2023年7月13日木曜日

報告 とんでもない閣議決定から 10 年 国連人権勧告を実現させよう

 とんでもない閣議決定から 10 年 

国連人権勧告を実現させよう

集会の報告

  国会閉会を翌日に控えた 6 月 20 日、参議院議員会館 講堂で集会を行った。主催団体として森本孝子さんは、 「今国会は、殺人法と言われる入管難民法、差別促進の LGBTQ 法、軍拡法など、とんでもない法律が 次々と成立した最低の国会。日本の人権状況を、 良くしていきたい」と、開会の挨拶をした。


<特別報告>

I、入管法改悪と今後の闘い 

鳥井一平さん:移住連代表理事

   「入管法改悪反対!国会前シットイン」に取り組んで、と鳥井さんは話し始めた。「Open the Gate for All」の黄色の T シャツを着て、2 ケ月の間、何度 も議員会館前に座り込んだ。参加した人たちみんなが表現する場所・広場で、あらたな出会いが あった。その場から、国会議事堂の会議場にむけてあげたシュプレヒコールは、議員から確かに届 いたと言われた。

署名は、廃案に追い込んだ 2 年の前回より、2 倍以上の 22 万以上集まった。

日本の移民政策の変遷は、高度成長期の人手不足の時はオーバースティーを容認し、さらに日 系ビザの導入(かつて南米等に移住した日系人の 2 世、3 世の受け入れ)、そして技能実習生制 度、その拡大、特定技能制度など、日本経済の状況に応じて変遷させてきている。

新型コロナウィルスは、問題を露わにした。農業は人手不足で技能実習生に頼ってきたが、コロ ナの中でそのローテイションがうまく行かず、多くの農産物が腐ってしまったのだ。

入管難民法改正(案)は、その国会審議の過程で、一人の難民審査参与委員に審査が集中して いた問題や、常勤医師の不祥事が発覚し、「改正」の根拠が崩壊しているにも関わらず、成立して しまった。鳥井さんは、「出入国管理庁の権威を示したいための“改定”でしかない」と言う。

今後移住連は、11 年後の改悪法施行に対して、対案を提出した野党との連携、2在留特別許 可の実現、3仮放免者・難民支援者の生活等の支援、4難民・収容に関するネットワーク再構築 に取り組んでいく、と力強く話した。

II、子ども基本法と朝鮮学校差別

 (1)金載成(きむ・ちぇそん)さん:朝鮮大学校政治経済学部法律学科3年

「私は、日本で生まれ育った20歳の青年です。日本人の20歳の青年と同じ 様に、日本の地で、日本のテレビを見て、日本の歌を聞き、日本社会で育ちま した。ですから一見、日本人の青年との差はなく、日本人として見られることも 少なくありません。

しかし私は紛れもない朝鮮人です。自身のことを何ひとつ躊躇せず、朝鮮人だと胸を張って言 います(拍手が湧く)。私は、自身の祖国、民族に対する強い誇りを持ち。朝鮮人としてのアイデン ティティーを持っています。日本の青年と変わらない環境で育った私が、どうして祖国を知り、自身 の民族的出自を知り、朝鮮人としての自分を愛することが出来るのでしょうか。

それは、まさしく民族教育があったからです。民族教育が私自身のアイデンティティーを確立させ、自身の人格を確立させたのです。民族教育があったからこそ、差別され、権利が侵害される日本 という国で朝鮮人として生きることをやめず、胸を張って生きてこれました。

私にとって民族教育とは、単なる教育権ではなく、自身のアイデンティティーを確立し、自身の人 格を形成する権利なのです。

民族教育権は、国際人権条約、子どもの権利条約、国際法、国内法で保障されている当たり前 の権利であり、人類史的に価値のある普遍的な権利です。

私はもうこれ以上、日本政府が、法と世界各国からの勧告的意見を無視し、マイノリティーの人 格権を侵害することがないように、こども基本法、東京都こども基本条例がその役目を果たすこと を信じています。子どもたちのために闘い続けていきます。共に、頑張っていきましょう!」

