2020年12月7日月曜日

【映像配信】第8回 国連・人権勧告の実現を! ~国際人権基準からみる日本のコロナ対策

みなさま、


 この度、第8回「国連・人権勧告の実現を!」集会はコロナ感染拡大のため、急遽、オンラインでの開催と致しました。
 しかし、ZOOMからYoutube中継への配信がうまくいかず、開催時刻が大変遅れてしまいました。そのため、中継をご覧になっていない方もいらっしゃると思います。
 映像を編集したものをアップしましたので、ご都合の良いとき、ご覧になっていただけると幸いです。

        「国連・人権勧告の実現を!」実行委員会

 
 
第8回 国連・人権勧告の実現を!
~国際人権基準からみる日本のコロナ対策

↓配信映像はこちらから↓
 
    日時 2020年12月5日(土)13:30~15:40 【プログラム】
※各タイトル横の数字をクリックいただくと、その発言内容をすぐご覧いただけます。
1 主催者挨拶(5:12)   新倉修さん(青山学院大学人権研究会)    野平晋作さん(「国連・人権勧告の実現を!」実行委員会)
2 「国際基準とは何か」(7:22)   ファシリテーター 寺中誠さん(東京経済大学教員)
3 リレートーク(各トークの後に寺中さんからのコメントがあります)
  ① 感染症対策と人権(23:07)     宮子あずささん(看護師・東京新聞「本音のコラム」月曜日担当)
  ② コロナと障害者差別ー国連障害者権利条約の基準から見ると(43:00)     崔栄繁さん (DPI 日本会議 事務局 )
  ③ 感染症対策・一斉休校で見えた学校の人権問題(55:40)     武捨健一郎さん(東京教組 書記長)
  ④ 「命の差別」に抗してー朝鮮学校差別に反対するー(1:11:50)     朴金優綺さん(在日本朝鮮人人権協会)
  ⑤ 新型コロナ時代の格差拡大(1:30:13)     赤石千衣子さん(NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ理事長) 【視聴カンパのお願い】 オンラインでの企画に変更しましたが、諸経費が発生しています。視聴カンパにご協力ください。 金額はおいくらでも有り難いです。 ●お振り込み先 加入者名 国連人権勧告実現 -ゆうちょ銀行から 振込口座 00100-6-264088 -ゆうちょ銀行以外から 019支店 当座 0264088 *すでに賛同金をいただいている方  →後日、本日の資料集をお送りいたします。
*ほかに資料集が必要な方  →2020年12月12日までに「資料集希望」・住所氏名を振込用紙に書いて、数百円のカンパを上記口座にお振込み下さい。

2020年12月2日水曜日

オンライン開催に変更しました 第8回 国連人権勧告の実現を!~国際人権基準からみる日本のコロナ対策~ オンライン開催に変更しました

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オンライン開催

第8回 国連・人権勧告の実現を!

~国際人権基準からみる日本のコロナ対策~


 日時 2020年12月5日(土)13:30~15:40     

https://www.youtube.com/watch?v=EyjKWRMHP4Y

(新しいURLに変更されています。ご確認ください。)

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 2020年はコロナの世界的流行にともない、私たちの健康、命ばかりでなく、市民社会が長年かけて築き上げてきた人権が危機に晒される年となりました。

 感染症への対応は重要ですが、「コロナ対策」の名の下、プライバシーの侵害、働く権利、子どもの学ぶ権利、差別・偏見の助長、貧困・格差の拡大などの人権侵害が見過ごされてはなりません。

 現場の報告を踏まえながら、国際人権基準に照らして日本のコロナ対策について考えます。


*開催地、東京でのコロナ感染拡大に配慮し、急遽、青山学院大学での開催ではなく、オンラインでの開催にすることに致しました。


 Zoomで行うリレートークをYoutubeでそのまま配信致しますので、12月5日(土)の13時半になりましたら、下記のURLをクリックして中継をご覧ください。

  https://youtu.be/XWYANBxrd6g


*Youtube中継をパソコンや携帯でご覧になられない方は、本多記念国際会議場にお越しください。会場のスクリーンにYoutube中継を上映致します 

 ■青山学院大学 本多記念国際会議場(青山学院大学17号館6階)

 アクセス https://www.aoyama.ac.jp/outline/campus/access.html

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プログラム 

1 主催者挨拶 

  新倉修さん(青山学院大学人権研究会) 

  野平晋作さん(「国連・人権勧告の実現を!」実行委員会)


2 「国際基準とは何か」  寺中誠さん(東京経済大学教員)


3 リレートーク(ファシリテーター:寺中誠さん)

① 感染症対策と人権

   宮子あずささん(看護師・東京新聞「本音のコラム」月曜日担当)


② コロナと障害者差別ー国連障害者権利条約の基準から見ると

   崔栄繁さん (DPI 日本会議 事務局 )


③ 感染症対策・一斉休校で見えた学校の人権問題

   武捨健一郎さん(東京教組 書記長)


④ 「命の差別」に抗してー朝鮮学校差別に反対するー

   朴金優綺さん(在日本朝鮮人人権協会)


⑤ 新型コロナ時代の格差拡大

   赤石千衣子さん(NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ理事長)


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<視聴カンパのお願い>

※オンラインでの企画に変更しましたが、諸経費が発生しています。視聴カンパにご協力ください。金額はおいくらでも有り難いです。


お振込先と記載内容は次の通りです。

-加入者名 国連人権勧告実現

-ゆうちょ銀行から 

振込口座 00100-6-264088

-ゆうちょ銀行以外から 

019支店 当座 0264088


*振込手数料はご負担くださいますようお願いいたします。

お名前 (            )

連絡先(住所またはメールアドレス                   )

カンパ (     )円


・すでに賛同金をいただいている方へ ⇒ 後日、当日の資料集をお送りいたします。

・他に当日の資料集が必要な方 ⇒ 12/12までに「資料集希望」・住所、氏名を振込用紙に記載の上、数百円以上のカンパを口座にお振り込みください


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主催 国連・人権勧告の実現を!実行委員会  青山学院大学人権研究会

E-mail:jinkenkankokujitsugen@gmail.com 

URL:http://jinkenkankokujitsugen.blogspot.jp/

Tel:090-9804-4196(長谷川)

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2020年10月26日月曜日

第8回 国連・人権勧告の実現を! 「国際人権基準からみる日本のコロナ対策」

第8回 国連・人権勧告の実現を!

