直り、メディアの多くも追随しています。
 
 戦時性暴力の被害当事者不在の「合意」は、「合意」でも「解決」でもありません。
 
 いま改めて、宋神道さんの人生と「日韓合意」について、梁澄子さんにお話を伺いたいと思います。多くの方のご参加をお待ちしています。
 
*チラシのダウンロードはこちらからどうぞ!

◆講師:梁澄子(ヤン・チンジャ)さん
(日本軍「慰安婦」問題解決全国行動共同代表/希望のたね基金代表理事)

◆日時:2018年3月23日(金) 18:30~20:30

◆会場:連合会館 5F 501会議室(千代田区神田駿河台3-2-11)
http://rengokaikan.jp/access/

千代田線・新御茶ノ水駅 B3出口(徒歩0分)
丸ノ内線・淡路町駅 B3出口(B3出口まで徒歩5分)
都営新宿線・小川町駅 B3出口(B3出口まで徒歩3分)
JR中央線/総武線・御茶ノ水駅聖橋口(徒歩5分)

◆参加費:500円

◆主催:「国連・人権勧告の実現を!」実行委員会

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2018年3月4日日曜日

第24回学習会の報告

第24回学習会の報告

UPRの対日審査って何? 各国から日本への人権勧告
~国連人権理事会の普遍的・定期的審査~

日時 2018年1月29日(月)18:30~21:30
会場 スマイルなかの 4階 多目的室
講師 北村聡子 弁護士(日本弁護士連合会・国際人権問題委員会 副会長)

1、UPRとその意義

 国連のUPR(Universal Periodical Review=普遍的・定期的審査)は、国連の人権機構改革の一環として2008年からスタートした、国連の人権制度の中では比較的新しい制度である。

 その最大の特徴は、193の国連加盟国がお互いに被審査国・審査国になり相互審査を行うという点にある。人権条約機関による条約審査の場合、その分野の専門家による「絶対評価」である。一方UPRは相互審査のため、自国でやっていないことは、他国にも言えないという意味で、「相対評価」の部分がある。その結果UPRの勧告を見れば、被審査国が他国に比べて劣っている分野があぶり出されることになり、それがUPRの特徴と意義である。

 審査の過程は、①被審査国とNGOがOHCHR(人権高等弁務官事務所)に報告書を提出。②国連理事会のUPR作業部会での審査と結果文書採択。審査時間は1か国3時間30分で、被審査国と国連加盟国の対話で行われる。この審査ではNGOは発言出来ない。③最終的に次回の国連理事会で、被審査国は、勧告に対する態度表明を行う。4年半ですべての国が審査される。

 審査のための基礎資料は、①被審査国の政府報告書、②OHCHR作成の条約機関・特別手続等の国連文書要約、③OHCHR作成の国連のNGO等から提出された情報の要約である。

 審査基準は、国連憲章、世界人権宣言、人権条約、国際人道法などである。

2、これまでのUPR日本審査と政府回答

 第1回が2008年に行われ、26件の勧告が出た。

 第2回は、2012年に行われ174件の勧告が出た。第2回の日本への勧告は、その数の多い順から「未批准条約・議定書の批准」「死刑」「女性差別」「DV、人身取引」「差別」「刑事拘禁」などであった。

 それに対する政府の回答は、「フォローアップすることに同意する」118件(68%)。「部分的にフォローアップすることに同意する」7件(4%)。フォローアップすることに同意するという回答は、単にフォローアップするというだけで、勧告を実現するという意見表明ではなく、「留意する」に近い。他国でこのような回答をする国は、調べた限りなく、日本政府独特の回答である。さらに「受け入れない」26件(15%)。「その他」23件(13%)で、その他は事実上受け入れないことである。こうしてみると、日本政府の態度は、ほとんどの勧告に対して実現しようとする姿勢が見られない。

 他の国と比較してみる、例えば韓国は、70件の勧告に対して「完全に受け入れる」が42件(60%)である。フィンランドは77%、インドは49%、イギリス69%、南アフリカは90%が、勧告を「受け入れる」と政府が回答している。

3、第3回UPR日本審査勧告の特徴

 第3回は、2017年3月にNGOが報告書を提出。審査を前にした10月、日本から多くのNGOがジュネーブに行き、プレセッションや各国のジュネーブ代表部へのロビーイングを行った。日弁連、グリーンピースジャパン、IMDAR(反差別国際運動)、沖縄国際人権法研究会、全国精神病者集団の5つのNGO は、UPR主宰のプレセッションでステートメントを読むことが許された。ロビーイングのポイントは、具体的な勧告案を示すこと、根拠となる正確で具体的な情報を提供することである。

 11月、人権委員会のUPR作業部会で審査が行われ、結果文書が採択され、246件(一つの勧告に複数国がかかっている場合それぞれカウント)の勧告が出た。前回に比べ数が増え、しかも具体的な内容の勧告が増えたのが特徴である。NGOの積極的な働きかけの結果と思われる。