(2)李俏娜(り・そな)さん:朝鮮大学校政治経済学部法律学科 4 年 

「子ども基本法が制定、施行されたことをとてもうれしく思っています。民族教育 とは、単なる教育権にとどまらず植民地支配によって奪われた民族性を回復する 過程、在日朝鮮人としての自らの人格を形成する過程であり、それによって私たち は在日朝鮮人、朝鮮民族の一員としての誇らしき生を全うすることができるのです。 しかし日本社会で生きるためには、あらゆる差別や偏見、悪意や暴力と闘わねばなりません。

“北朝鮮のスパイどもを叩き出せ”“ゴキブリ朝鮮人”...。拡声器をもった大人たちが幼い生徒の通 う学校の目の前まで襲ってくるのを目にするのです。

なぜこのような差別や偏見、人権侵害がゆるされるのか。それはまさに、国家によって差別が助 長され、国家政策により国民感情が煽られているからに他なりません。

私は高校の 3 年間を差別との闘い、高校無償化適用を求める闘いに費やしました。ビラを配り、 マイクを握り、道行く人に訴えかけ、日本政府を裁判に訴えましたが、不当判決でした。

悔しく、やるせなく、在日朝鮮人として生きることの過酷さを知ると同時に、大きな確信を得まし た。それは、民族教育を守り、在日朝鮮人として生きる道にこそ正義があるということです。

このような正義があるからこそ、多くの日本の人々が賛同、連帯し、差別を許さず、闘いぬく社会 へ変わりつつあると思います。そしてこの度の子ども基本法の制定は大きく、決定的意義を持つも のであると思います。国籍条項を問わず、すべての子どもの権利を尊び、保障する、子どもの権利 条約の精神を日本社会で具現化されることを願っています。私自身も、よりよい社会を共に築い ていくため、闘い続けて行こうと思います。」

III 放送法と表現の自由

池田恵理子さん: 元 NHK ディレクター、元 wam 館長

国際 NGO「国境なき記者団」は、2023 年の「放送の自由度ランキン グ」を発表。日本は 180 カ国中 68 位で、G7 の中では相変わらずの 最下位。政治的圧力やジェンダー不平等などで、「ジャーナリストは、政 府に説明責任を負わせる役割を十分に発揮していない」と批判されている。

1950 年に制定された放送法は、戦前から政府の管理下にあったラジオが戦争協力のプロパガ ンダを続けたことを反省してつくられた法律。第 4 条(番組準則)では番組編集に、「政治的に公 平であること」を求めている。安保法制が議論されていた 2014 年、首相補佐官が、「TBS のサン デーモーニンングは、コメンテーターが全員同じ主張をしており、4 条に反する」と主張し、見直しを 迫った。2015 年、高市早苗総務相が、同様の見解を示した。

2016 年、国連人権委員会「表現の自由」担当の特別報告者のデビット・ケイ氏が訪日調査をして、20頁にわたる報告を出し、「政府は、メディア規制から手を引くべきだ」等と勧告をした。2019 年にもケイ氏は、「日本政府は勧告をほとんど履行していない」と批判している。

安倍政権は、猛烈な勢いで「戦争ができる国づくり」を進めるかたわら、「慰安婦」問題を無きも のにしようとした。2000 年、東京で開催された日本軍「慰安婦」制度を裁く民衆法廷「女性国際 戦犯法廷」には、海外メディア 95 社 200 人の記者が訪れ、トップで報じたが、日本のメディアの 扱いは極めて小さかった。女性法廷を取り上げた NHK の「ETV2001」は、法廷批判がめだつ異 常なものだった。後に、当時の安倍官房副長官らが、放送直前に NHK 上層部を呼びつけて改竄 させたことが明らかになった。NHK は「あべチャンネル」と揶揄されるほど、「政府の広報機関」と 化した。女性法廷の主催者は、真相を求め提訴。東京高裁では政治家の意を忖度して編集したと 認定し、NHK に 200 万円の損害賠償支払いを命じたが、最高裁では原告の請求は棄却された。

政府への忖度や自主規制は今も続いている。「慰安婦」問題ひとつを見ても、今や「慰安婦」の シンボルとなっている「平和の少女像」が、各国で建立される度に日本政府は圧力をかけ、つぶし ていく。それを日本のメディアは報道もしない。ジャーナリズムは政権を監視し批判する役割を担 っているのだが、日本のメディアはその基本を忘れているのではなかろうか。