「国際人権基準からみる日本のコロナ対策」


  2020 年はコロナの世界的流行に伴い、私たちの健康、命ばかりでなく、市民社会が長年かけて築き上げてきた人権が危機に晒される年となりました。

 感染症への対応は重要ですが、「コロナ対策」の名の下、プライバシーの侵害、働く権利、子どもの学ぶ権利、差別・偏見の助長、貧困・格差の拡大などの人権侵害が見過ごされてはなりません。

 現場の報告を踏まえながら、国際人権基準に照らして日本のコロナ対策について考えます。

日時 2020年12月5日(土)13:30集会スタート

*オンラインでの開催に変更しています。詳細はこちらからご確認ください。

https://jinkenkankokujitsugen.blogspot.com/2020/12/blog-post.html

会場 青山学院大学 17号館6階 本多記念国際会議場 

https://www.aoyama.ac.jp/outline/campus/access.html

【プログラム】

1 主催者挨拶

2 「国際基準とは何か」

   ファシリテーター 寺中誠さん(東京経済大学教員)

3 リレートーク(各トークの後に寺中さんからのコメントがあります)

① 感染症対策と人権

   宮子あずささん(看護師・東京新聞「本音のコラム」月曜日担当)

② コロナと障害者差別ー国連障害者権利条約の基準から見ると

   崔栄繁さん (DPI 日本会議 事務局 )

③ 感染症対策・一斉休校で見えた学校の人権問題

   武捨健一郎さん(東京教組 書記長)

④ 「命の差別」に抗してー朝鮮学校差別に反対するー

   朴金優綺さん(在日本朝鮮人人権協会)

⑤ 新型コロナ時代の格差拡大

   赤石千衣子さん(NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ理事長)


参加費 500円(当日受付にてお支払いください)



主催 国連・人権勧告の実現を!実行委員会

   青山学院大学人権研究会


E-mail     jinkenkankokujitsugen@gmail.com

Blog       http://jinkenkankokujitsugen.blogspot.jp/

Facebook   https://ja-jp.facebook.com/jinkenkankokujitsugen

Twitter    https://twitter.com/unjinken


第8回「国連・人権勧告の実現を!」集会への賛同のお願い

 第8回「国連・人権勧告の実現を!」集会への賛同のお願い

 新型コロナウィルスが世界中を席巻しています。日本ではオリンピック開催を意識してか、感染拡大に対する行政の対応が遅れていたと言わざるを得ません。未だに感染拡大が続く中、経済を優先する「GO TO トラベル・イート・商店街」などの施策が開始されました。

 一方で一律10万円の支援金は住民登録のない野宿者などには支給されず、世帯主への支給では、DVに苦しむ女性には届かないなどの問題も起きました。また、文科省にも相談せず、安倍前総理は一斉休校を要請しました。このことで様々な問題が起きています。コロナ不況に中で解雇された失業者が増加し、飲食店でも支援金では到底営業を続けることはできず、閉店する店も多くなっています。こうした中で自ら命を絶つ人もとりわけ若い女性たちに多くなっています。

 安倍政権以降、日本の人権状況は劣化の一途をたどっています。来年の自由権規約審査に対しては多くの勧告が出されることと思いますが、安倍政権を踏襲する菅政権では、金持ち優遇の政策によって、人命や人権がないがしろにされているように思えてなりません。

 今年の集会は、こうした情勢を「国際人権基準からみる日本のコロナ対策」として、医療・労働・教育・女性・朝鮮学校差別・障害者差別などの視点から日本のコロナ対策を報告しあい、考えたいと思います。コロナ感染を防ぐために、青山学院大学の人権研究会のご協力を得て、青山学院大学の本多記念国際会議場という大きな会場を確保しましたが、本集会を運営するにあたっては、会場費を始め、費用が膨大にかかります。

 皆さんの温かいご支援を頂けましたら幸いに存じます。同封しましたチラシをごらんいただき、賛同いただきたくお願いします。

★プログラム作成の都合上、賛同のお申し込み・入金は2020年11月20日までにお願いします。

★賛同申し込み先

   メール  jinkenkankokujitsugen@gmail.com

   ファクス  03-3819-0467

★賛同金は1口1000円です。団体の方はできるだけ複数口でお願いします。

★振込先  ゆうちょ銀行  00100-6-264088

      加入者名   国連人権勧告実現

      ゆうちょ銀行以外から 019支店 当座 0264088

★当日のプログラムに賛同くださった方のお名前を掲載させていただきますが、不掲載をご希望の方はその旨お知らせください。

★振込される方はその控を領収書にしてください。別に領収書が必要な方はご連絡ください。

★振込用紙に必要事項をご記入いただいた場合は、チラシ裏の申し込みは必要ありません。

★賛同他当日の集会にもぜひご参加くだされば幸いです。ご参加の場合は資料代を別途いただきます。また、チラシ配布にご協力いただける場合は、上記ファクス宛て、必要枚数と送り先をお知らせください。                          

2020年10月22日

「国連・人権勧告の実現を!」実行委員会

連絡先 090-9804-4196 長谷川和男


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賛同団体・賛同者の一覧


<団体> *順不同

「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会

スペース21

ポラムの会

憲法を愛する女性ネット

東京都公立学校教職員組合

府中緊急派遣村

朝鮮学校とともに・練馬の会

チマ・チョゴリ友の会

朝鮮・韓国の女性と連帯する埼玉の会

朝鮮学校生徒を守るリボンの会

外国人学校・民族学校の制度的補償を実現するネットワーク・埼玉

NPO法人レインボー・アクション

国際人権活動日本委員会

ハムケ・共に

I女性会議東京都本部

朝鮮女性と連帯する日本婦人連絡会

NPO法人アジア女性資料センター

朝鮮学校とともに練馬の会

ビデオプレス

東京・教育の自由裁判をすすめる会

なくそう戸籍と婚外子差別・交流会

心神喪失者等医療観察法(予防拘禁法)を許すな!ネットワーク

「日の丸・君が代」強制反対 予防訴訟をひきつぐ会 

反差別国際運動(IMADR)

ATTAC Japan(首都圏)