 勧告の内容は(人によって分類方法に違いがあるため数は絶対ではないが)、差別関係66件、条約・選択議定書の批准31件、国内人権機関31件、死刑29件と続く。差別の内容は、女性、人種、LGBT等に関するものである。人種差別に関する勧告には、差別禁止法の制定を求める勧告が増え、ヘイトスピーチに言及した勧告、朝鮮学校高校無償化に関する勧告が新たに加わった。また福島、障がい者に関する勧告も増えた。さらに新たなものとして、ビジネスと人権、メディアの独立性、核兵器・被爆者に関する勧告がある。
UPRの相互審査であぶりだされた、日本が国際水準に比べ遅れている分野は、国内人権機関(120ケ国以上に存在)、個人通報制度(自由権規約について116ケ国が批准)、死刑制度(多くの国が廃止もしくは執行停止)、女性差別(ジェンダーギャップ指数は144ケ国中114位)、人種差別(38ケ国中37位、2015年Migration Integration Policy )である。また日本独自の問題が生じている分野として、メディアの独立、原発、被爆者等についての勧告も出た。

 これらの勧告に対し、今年3月に日本政府は態度表明をしなければならない。

4、UPRの課題と、私たちがしすべきこと

 UPRの勧告を日本国内で実現させていくことは、大きな課題である。政府はUPRにあまり重きを置いていないように思える。UPRの勧告は、出ただけで満足してはならず、政府・立法府へ働きかけの「きっかけ」として活用しなければならない。またメディアに働きかけ、まだマイナーなUPRを知ってもらい、世論を動かし、政府の意識改革を迫っていく必要がある。

 UPRの勧告は立法府に向けられているものも多く、行政府だけではなく、個々の国会議員へ丁寧な説明を行い、立法府に働きかけていく必要もある。実際、UPR審査に国会議員を連れていく国も増えている。国会も野党だけではダメで与党への働きかけも必要であり、日弁連ではいま、与党にも働きかけている。

 日本は国連から言われることにすごく反発する。以前は、国際連合を脱退して第2次世界大戦に突入した。安倍政権下、政府主導で進むいまの政治は、そこに戻っていくようで恐ろしい。ナチス政権の時、他の国は何も言えなかった。それに対し他の国も言えるようにというのが、UPRの制度でもある。

 北村弁護士の講演を聞いて、参加者は改めてこの会そのものが、「国連の勧告は実施する必要がない」という安倍政権の閣議決定に怒って発足した原点を確認。UPR勧告の実現にむけて、今後いっそう、国会・国会議員や、内閣府、外務省など各行政省庁に積極的に働きかけて行かなければとの思いを強くした。
 

2018年1月29日月曜日

第24回学習会 UPRの対日審査ってなに?各国から日本への人権勧告  ~国連人権理事会の普遍的・定期的審査~

UPRの対日審査ってなに?各国から日本への人権勧告
~国連人権理事会の普遍的・定期的審査~



 2017年11月、国連人権理事会で日本に対する第3回目の普遍的・定期的審査(UPR)が行われました。前回(2012年)の審査では、世界79の国・地域から日本に対し174の人権勧告がありました。第3回目となる今回は、前回を上回る106の国や地域から218にのぼる勧告が出され、その後の作業部会で報告書案として採択されています。

 主な勧告だけでも、日本軍「慰安婦」への謝罪と補償、朝鮮学校の「高校無償化」、障害者権利条約の履行、包括的な差別禁止法や国内人権機関の設立、アイヌ民族及び琉球・沖縄の人々の社会・経済・文化権等の権利の保障、移住労働者権利条約の批准、外国人技能実習制度の改善、特定秘密保護法や報道の自由への懸念、死刑制度廃止、原発事故避難者への支援継続、個人通報制度の批准、刑事手続きや被拘禁者の処遇改善など、とても多岐にわたります。そして日本は、前回・前々回の勧告をほとんど実施していないという指摘もされています

 日本政府は、2018年3月に開かれる人権理事会までに、各国から出された勧告を受け入れるかどうか、その可否を表明する予定です。私たちは日本政府に対し、これらの人権勧告を受け入れ、この日本における人権侵害状況を速やかに改善するように強く求めます。
 
 今回の学習会では、この国連人権委員会の普遍的・定期的審査(UPR)について、日本弁護士連合会の国際人権問題委員会副委員長として尽力されている、北村聡子弁護士を講師に迎えお話をしていただきます。
 
 このような形でUPRについての話を伺える事はあまりなく、今回は貴重な機会ですので、ぜひ皆さま奮ってご参加ください。

◆講師:北村聡子さん(弁護士/日本弁護士連合会・国際人権問題委員会副委員長)

◆日時:2018年1月29日(月) 18:30~20:30

◆会場:スマイルなかの 4階 多目的室
中野駅北口より徒歩7分(中野区中野5-68-7)

◆資料代:500円

◆チラシのダウンロードはこちらからどうぞ!

◆主催:「国連・人権勧告の実現を!」実行委員会