「どんな小さな声でも伝えていくことを、連帯してやっていきたい」と、池田さんは報告を終えた。

<基調報告>

国連人権は高いハードルではない! ~すべての国が達成すべき共通の基準~ 

前田朗さん:朝鮮大学非常勤講師

人種差別条約を日本政府は 1995 年に批准。これまで 2001 年、2010 年、2014 年そして 2022 年の 4 回審査を受け、その都 度多くの「勧告」を受けてきた。毎回 NGO の一員として参加してきた前田さんの報告 は、多くの問題提起を含む学ぶことの多い報告であった。

★日本政府のダブル・スタンダード

前田さんは、「勧告」には、拘束力があるのか、ないのかという問題設定には あまり意味がない、と話し始めた。国際人権条約を批准した国々は、それを守るために、その担い 手として、協力していきましょう!と約束を重ねてきた。

日本政府は、国連で立候補し、理事国に相応しいと何度もアピールして、47 ケ国から成る国連 人権理事会のメンバーになった。そうなら、守るのが当たり前ではないか!

日本政府のダブルスタンダートを示す例として、「強制失踪委員会」の例を話したい。「強制失踪 条約」は、2006 年に採択された。国の機関等が人の自由をはく奪し、所在等を隠蔽し、法の外に 置くことを強制失踪と定義し、犯罪化、処罰を確保するための枠組みを定めている。日本政府は、 「拉致問題」に力を入れるとアピールをし、2018 年に報告書を出し、委員会に臨んだ。

ところが、強制失踪委員会は拉致問題を取り上げず、質問したのは日本軍「慰安婦」問題であっ た。日本政府代表団はパニック状態だったという。委員会からは日本軍「慰安婦」問題の解決を 求める勧告が出された。日本政府は改めて「条約以前の問題を委員会で取り上げるべきではない」 と猛烈な抗議の手紙を委員会に送った。拉致問題も「慰安婦」問題も、条約以前ことで同様であ り、2つともきちんと対応すべきである。

★「人として認められる権利」

なぜ日本は、人権後進国か?

日本国憲法の前文は、「日本国民」はで始まり、第 3 章で「国民の権利」が列記されている。 世界人権宣言、国際人権規約、人権憲章などには「人として認められる権利」が、基本的権利として謳われている。しかし、日本国憲法には、「差別されない」とはあるが、「人として認められる権 利」に対応する条文はない。「人間の尊厳」も、同様である。

このような国で、外国人の人権は守られるのだろうか? 多くのヘイト・スピーチがあるが、「人 間の尊厳」としては語られず、「表現の自由」として語られる。

前田さんは、問題は日本政府に国際人権法を遵守する姿勢が全くないことであるとし、委員会 が総論として指摘したことに、自身の見解を加えまとめとした。

1 憲法と法律が国際自由権規約に合致していない。裁判官、検察官、弁護士、法執行官等に国際人権法の研修を行う必要がある。日本の裁判官は、国際人権法に無知だから。

2 独立した国内人権機関の設置が必要である。多くの諸国には、専門の国内人権委員会があるが、日本にはない。

3 憲法 14 条は一般的な差別禁止を定めるが、差別禁止法がなく、委員会は、包括的な差別禁止法を求めている。これまで数々の国際人権機関が何度も同じ勧告をしてきたが、必要がないから作らないと拒否している。恥ずべき異様な差別大国である。 人権を尊重するのは、政治の意思の問題で、日本政府にはそれがないと明言し、報告を終えた。

残りの時間の会場発言で、田中宏さんは次のように話した。「3 点ほど問題提起したい。1外国 人登録令が、出入国管理法となった。人間に関する法律に“管理”とあるのは、おかしい。野党提 案の法にもある。国会でもそれを追求する人はいない。2住居の移転は 14 日以内に報告する義 務がある。しないと、日本人には5万円の行政罰、外国人には 20 万円の刑罰という差別がある。 3外国人の永住者等の「在留カード」は 7 年が有効期間、日本人のマイナンバーカードの有効期 間は 10 年という差別がある。これらの差別も是正していくべき」と。

最後に決議文が読み上げら れ、90 余名の参加者一同の 拍手で賛同し、集会を終えた。

<ご挨拶頂いた国会議員> 

 高良鉄美議員(沖縄の風・参)、山添拓議員 (共産・参)、水岡俊一議員(立憲・参)