精神障害者権利主張センター・絆

関東大震災朝鮮人虐殺の国家責任を問う会

国連に障がい児の権利を訴える会

ふぇみん婦人民主クラブ

東京都退職教職員協議会

オッケトンムの会

在日本朝鮮人人権協会

チマ・チョゴリ友の会

在日韓国民主統一連合

反差別国際連帯日本委員会

女性同盟西東京本部

フォーラム平和・人権・環境

日朝国交正常化をすすめる神奈川県民の会

部落解放同盟東京都連合会

JFOR日本友和会

野宿者支援「ほしのいえ」

部落解放同盟東京都連合会台東支部

部落解放同盟東京都連合会荒川支部

ピースボート

朝鮮学校「無償化」排除に反対する連絡会

平和憲法を守る荒川の会

共同親権訴訟・国家賠償請求訴訟を進める会

子どもと女性の人権を考える会     

(団体累計42うち匿名1)


<個人> *順不同

岩木俊一 

内山貴夫  

福嶋常光  

池田幹子  

伊藤敦  

植木純子  

與芝豊  

小野崎篤

小野崎佳代  

黒田恵 

田中聡史  

石山久男  

渡辺保雄  

軽部哲雄  

仲大盛克才  

平井花画  

松井和子  

渡辺吉男  

三神雅宏  

藤野正和

田中宏

堀川久司

佐野通夫 

李 柄輝

任 京河

李 泰栄

嶋田和彦

趙 友貴

鄭 明淑

斎藤紀代美

坂本繁夫

寺尾光身

長尾由美子

高橋秀典

小山高澄

島 京子

豊巻絹子

須田 稔

近藤 徹 

岡田良子

押田五郎

大槻和子

小国小夜子

大野圭子

鴻巣美知子

毛利勇二

山城由紀江

岩下恭子

堀 純

宮谷則子  

榎本みつ枝

郡司 實

斎木登茂子  

相田堯夫  

青木茂雄  

新井進之  

新井史子  

賀谷恵美子  

木村葉子  

宮村博  

花輪紅一郎  

尾澤邦子  

竹下徹  

坂和優  

谷野隆  

里口冨美子 

鹿沼義子  

松野哲二

坂内義子  

安達クニ子

安達紀代美

岡崎洋子  

石下直子  

福喜多昇 

田中須美子  

藤原立子  

小林裕

林聰  

京極紀子  

亀永能布子

山本眞理  

柚木康子  

矢野恭子  

友光直見  

高槻玲子  

矢野秀喜  

丹羽雅代  

中野宣子  

佐々木広子  

土井登美江  

高木澄子

松野哲二  

関田寛雄  

金梨恵  

長谷川和男  

小森恵  

長谷川修児

岩下恭子  

安西玲子  

野副達司  

森本孝子  

浦口俊郎  

関口尭子

田中正敬

田中重仁  

山本きよみ

 
志村洋子  

古賀政敏  

菅野龍磨  

高木正  

岡田良子

朴君愛   

元玉淑            

(個人累計116うち匿名4)
 
 

2020年10月2日金曜日

第35回学習会の報告

第35回学習会の報告

日時:2020年9月25日

タイトル:自由権規約委員会・日本審査にむけて~腐敗するニッポン、壊死する政治---それでも私たちは人権をあきらめない~

講師:前田 朗(東京造形大学)


1 人権が21世紀の主要課題

「国際人権法」という言葉が定着してきた。国際的な文脈で世界の人権問題を考える、ということが共通認識になってきている

1948年の世界人権宣言や1965年の人種差別撤廃条約、1966年の国際人権規約、2006年の強制失踪条約など。約70年かけて国際人権の枠組みが作られてきた

しかし、世界中で今もなお人権問題が起きている~アメリカのBLM、ロシアの暗殺未遂、中国の香港問題、ウクライナの独裁、難民の現在、アフリカのバッタ・飢餓、欧州のイスラモフォビア、世界を覆う新型コロナ禍と格差社会問題など


2 日本の現場と国際人権の現場をつないで考える

すべての人が守るべき基準が国際人権の基準。どういう国、地域、宗教、民族であろうが共通で守るべき最低の基準。それが国際人権の考え方

日本軍「慰安婦」問題は今も解決に至っていない。それどころか被害者や被害者を支えてきた団体を叩く状況になっている。「慰安婦」問題は日韓問題ではない。東アジアで広く行われた日本軍の政策的な暴力。女性に対する暴力という枠組みで国際的に長らく議論されてきた。近代の世界史における現象として捉えられてきたのに、未だに日本ではそのような議論がなされていない

関東大震災朝鮮人虐殺を単に国内における偶発的事件としてではなく、「コリアン・ジェノサイド」として世界的なジェノサイド研究の中に位置づけなければならない


3 国際人権法の枠組みはどうなっているか

ジュネーブに初めて行ったのは1994年。きっかけは「チマ・チョゴリ事件」~日朝や日韓の関係が緊張すると朝鮮学校生徒に暴言・暴行が起きた。日本では当時は「嫌がらせ」と表現され、適切な表現がなかった。しかし、ジュネーブではこれがヘイトスピーチ、ヘイトクライムと言われていた

1994年8月から今年まで、毎年3月と8月にジュネーブに通ってきた

国際人権文書としては、人権条約、人権宣言など多くの文書が作られている

日本ではようやく国際人権法という言葉が使われてきているが、国際的には「国際人権人道法」という言い方が増えてきた。人道は、たとえ戦争中でも人権が守られなければならない、という発想。昨今は、戦時とか平時という区別は重要ではない、どんな事態であれ人権と人道は守られなければならない、並べて考える、という形になってきている

人権条約に基づいて人権委員会が作られる

日本政府が批准して報告書を出しているのは8つの条約。自由権規約、社会権規約、女性差別撤廃条約、子どもの権利条約、人種差別撤廃条約、拷問等禁止条約、強制失踪条約、障害者権利条約