 ※川田龍平議員(立憲・参)はチラシを置き資料を受取りご退室。 

※議員秘書参加:山添議員(上記)の折原さん、田島麻衣子議員(立憲・参)の矢下さん、 大椿ゆうこ議員(社民・参)の野崎さん、吉良議員(共産・参)の秘書の方、高良議員(上記)の 神田さん、水岡議員(上記)の藤野さん、阿部知子(立憲・衆)の小林さん、水野もと子議員 (立憲・参)の西塔さん。

( まとめ:高木澄子 写真:石川美紀子 )


*PDFのダウンロードはこちらからどうぞ!

2023年5月18日木曜日

とんでもない閣議決定から10年 国連人権勧告を実現させよう

 とんでもない閣議決定から10年

国連人権勧告を実現させよう

2013年6月18日に安倍政権が「国連の人権勧告に従う義務なし」と閣議決定してから10年になります。

 今国会で審議中の「入管法改定案」について、国連人権理事会の特別報告者らが「国際人権基準を満たしていない」として抜本的な見直しを求める共同書簡を送りましたが、政府はこれに対して反発する対応をしています。

 また、これまでにも共謀罪・秘密保護法・放送法などについても特別報告者の勧告は全く無視する対応でした。

 このように、この間の日本の人権状況について、この閣議決定がどのように影響しているか、義務なしとはどういうことか、国際的にどう考えられているかなど、国連の人権委員会の勧告について前田 朗さんにご講演を頂きます。

 国会議員からの発言、市民からの特別報告もあります。


日時 2023年6月20日(火)17:30~19:30  ※通行証配布 17:00~

会場 参議院議員会館 1階講堂

*会場は「参議院議員会館 1階講堂」で確定しました(2023年5月20日更新済)

資料代 500円(学生無料)

講演:前田 朗さん

「国際人権は高いハードルではない 

        ~すべての国が達成すべき共通の基準~」

  ※朝鮮大学校法律学科講師、1955年札幌生まれ。主著に『ヘイト・スピーチ法研究原論』『ヘイト・スピーチ法研究要綱』『憲法9条再入門』(以上三一書房) 『500冊の死刑』(インパクト出版会)『旅する平和学』(彩流社)。最新の編著は『ジャーナリストたち』(三一書房)。

発言:ご出席の国会議員から

特別報告:① 入管法改悪について

     ② 子ども基本法と朝鮮学校 

     ③ 放送法問題


|主催|国連・人権勧告の実現を!実行委員会

お問合わせ📞 090-9804-4196(長谷川)

[Eメール] jinkenkankokujitsugen@gmail.com   

[ブログ] https://jinkenkankokujitsugen.blogspot.com/


2022年12月18日日曜日

第10回 国連・人権勧告の実現を!  ドキュメンタリー上映&トーク「ワタシタチハニンゲンダ!」 監督が語る日本の外国人差別の実態

 ドキュメンタリー上映 & トーク「ワタシタチハニンゲンダ!」

監督が語る日本の外国人差別の実態

 第10回 国連・人権勧告の実現を!




 毎年「世界人権デー」の前後に行われる今年の集会は、多くの国会議員の参加と共闘を願い、2日後に閉会を控えた参議院議員会館で行った。

 集会開会の挨拶に続き、30分に短縮した上映は、植民地時代に強制連行した在日朝鮮人への差別が、現在のニューカマーの外国人へ引き継がれていることを如実に伝えた。


【基調講演「日本の外国人差別の実態」】 

高賛侑さん(「ワタシタチハニンゲンダ」監督)

日本は、国家自らが差別をしている

 この映画の制作期間は2年弱と短いが、それまでには長い年月がある。在日朝鮮人2世でひどい差別を受けたみじめな少年時代だったが、高校3年生のとき朝鮮大学校を知り、そこで学び、アイデンティティをもつことが出来た。

 日本ではこんなに差別があるが他の国はどうだろうと思い、1988年に中国へ行った。共産国だが、朝鮮族の学校があり朝鮮語を話していて、びっくりした。

では資本主義国はどうだろうと、1991年にアメリカ、ロサンゼルスの世界最大のコリアタウンへ行った。50~60年代の黒人の運動で、1964年に公民権法が成立しており、そこはソウルとほとんど変わらない状況だった。