4 国際人権法から見た日本

国連人権理事会・普遍的定期審査UPR~日本は前回2017年に行われ、2018年3月に人権理事会で勧告が採択されている。他国の審査のときは日本も勧告を出している

条約委員会の審査・勧告~最初は1979年。これまでとても多くの勧告が出ている

人種差別撤廃委員会2018~ヘイトスピーチ、朝鮮学校の「高校無償化」制度からの除外問題など多くの問題が取り上げられた

強制失踪委員会2018~11月に委員会が開かれた。日本政府は拉致問題を取り上げてもらうということで、詳しくレポートし、国内では事前に大宣伝した。それなのに審査後、一切報道も記者会見もなかった。後日、外務省のウェブサイトに強制失踪委員会への感情的な抗議文が載っていた。実際の審査では、委員会が拉致問題を取り上げず、「慰安婦」問題を取り上げた。日本政府はジュネーブでパニックになっていた。これに対して日本政府は、「慰安婦」問題は条約よりも前の事件であるから、委員会が取り上げるのは適切ではない、と言った。これはどの委員会でも日本政府が主張していることだが、これを言ったらどうなるか? 強制失踪委員会は2009年に日本が批准したから、拉致問題も取り上げてはいけないことになる。つまり日本は「拉致問題を取り上げるな」と国際舞台で主張したことになる。それなのに、日本のメディアは一切報道しなかった


5 自由権規約委員会と日本

1998年 第4回報告と委員会勧告

2008年 第5回報告と委員会勧告

2014年 第6回報告と委員会勧告

202*年 第7回報告


6 前回勧告の概要

冒頭で多くの勧告が履行されていないことの指摘

国内人権機関~日本には政府から独立した国内人権機関がない

選択議定書~人権侵害の被害者が個人的に委員会に通報できるシステム。日本は批准していない。自由権だけではなく、いかなる個人通報制度も日本は認めていない。日本では、人権侵害被害者本人は、国連に訴えることができない。韓国は批准しているので何度も訴えていて、何度も勧告が出ている

男女平等、DV

LGBT差別

ヘイト・スピーチと人種差別

死刑

「慰安婦」性奴隷慣行

人身取引

技能実習制度

非自発的入院

代用監獄と自白強要

庇護申請者・不法移住者の退去・収容

ムスリムの監視

拉致及び強制改宗

公共の福祉と人権の制限

特定秘密保護法

福島原子力災害

体罰

先住民族の権利


7 第7回日本政府報告(事前質問票への回答)

今回からスタイルが少し変わった。従来は日本政府が自分で報告書を作ってジュネーブに送り、委員会から質問が出ていた。今回は、リストオブイシューといって、委員会が事前に出した質問書に対して、政府が報告を出すというスタイルに

勧告実施措置、統計データ、法曹研修~非嫡出子の法定相続分の差別の是正、ヘイトスピーチ解消法、強制性交等罪関連など、勧告実施に向けて少し改善があったと言えるのでは。しかし、離婚した女性の再婚禁止期間の問題はちゃんと改善(180日→100日になっただけ)されておらず、相変わらず差別的な規定のまま

第一選択議定書

憲法97条廃止提案~基本的な人権は不可侵である、という条文。将来の国民の人権も永遠に保障されるのだ、という条文。これが自民党の改憲案では全部削除されている。委員会からこれについて質問が出ている。日本政府は、それは国会がやることで政府は関知しない、という回答をしている

国内人権機関

反差別、非嫡出子

ヘイト・スピーチ、ヘイト・デモ、差別動機の刑罰加重~2016年のヘイトスピーチ解消法を作ったときのことの報告をしている。ただ、ヘイトクライムの定義はない、などの言い訳をしている。差別動機の犯罪について刑罰を加重しなさい、と委員会から言われている。このヘイトクライムの重罰規定はヨーロッパでは当たり前、アメリカにもある。しかし日本は裁判官の裁量があるので大丈夫です、と言っている。しかし、加重されたことはこれまでない。それが問題

LGBT差別~同性パートナーが公営住宅に入ることができるようになったので、日本政府はそれについて報告している。しかしまだまだ差別が残っている

女性の再婚禁止期間、最低婚姻年齢、マイノリティ女性

緊急事態と憲法改正、共謀罪

DVなど女性に対する暴力~鋭意努力してます、という感じの報告。DVについては報告しているが、セクシュアル・ハラスメントについてはあまり書いていない。ちゃんと書くべき

死刑、拷問、公正な裁判~死刑囚の精神衛生の問題、再審請求中に死刑になった問題など、たくさん指摘されている。拷問その他の強要によって自白させられ、自白に基づいて死刑になっている問題など。袴田巌さんのことも指摘されている

原発事故・被曝~甲状腺がんが増えたではないかという問題、避難解除をしたことについて被爆の恐れはないか、などの質問。日本政府は、福島県は避難者の住居支援を打ち切っているが、個別にちゃんと支援してます、という木で鼻をくくったような回答している

優生保護法・障害者不妊手術、措置入院~母体保護法に改正されている、謝罪・補償の方向に行っています、と報告している

代用監獄、保釈、取調べの弁護人立会~取り調べ状況を録音・録画するようになった。ただ、検察官の取り調べよりも警察の取り調べが重要。弁護人立ち会いがないことや、立ち会い時間の決まりがない、取り調べにおける人権尊重のガイドラインがないことなどの問題がある。ヨーロッパ諸国はみんなガイドラインを作っている

独居拘禁、刑事施設医療~刑務所に収容されている受刑者の独居拘禁の問題。受刑者をずっと一人で誰にも会わせないことは重大な人権侵害。日本には10年、20年独居拘禁されている人が何人もいる。面会する家族もいなければ、誰とも会えない。これをやめなさい、と言われている

「慰安婦」性奴隷制~日本政府の立場は、条約以前の問題なので取り上げるべきではない、しかし報告する、アジア女性基金で終わっている、にもかかわらず日韓合意で努力している、性奴隷制という用語は不適切、というもの。今回は、事実を否定するということは毛頭考えておりません、と報告している

性的搾取・強制労働~人身売買の問題

外国人研修生・実習生

難民、退去強制、収容代替手段

プライバシー、ムスリム監視

憲法21条改正案、メディアの検閲

特定秘密保護法~表現の自由との関係で色々質問されている

日の丸君が代強制

平和的な集会規制~公民館の使用拒否問題など

選挙権停止、外国人選挙権~地方自治体の選挙権について認めなさい、という委員会の他立場。しかし日本政府はあくまで認めない方向

マイノリティの人権、在日韓国・朝鮮人、朝鮮学校高校無償化問題、年金問題~日本政府は「マイノリティ」を「少数民族」という訳を使ってきた。しかし、マイノリティ=少数民族ではない。少数民族ではなくてもマイノリティはいる。かつて日本政府は「在日朝鮮人は少数民族ではない、だから日本にはマイノリティはいない」という言い方をしていた。だから初期の報告には在日朝鮮人のことも朝鮮学校のことも出てこなかった。ところが、今回の報告書では、マイノリティの権利について質問されたときに、日本政府の報告書94ページに「少数者」という訳が出てきた箇所があった。日本政府は、自己の言語を使用する権利を否定していない、という回答。在日コリアンが少数民族に該当するか否かを判断する必要はない、と答えている。これは結構微妙な問題で、マイノリティについて日本政府の対応が変わってきているのかもしれないが、はっきりしない。朝鮮学校の「高校無償化」問題、在日朝鮮人の無年金問題についての委員会からの質問については、日本政府は従来通りの回答。審査基準に適合すると認めるに至らなかった、外国人にも年金制度は適用してますよ、といったもの


8 人権NGOの取り組み

コロナ禍の中で今後の委員会による審査がどうなっていくかは不透明

どの委員会も審査が延期になったり、オンライン審査を試したりしている

国内活動

・反差別と人権問題の発掘、対処

・NGO間の情報交換

・対政府・省庁交渉

・対メディア、市民集会……

国際活動

・ジュネーヴへの情報発信

・ジュネーヴでのロビー活動

・ジュネーヴから情報発信

・地域間の情報交換・協力

・東アジアの人権状況

  一つひとつのNGOにできることは限られているが、横のつながりを広げて具体的な問題の解決を図りたい


★参加者数:講師含め20人

2020年7月22日水曜日

第35回学習会 それでも私たちは人権をあきらめないー国連自由権規約委員会 日本審査に向けて・・・腐敗するニッポン 壊死する政治・・・

第35回学習会 それでも私たちは人権をあきらめない

国連自由権規約委員会 日本審査に向けて
・・・腐敗するニッポン 壊死する政治・・・


 
 国連は、第二次大戦の反省から、すべての人の人権を尊重すべく 1948 年に「世界人権宣言」を採択しました。続いて国連人権委員会は、人権実施文書の作成作業に取り組み、世界人権宣言が理想とする「自由な人間」であるためには、市民的及び政治的権利が保障されるだけでなく、欠乏からの自由、つまり経済的、社会的及び文化的権利の確保が必要であるという観点から、2つの草案を作りました。それが「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際的規約(社会権規約)」と「市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)」として成立しました。

 規約を批准した国は規約の履行状況を委員会に報告して審査を受けます。女性差別撤廃委員会、子どもの権利委員会、人種差別撤廃委員会では、それぞれのテーマが取り上げられますが、自由権委員会では、思想信条の自由、表現の自由、人身の自由をはじめとするさまざまな自由の状況について審査が行われます。

 日本の課題として、前回2014 年の勧告にあった「ヘイトスピーチ解消法」「部落差別解消推進法」「技能実習法」「アイヌ特措法」などの法制定は行われたものの、依然として差別やヘイトスピーチが絶えない状況を憂慮して、在日コリアン、移住者、移住労働者、被差別部落、アイヌ民族、琉球・沖縄の人々などマイノリティ及び先住民族のコミュニティの人々の自由保障は重要課題です。

 そして、本年10月にも審査が行われる予定です。日本政府はどのような報告を提出し、それに対してどのような審査がなされ、どのような勧告が出されるのか、ジュネーブの国連欧州本部と国連人権高等弁務官事務所に通ってきた前田朗さんを講師として招き、一緒に学び合いたいと思います。多くの方のご参加をお願いします。

日時 2020 年 9 月 25 日(金)開始 18:30
 
講師 前田 朗さん
 
東京造形大学教授(刑事人権論)。
日本民主法律家協会理事。国際人権活動日本委員会運営委員。東アジア共同体・沖縄(琉球)研究会副代表。
 
会場 連合会館 501 号室
    千代田線 新御茶ノ水駅 B3 出口
    丸ノ内線 淡路町駅 B3 出口
    都営新宿線 小川町駅 B3 出口
    JR総武線・中央線 御茶ノ水駅聖橋口
 
参加費 500 円
 
主催 「国連・人権勧告の実現を!」実行委員会
 
問合せ 090-9804-4196(長谷川)
 

第34回学習会の報告

第34回学習会の報告
 
 6月16日の連合会館。

 久しぶりの学習会だった。電車に乗って出かけるのがためらわれ(何しろ若い友人から早い時期に言い聞かされたのだ、トリアージの場面になったら70代以上の持病持ちは、間違いなく人口呼吸器は使えずそこまでとなるから、絶対に感染しては駄目!!と)、電車はほとんど使わず、ひとにも会わず読書ざんまい。しっかり歩き、幸いにも閉じないで頑張ってくれた友人の自然食レストランが命綱だった。

 そんな私(似たような人も多かったと思う)には、この日のお話はとても新鮮で、改めてもうオリンピックはやるべきでない、はやくやめろ!という思いを深くするものだった。

・2020年東京五輪を前に考えること「孫基禎の人生からオリンピック・人権を考える」

 話し手は寺島善一さん(明治大学名誉教授)ご専門はイギリスのスポーツとのこと。
孫基禎(ソン・キジョン)さんの息子さん孫正寅(ソン・ジョンイン)さんもご同行くださった。

 五輪が、その憲法ともいうべきOlympismからどれほど無縁なものとなっているか、から話が始まった。いつどこでやるか、チケットはどうやって配布されるのか、それ以前にどこでどうやって物事が決まっていくのか、さっぱりわからない。しかもあらゆることが巨大な利権につながっている、1から100までどこまでも商業主義で決められ、スポーツの祭典だから素晴らしいと参加する人々の素朴な思いは、どこにも届かないし、つながらない。寺島さんはそれを、一つずつ細かにご自分の体験につないで、正確な知識と共に話され

<スポーツと人権をめぐる諸問題―スポーツと政治は無関係と言ってスポーツマンの発言を封じる政治性>

●競技場に「旭日旗」持ち込みが現実に起きたこと、今回の東京五輪にも持ち込んでよい。それが問題はないと政治家が発言している

●クルド人労働者への警官の暴行(これはアメリカの話ではない)が実際に起きており現場のビデオ録画は放映もされ、また入管での暴力問題など(餓死者も出た!!)も私たちは知らなくてはならない

●朝鮮学校に対する差別と排除がとどまらない。マスク不配布どころか教育無償化からの排除が(幼稚園まで)広がっている一方である。

●ひどいヘイトスピーチも野放しで、いかなる反省もないどころか拡散している(京都の小学校での悪質なヘイト行動が実質的には問題にされていないし、実行者は反省していないどころか行動はエスカレート。7月13日大阪高裁に注目!!)