 次に行ったのが、旧ソ連のカザフスタンだった。1937年のスターリン時代に沿海州から16万人が強制連行されたが、1986年にゴルバチョフのペロストロイカがあり、1989年にソ連最高会議で、強制移住は非合法だったと謝罪がされた。

 この3つの国を尋ねて発見したのは、日本では、外国人差別をしているのが国家自らで、それはきわだって異常だということだった。

民族教育差別は、最も大きい

 次に、日本に住む外国人について調べた。朝鮮人だけでなく、他の外国人へも同じだ。労働など多くの差別は「日本人と同じようにしろ」という要求である。特に問題なのは「民族教育」で、朝鮮人としてのアイデンティティを求めるものである。2010年高校無償化制度が始まったが、朝鮮高校のみが対象外とされ、自治体も補助金を停止した。各地で裁判を起したが、大阪以外はすべて敗訴。裁判所も差別政策を追認した。

 こんな中でつくったのが、2019年のドキュメンター映画「アイたちの学校」である。これはキネマ旬報文化映画ベスト・テンとなり、日本映画復興奨励賞等を受け、アメリカ、ドイツ、オーストラリア等でも上映された。

日本の外国人全体の問題だ

 一昨年から、外国人全体の問題をやらねばと考えたが、日本人は外国人に関心がないので観る人がいないのではないかと思った。スリランカのウィシュマさんの入管での死亡事件をきっかけに、世論は高まり入管法改定案は廃案になった。画期的な変化が起き、本格的な取材を始めた。技能実習生、難民の取材、未公開映像の入手も出来た。

 この映画では、韓国併合からの100年の歴史、現在の日本にいる外国人問題を扱った。収容所で39日のハンストをした人。壁に頭をぶつけて10回の自殺未遂をしたが壁がコンクリでなく板だったので死ねなかった人…。インタビューを思い出し、監督は声を詰まらせた。一つの差別をする人は、あらゆる差別をする。逆に一つの差別をしない人は、あらゆる差別をしない人だ。多くのテーマを扱って構成が大変だったが、記録に残すことは大切。

 技能実習制度の実態は、奴隷労働。多額の借金をして国を出ている。デートしたら解雇、妊娠したら解雇と言われても、国には、帰るに帰れない。難民認定は1%以下、無期限の入管収容、仮放免、就職禁止、住民登録不可、再収容の恐怖、多発する死亡、踏みにじられる難民の人権。

 見ていてつらい実態が映し出されるドキュメンタリーは、4月完成、5月公開。各地で、自主上映が増えているのは嬉しい。弁護士会でも上映活動がすすめられている。有志等の協力でアメリカ、ドイツ、韓国でも上映企画が進められている。

 国は次期国会に、「入管法改定案」を提案するかもしれない。共に闘っていきたい。


【特別報告(1)入管法改悪を許さない】

小堀百花さん(外国人労働者・難民と共に歩む会)

 大学生が多いが、高校生、市民たちで、入管へ面会に行く活動をしているグループです。名古屋入管に申し入れ、収容しないで仮放免を要求をしたら、牛久の入管に移されただけというのが、入管の現状。

 2月16日に院内集会を行い、ウィシュマさんのビデオの全面公開を要求した。5時間にまとめて公開するというが、医療問題にのみ矮小化している。

 未成年の仮放免者は300人いる。日本で生まれた収容者もいて、帰るところはなく日本にしかいられない。強制送還では解決しない。すみやかにビザを出すべきだ。入管行政、在留資格の抜本的改正が必要。


【特別報告(2)クーデター後のミャンマー人への人権侵害をめぐって】

渡邊さゆりさん(マイノリティ宣教センター)

 ミャンマーで軍事クーデターがあった2021年2月1日以降、大使館で働いていた1等書記官ほか数名の大使館職員がCDM(市民不服従運動)を表明し、無職になった。書記官はさりげなく大使館を出て、仲間に保護された。ミャンマー代表サッカー選手は、マスコミなどで報道されCDM表明後、難民認定が早急になされた。一方、名前の出せない2名の女性職員は身を隠した。日本政府が交渉しているのは、ミャンマー軍評議会。