●毎年行われている9・1朝鮮人虐殺慰霊祭に、小池は追悼文を送らず。(石原でさえ送ったというのに)すぐ隣で在特会そよ風が大声でヘイトをわめき、大きな看板をだし雑言をまき散らすことを問題にせず、それどころか慰霊祭を行ってきた(多くの被災者が逃げ込んだ被覆廠跡)都立横網町公園の使用には誓約書を出せと言ってきた

●コロナウイルスは中国から来たという政治家らのデマを根拠に中華街のお店に脅迫状が届いている

●いまだに消えぬ東北・九州の地震被害、福島原発の見通しのつかない後遺の数々
等はすべて知らぬ顔で、「福島はアンダーコントロール」の大嘘で勝ち取った2020東京オリンピックの招致だったことなどを、改めて確認することから始まった。

 つくづく私たちはなんておひとよしで忘れっぽいんだろう、と改めて反省。

 そしていかにOLYMPICが商業主義まみれ状態であることか。来年になったといっても酷暑の夏にできるわけがない。競技者や参加者の健康問題は完全無視、すべては最大スポンサーの米国NBCにおもねったものということも、企業の都合あわせがすべてに優先し、利権の巣窟であることも私たちは知っている。そこに巨額のお金が動いていることも。

 必然的に商業主義が最優先され、そこに過剰な勝利至上主義が跋扈する。選手の競技成績は商品価値につながるからドーピングも汚いプレーも勝つためには必要となる。スポンサー以外の食品も飲み物も会場で販売禁止、聖火ランナーのシューズまでチェックされる。

 さらに性差別、レイシズム、環境破壊・汚染、政治介入と果てしなく問題は広がるばかり。ムスリムやLGBTなど参加が許されない人々も出てくる。必要のない神宮外苑の再開発は利権も絡んでいる。都営住宅に住んでいた人が排除され、終の棲家を追われた人々も生まれている。もともとは都市国家間の争いを一時中断して始まったはずのOLYMPICだったのに、国家間の威信をかけた戦いの場となっているし、競技成績がアピアランスマネーに直接かかわっていることは多くの人が知っている。SAY NO TO RACISM FAIR PLAY  PLEASE! との叫びが上がろうとも、むなしい。五輪憲章への明確な違反などは歯牙にもかけない。金メダル30個を目指す、滅私奉公、批判するものは「非国民」などの言葉が平気でぼんぼん飛び出す。世界の平和運動であるべきOLYMPICと真逆のことが進んでいる。

 翻って、本日のテーマ孫基禎の人生を考えてみよう。

<孫基禎さんの身の上に降りかかった人権蹂躙、人間の尊厳への攻撃―日本帝国主義の朝鮮支配の一断面>

 彼は日本の植民地支配下で1936年のベルリンオリンピックに参加している。聖火リレーを発案し道路整備され、政治利用され尽くした感があるナチスオリンピックだった(記録映画は晴らしいが)。孫さんは選考過程のひどい差別もものともせずマラソン日本代表となり、優勝。金メダルを取った。その事実が鬱屈した朝鮮人への励ましと独立運動につながることを恐れた日本は、彼を監視弾圧の対象とする。故郷に住むことは許されず明治大学に進むが、陸上競技に参加することは許可されなかった。「箱根駅伝を走りたかった」が遺言だったとは悲しい。

 しかし一方で素晴らしい経験もたくさんあったようだ。陸上100,200mの優勝者・黒人のジェシー・オーエンスとは長い友人関係が続き、差別に負けないと励ましあったということや、のちの東京オリンピックを実現させた大島鎌吉(1932年ロス五輪三段跳び三位)が開会式で陸軍軍人の孫さんに対する差別を糾弾してくれたこと。レース中に「スロースロー」と忠告して、孫選手の自滅を防いでくれた、英国のハーパー選手。ビスマルクの丘で、いのちの水をくれた女性等々、一人でスポーツするのでなく、仲間がいることがいかに必要かということも強く思うようになったということだ。表彰式で胸の日の丸を手渡された月桂樹で隠したことが「消えた日の丸事件」と大々的に報じられる事に繋がった帰国後、一切の歓迎行事も禁止されるなど、戦争終結までの弾圧など孫さんに対する監視、扱われ方は本当にひどい連続。だったという。

 しかし孫さんのスポーツと平和に関する思想はきっちりと根を張り、広がっていった。戦後は故郷で自宅を開放して後輩の育成に尽力し、平和の大切さを訴え行動し続けたという。1950年のボストンマラソンでは韓国が1,2,3位を独占したのもその実証。朝鮮戦争が始まり、その後の軍事政権が続く中でも、平和が何よりも大事と行動し続けた。また「アフリカで五輪を」の運動を起こす一人となって、五輪の南北問題解決を目指すなど、大きな思想は聞いているだけでも胸がわくわくしてくるものだった。「恨」の感情を越えて、2002年のワールドカップサッカー日韓の共催に尽力したり、プロ野球の日韓交流に尽力されるなど、本当にすごい人だったのだと思う。しかしそれに日本は答えるどころか、孫さんの葬儀すら無視、ベルリンの金メダルは韓国にカウントしてほしいといくら願っても今も実現していない(メダルは韓国の記念館にある)。

 では今の私たちにとってオリンピックはどんな意味を持っているのだろうか。1978年のユネスコから発信された体育・スポーツ国際憲章が述べていることと、オリンピック憲章が述べていることがきちんと一致しており、私たちがさんざん振り回されている東京五輪は、オリンピック憲章に書かれているように、「スポーツを通した世界の相互理解、友好連帯」の趣旨を貫徹するとすれば、東京五輪は、このスポーツから人種差別を撲滅する絶好のチャンスだと寺島さんは話を結ばれた。
 
 孫さんの御子息で、寺島さんと親しく交わっていらっしゃるという孫正寅さんのお話しからは、控えめで、かつ行動力のある孫基禎さんのお人柄などにも触れてくださるいいお話が聞けた。毎年秋には韓国で、孫さんを記念するマラソン大会が行われ、寺島さんもゲスト参加されているとのこと。
 
 オリンピック憲章など読んだこともない担当大臣がいたり、電通を中心にした、すさまじい経済活動に使われているオリンピック、この際1年延期などという無理なことはやめて、一から再生する良い機会にできるのではないだろうか。

 大坂なおみさんや八村さん等スポーツ界や芸能界関係者の政治に関する発言などもいろいろ自然体で聴かれるようになった。

 こういう力が社会の再生に大きな役割を果たしてくれるのではないかと期待したい。

                           (まとめ 丹羽雅代)

2020年5月28日木曜日

第34回学習会 今、なぜ金メダリスト孫基禎に注目するのか? ~2020東京オリンピックを考える~


今、なぜ金メダリスト孫基禎に注目するのか?

~2020東京オリンピックを考える~



朝鮮半島が日本の植民地とされていた1936年。ナチス政権が開催したベルリンオリンピックに「日本代表」としてマラソン競技に出場し、金メダルを獲得した孫基禎について、「評伝 孫基禎」を上梓された寺島善一さんにお話を伺います。

 孫基禎の波瀾にみちた生涯と彼のスポーツに託した夢になぜ今注目するのか。現在の日本と朝鮮半島の関係、そして、今年の東京オリンピックのあり方について考えます。

*感染症対策には十分ご留意をいただいたうえでのご参加をお願いします*

とき:2020年 6月 16 日(火)18:30~20:30

場所:連合会館 501号室
   https://rengokaikan.jp/access/

お話:寺島善一さん(明治大学名誉教授)

講師プロフィール

 1964年東京教育大学 入学。1968年名古屋学院大学 助手を経て専任講師。1974年明治大学 専任講師。1982~1983年West London Insutitute of HighterEducation 客員研究員。1984年明治大学 教授。1998年 St.Mary’s University 客員教授。
 著書・共著『リベラルアーツと大学の「自由化」』 (明石書店、2005年)。「評伝 孫基禎」(社会評論社、2019年)他。

参加費:500 円

主催:「国連・人権勧告の実現を!」実行委員会
問い合わせ:090-9804-4196(長谷川)
ホームページ:https://jinkenkankokujitsugen.blogspot.com/

2020年3月6日金曜日

第33回学習会 国連自由権規約委員会 日本審査に向けて…腐敗するニッポン 壊死する政治

第33回学習会
国連自由権規約委員会 日本審査に向けて…腐敗する ニッポン 壊死する政治

大変残念ですが、「新型コロナウイルス感染症」の影響を鑑み、
第33回学習会は中止いたします。
ご予定いただいたみなさまには申し訳ない限りです。
今後の予定については、決まり次第、
本サイトにてお知らせいたします。



日時:2020年4月17 日(金)18:30~

場所:連合会館501号室
   https://rengokaikan.jp/access/

お話:前田朗さん(東京造形大学教授)

参加費:500円
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講師プロフィール:前田 朗 さん 

東京造形大学教授(刑事人権論)。日本民主法律家協会理事。国際人権活動日本委員会運営委員。東アジア共同体・沖縄(琉球)研究会副代表。

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 国連は、第二次大戦の反省から、すべての人の人権を尊重すべく1948年に「世界人権宣言」を採択しました。続いて国連人権委員会は、人権実施文書の作成作業に取り組み、世界人権宣言が理想とする「自由な人間」であるためには、市民的及び政治的権利が保障されるだけでなく、欠乏からの自由、つまり経済的、社会的及び文化的権利の確保が必要であるという観点から、2つの草案を作り ました。それが 「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際的規約社会権規約)」と「市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)」として成立しました。

 規約を批准した国は規約の履行状況を委員会に報告して審査を受けます。女性差別撤廃委員会、子どもの権利委員会、人種差別撤廃委員会では、それぞれのテーマが取り上げられますが、自由権委員会では、思想信条の自由、表現の自由、人身の自由をはじめとするさまざまな自由の状況について審査が行われます。

 日本の課題として、 前回2014年の勧告にあった 「ヘイトスピーチ解消法」「部落差別解消推進法」「技能実習法」「アイ ヌ特措法」などの法制定は行われたものの、依然として差別やヘイトスピーチが絶えない状況を憂慮して、在日コリアン、移住者、移住労働者、被差別部落、アイヌ民族 、琉球・沖縄の人々などマイノリティ及び先住民族のコミュニティの人々の自由保障は重要課題です。そして、本年10月にも審査が行われる予定です。

 日本政府はどのような報告を提出し、それに対してどのような審査がなされ、どのような勧告が出されるのか、ジュネーブの国連欧州本部と国連人権高等弁務官事務所に通ってきた前田朗さんを講師として招き、一緒に学び合いたいと思います。

 多くの方のご参加をお願いします。

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主催:「国連・人権勧告の実現を!」実行委員会
お問い合せ:090-9804-4196(長谷川)
ホームページ:https://jinkenkankokujitsugen.blogspot.com/

2020年1月26日日曜日

第32回学習会の報告

第32回学習会の報告

テーマ 国際人権基準から見た日本の刑事司法・刑事拘束
講師 海渡雄一さん

1、未決拘禁(人質司法)問題
カルロスゴーン事件に関連して
厳しい保釈条件
①住居出入り口に弁護士による監視カメラの設置
②海外渡航禁止、パスポートは弁護士が管理
③事件関係者との接触禁止
④パソコン携帯電話の使用制限
⑤妻との接触禁止(弁護士立会いの下、月1回1時間のテレビ電話による通信のみ可)

問題点
・起訴前保釈の不在
・「罪証隠滅」による保釈拒否(保釈拒否は基本的には「逃亡の恐れ」に限られる)
・一事件につき23日の勾留継続(事件を細分化すれば、23日×事件数)
・弁護士不在の取り調べ
・長期間の接見禁止(弁護人以外家族とも会えない)。未決は誰とでも会えるのが原則。

警察に拘禁される期間
 フランス   24時間、最大48時間   イギリス   24時間、最大72時間
 イタリア   24時間          台湾     16時間
日本     23日×事件数  (国際基準としては、逮捕後24~48時間)
自由権規約9条 逮捕された被疑者は速やかに裁判官のもとに連れていかれる。
同9条に対する一般的意見(規約委員会の条文解釈)では、「速やかに」とは通常は48時間で十分、超えるのは絶対的例外。未成年は24時間以内。
 日本の場合、取り調べ時間の制限と弁護士の立会いを同時に進めることが必要。