 在日ミャンマー人の難民認定申請中の人は2944人。2021年はコロナの影響で、全体で申請者は40%減っているが、50ケ国の612人の申請者中25%がミャンマー人。全体で前年の27人増の74人が難民認定を受け、そのうち32人がミャンマー人。

 日本政府は暴力で支配する国軍を支えないで欲しい。根本的な外国人差別意識が政策を下支えしている。人道的支援、人権擁護が必要。


【特別報告(3)なぜここまで朝鮮学校の子どもたちを差別するのか】

 宋 恵淑(ソン ヘスク)さん(在日本朝鮮人人権協会)

 北朝鮮のミサイル発射に対して、北区十条の朝鮮学校の男子生徒に対して、50代の男が、「日本にミサイルを飛ばすような国が、高校無償化なんて、言ってんじゃねーよ」と足を踏みつけ言った。日本政府は「拉致問題があったから、高校無償化からはずす」と言った。政府自らが、ヘイトスピーチ、ヘイトクライムをするから、市民も同じことをする。

 10月に人権規約委員会勧告が出た。高校無償化問題では6度にわたる勧告だ。委員会に何度も足を運んでいるが、委員から「まだ差別が続いているのか!」と驚かれた。


【集会アピール 行動提起】

 行動提起は、朴金優綺(パクキム ウギ)さん。

国連の勧告は発展しているが、日本は「勧告に従う必要なし」の閣議決定で、全然進まない。日本国憲法98条2項には「日本が締結した条約は、…これを誠実に遵守する」とある。これを守ればいい。過去から現在に繋がる差別を、私たち市民が国連人権勧告をツールにして、差別を止めさせ、人権を確立しよう、と力強く提起した。

集会の参加者は120人だった。

(まとめ 高木)

2022年11月1日火曜日

第10回 国連・人権勧告の実現を! ドキュメンタリー上映&トーク「ワタシタチハニンゲンダ!」 監督が語る日本の外国人差別の実態

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第10回 国連・人権勧告の実現を!

ドキュメンタリー上映&トーク「ワタシタチハニンゲンダ!」

監督が語る日本の外国人差別の実態

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 人間は出自に関わりなく、人権を保障されるべき存在です。しかし、入国管理施設での虐待、国際的には人身売買と批判されている技能実習生制度、高校無償化制度からの朝鮮学校の排除などの実態を見てゆくと、日本において人権は誰もが生まれながらに保障されている権利ではなく、日本国民の特権ではないかと思われる現状が続いています。


 昨年3月、名古屋出入国在留管理局で収容中のスリランカ人ウィシュマ・サンダマリさんは自身の体調不良を訴え続けていたにも関わらず、適切な治療を施されないまま亡くなりました。ウィシュマさんの遺族が「真相や責任の所在が明らかにされていない」として、国に賠償を求めた裁判が現在係争中です。また、茨城県牛久市の入国管理センターに収容されていたカメルーン出身の男性が死亡した事件では、今年9月、水戸地裁の判決で、国の賠償責任が認められました。私たちは、この臨時国会にて、政府がウクライナ危機を根拠に、避難民保護とは関係のない難民の送還停止の制限など問題のある入管法「改正」案を再度提出しようとしていることに強く抗議します。


 私たち、「国連・人権勧告の実現を!実行委員会」は、様々な人権問題に取り組む個人や団体が、連帯して活動しています。毎年12月10日の「世界人権デー」前後に、大きな集会とデモを行っています。


 今年は、12月8日(金)、永田町の議員会館にて、日本社会の外国人差別を告発したドキュメンタリー映画「ワタシタチハニンゲンダ!」の短縮版を上映し、監督、高賛侑(コウ・チャニュウ)さんのお話を伺います。日本に暮らす外国人が「私たちは人間だ!」と訴える必要のない社会を築くために何をすべきかということを国会議員の皆さんと共に考えます。是非、ご参加ください。


 ◆日時 2022年12月8日(木)16:00スタート(通行証配布は15:30より)


◆場所 参議院議員会館 講堂


 ◆プログラム


◎「ワタシタチハニンゲンダ!」ダイジェスト上映


◎基調講演「監督が語る日本の外国人差別の実態」(高賛侑監督)