代用監獄制度の廃止
 37年前は、イスラエル、ハンガリー、フィンランド、韓国、イギリスのテロリスト事件でもやっていたが、自由権委員会等からの勧告を受け全てなくなった。現在は日本のみ。

証拠の開示
 検察の証拠全てにアクセス権
アメリカでは、証拠隠しは、検事を続けられない。
日本では検察に都合の悪い証拠を隠すのが当たり前のようになっている。

司法改革の試み
2009年~10年村木事件と検察による証拠捏造などを受け、刑事司法の見直しが行われたが、未完に終わった。
証拠リストが出るようになった、国選弁護の範囲が広がった、一部取り調べで・録音・録画がなされるようになった等の改革はあったが、他方で、通信傍受の拡大、司法取引などが導入された。

2、死刑制度
昭和23年最高裁判決は、死刑を合憲としているが、「多くの文明国で死刑が廃止されれば、死刑は憲法13条の生命権を侵害する刑罰と言える」と読みとれる部分がある。
しかし、合憲判断があったと言うだけで思考停止している。

死刑制度の中でも改善すべきこと
・執行日時を事前に説明する。
・検察証拠のすべてにアクセスできるようにする。
・再審請求中・恩赦の申請中に死刑を執行しない。
 1950年ごろ以降、一応、再審請求中の執行はしないという原則があったが、今は、再審請求中であってもお構いなしになっている。

国際的には
・OECD加盟国で死刑を執行しているのは、アメリカと日本だけ。アメリカも多くの州で死刑を廃止したり執行を辞めたりしている。
・日本では、昨年12月安倍政権下で39人目の死刑が執行された。
・2017年11月国連人権理事会では、日本の第3回普遍的定期的審査で、36ヶ国が死刑廃止に関する勧告を行った。
・自由権規約は死刑廃止を義務付けてはいないが、無くすよう努力することを求めている。日本政府はその努力を怠っている。

3、受刑者の人権
刑事拘禁の国際ルール(マンデラルール)
2016年国連被拘禁者最低基準規則を60年ぶりに改訂
①規律秩序の維持
 1)不必要な制約の禁止 2)懲罰規定の改正 3)独居拘禁の厳しい制限 4)身体検査・捜索の厳格な限定
 ②医療の独立性の確保
 ③受刑者の法的援助へのアクセスの保障
 ④スタッフの専門的な研修

刑務所医療の現状 最新のCPRへの相談事例より
・医師の診断を希望しても、看護師に拒否される。
・刑務所の医師の対応に不満がある。
・治療、検査、処方について十分な説明がない。
・専門医の診療を受けられない。
・入所前服用していた薬を処方してもらえない。
・体調不良や疾患を考慮した作業や休養が認められない。
・対応の遅れによる症状の悪化。

2002年名古屋刑務所事件
革手錠による内蔵挫裂で死亡するという事件が起こった。
・事件を受け、国会決議で過去10年分の死亡ケースが公開された。約1600件のうち急性心不全が何百件もあった。特に、数十件の非常に疑わしい死亡事例が発見され、100年ぶりの監獄法改正につながった
・1998年自由権規約委員会は、刑務官による報復行為に対し、申立てを行った受刑者の保護が不十分であること、残酷で非人間的な扱いである革手錠のような保護手段の多用について警告していたが、対策はとられず、事件は起きた。こうした事前の活動があって、事件後改革につながった。
・刑務所内が閉鎖的で独立医療が欠けていると危険が大きいと訴え刑事施設視察委員会ができ、弁護士会推薦の弁護士と医師会推薦の医師が必ず入ることになるなど一部改善がなされた。
社会と同水準の医療を保障することが監獄法に明記されたが、その後も刑務所の保安体制に組込まれた医師が一体となって受刑者を虐待し暴動になった事件が起きている。

フランスの刑務施設医療制度
・受刑者が市民と同じ医療制度に組み込まれる。
・各刑務所に、病院の外来部門がある。
・刑事施設の一部に近隣精神科病院の一部局が置かれている。
・48時間以内の入院は、近隣連携病院に入院する。
・48時間を超える入院は、大病院の中の「刑事施設区画」に送られる。
 フランスでも同様の問題があったが、1994年刑務所医師の告発を機に抜本的見直しが行われた。
改善の決め手は、刑務所の医療の独立
 2007年拷問禁止委員会は、刑務所医療の厚生労働省への移管を検討するよう求めた。

無期懲役刑の現状
・1960年代までは、15年~20年で仮釈放されることが多かったが、現状は、事実上、終身刑になっている。
・無期懲役受刑者数
 1989年 864人     1999年 1002人    2004年 1352人
 2009年 1711人    2013年 1843人    2017年 1795人
 ‘13年をピークに減っているが、仮釈放が増えたのではなく獄中死亡が増えた結果。
・2009年からの10年間で、無期刑の仮釈放は67人、獄中死亡210人
 無期刑者の在所期間 30年以上 14%、 40年50年たっても出られない人もいる。
無期刑者の年齢 60歳以上47,6%  70歳代18,3%  80歳以上4,8%(87人)  
・仮釈放審査
 30年で必ず審査されるようになったが、認められたのは2割のみ。

4、死刑廃止後の代替刑
・世論調査では、死刑廃止は、賛成2割程度、反対は約8割
 死刑廃止の代替刑として、仮釈放なしの終身刑があれば、それでも良いという人は数割
増える。しかし、これは緩慢な死刑であり、国際基準では認められない。
 判決言い渡し時点では終身刑だが、その後の状況を見て無期刑への減刑の道を残し、かつ、無期刑を改革して、死刑廃止ができないか。
・世界的な終身刑の状況
 終身刑制度 183ヶ国地域 内149が最も厳格な刑罰、33が死刑・終身刑とも廃止
 仮釈放のある終身刑 144、 仮釈放のない終身刑 66

5、今後の改革の方向
・国際基準に程遠い未決拘禁制度は抜本的改革
・死刑制度の廃止
・刑務所医療の改革
・罪を犯したものを排除しない社会を ― 更正が認められれば、社会復帰ができる