 【高賛侑監督プロフィール】

~1947年生まれ。朝鮮大学卒業。文芸活動に従事し月刊誌「ミレ」編集長を経て、現在はノンフィクション作家。国際高麗学会会員。諸大学の非常勤講師。部落解放文学賞受賞等受賞。長編映画「アイたちの学校」は第37回日本映画復興奨励賞受賞など多数受賞し、海外でも上映された。「ワタシタチハニンゲンダ!」は長編2作目の作品。


◎課題別報告

①「入管法改悪を許さない」小堀百花さん(外国人労働者・難民とともに歩む会)

②「クーデター後の在日ミャンマー人への人権侵害をめぐって」渡邊さゆりさん(マイノリティ宣教センター共同主事)

③「なぜここまで朝鮮学校の子どもたちを差別するのか」宋恵淑さん(在日本朝鮮人人権協会事務局)

◆賛同のお願い

本実行委員会は、様々な人権課題に取り組む個人や団体が連帯して活動しています。日本社会の人権課題は改善されるどころか、むしろ後退している状況です。人権意識の向上のため、世論に訴えていくことと誠司を動かすことが大事です。ぜひ皆さんの賛同と集会への参加をお願いします。

◎賛同者・賛同団体は賛同金の納入によって確定します。

◎賛同金は一口1,000円です。団体はできるだけ複数口お願いします。


【振込先】

-加入者名 国連人権勧告実現

-ゆうちょ銀行から 振込口座 00100-6-264088

-ゆうちょ銀行以外から 019支店 当座 0264088

*振込手数料はご負担くださいますようお願いいたします。賛同締め切りは11月25日までとします。賛同いただいた方のお名前を当日プログラムに掲載しますが、掲載を希望されない方はその旨お知らせください。


◆主催・問合せ

国連・人権勧告の実現を!実行委員会

E-mail:jinkenkankokujitsugen@gmail.com

URL:http://jinkenkankokujitsugen.blogspot.jp/

Tel:090-9804-4196(長谷川)

2022年8月14日日曜日

デモでアピール!!国連人権勧告を実現させよう


  ご存じですか。2013年6月、日本軍「慰安婦」問題をめぐり、国連の勧告を守るように要請した国会議員の質問趣意書に対して、当時の安倍政権は「国連人権勧告に従う義務なし」と閣議決定をしたのです。日本は様々な国連の人権条約を批准しながら、国内法の整備をせず、差別をなくすための多岐にわたる勧告を受けてきましたが、義務を果たすことなく、人権劣化を招いています。

 日本軍「慰安婦」問題、朝鮮学校差別、女性の人権、アイヌや部落差別の解消、ヘイトスピーチ問題、近くは、選択的夫婦別姓の実施促進、死刑制度廃止、性的マイノリティへの差別など、たくさんの勧告を無視し、差別を放置し続けています。

 2013年8月に人権多くの団体が集まり結成した「国連・人権勧告の実現を!実行委員会」では、毎年12月10日の「世界人権デー」前後には大きな集会とデモを行ってきました。

 この間コロナの影響で、会場の問題もあり、デモができない事が続きましたが、もう我慢できません。昨年起きた名古屋入管でのウィシュマ・サンダマリさんの死亡によって入管体制の非人道的な対応が明らかになりました。多くの人たちの反対で前国会で廃案になった入管法「改定」案を、政府はこの秋にも再度を提出する予定です。

 これ以上、人権問題を悪化させてはなりません。皆さんとともに、デモでアピールしていきましょう。

 

◇日時 2022年9月25日(日)

14:00 ミニ集会でリレートーク

14:30 新宿駅周辺をデモでアピール

 

【リレートーク】7~8人くらい各3分くらいの予定

【準備】各団体や個人が、幟やプラカを用意して持参してください。主催者の幟も多数あります。

【お願い】

①コロナの感染が拡大しています。状況によっては計画が変わることもあります。ホームページ(国連人権勧告実現で検索)や下記連絡先までお問い合わせください。

②リレートークで発言したい方は、9月18日(日)までに下記までお申し込みください。最終調整は主催者が行います。

 

◇主催・問合せ 国連・人権勧告の実現を!実行委員会

090-9804-4196(長谷川)