デモでアピール2026!! 包括的差別禁止法をつくろう! 報告
「包括的反差別法をつくろう!」と、この時期に行っている集会とデモは、9月27日の午後4時から、新宿東口の旧アルタ前でリレートーク集会を行い、その後、新宿駅周辺の人通りの多いところを、デモ行進しました。
9名のリレートークはどれも素晴らしく、デモでは、日本語、朝鮮·韓国語、英語の3ケ国語でアピールをし、参加者全員でのシュプレヒコールで訴え続けました。天候は曇りで、暑くもなく、夕闇のせまった6時すぎに流れ解散しました。集会の進行は、長谷川和夫、そして、デモ中のアピールとシュプレヒコールのリードは、森本孝子、朴金優綺が担当しました。
以下に9名の方たちの発言を報告します。
1. 朝鮮学校差別
宋恵淑さん(在日朝鮮人人権協会)
アンニョンハシムニカ。 こんにちは。
在日朝鮮人の人権に関する活動をしており、朝鮮学校に子どもをおくる保護者でもある宋恵淑と申します。本日は朝鮮学校およびその子どもたちに対する差別の問題についてお話します。
日本政府がいわゆる「高校無償化」制度を開始したのは2010年でした。この制度は各種学校認可を受けた外国人学校に通う子どもたちも対象とした画期的なものでした。しかし日本政府は2013年、「拉致問題の解決に進展がない」などの政治的·外交的な理由をもって、朝鮮高校の子どもたちだけを完全に「高校無償化」制度から除外しました。これは朝鮮学校の子どもたちに対する明白な民族差別であり、学ぶ権利の侵害です。
この問題については、制度開始からこれまでに行われた国連の子どもの権利委員会、人種差別撤廃委員会、社会権規約委員会、自由権規約委員会などでも、朝鮮学校の子どもたちに対する差別であり、人権侵害であると繰り返し指摘され、批判の声があがってきました。そのうえで、日本政府に対し、ただちに朝鮮学校の子どもたちにも「高校無償化」制度を差別なく適用するよう求められてきました。しかし、日本政府はそうした人権機関からの声に真摯にむきあうどころか、幼保無償化制度から朝鮮幼稚班の子どもたちを排除するなど、新たな差別を次々に行ってきました。
そのようななか、今年度より「高校無償化」制度が改正されました。日本政府は収入要件をなくし、私立高校への支援額を引き上げるなどして実質的な無償化を実現したと喧伝していますが、実際は違います。朝鮮高校は引き続き除外されたままですし、そのうえで、外国人学校全体を、外国人学校に通う高校生たちを、制度から除外したのです。さらには、改正前までは日本に居住するすべての高校生が対象となっていましたが、改正後は子どもの在留資格によって選別までされることになりました。すなわち、「高校無償化」の拡充どころか、差別が拡大されてしまったのです。通っている学校によって、在留資格が何かによって子どもの学ぶ権利を奪う、こんな差別が許されてよいはずがありません。
差別的な「高校無償化」制度は、国連の子どもの権利条約の精神にのっとって制定されたこども基本法に明らかに反しています。朝鮮学校は、日本が植民地支配によって奪おうとした朝鮮のことばや、文化、誇りを取り戻すかけがえのない場であり、日本政府には、朝鮮学校での民族教育を保障する義務があります。日本政府による差別政策の拡大に歯止めをかけることが、待ったなしで求められています。
ここにお集まりのみなさんとともに、差別や排外主義に反対する声をより大きく、力強く上げていきたいと思います。ありがとうございました。
2. 日の丸·君が代強制
田中聡史さん(第5次訴訟原告)
東京「君が代」裁判第五次訴訟の原告の田中聡史です。東京都立の特別支援学校の教員です。裁判の状況と職場の状況について発言します。私は教員という仕事を通じて、差別のない社会を作りたい、誰もが平和に生きることのできる社会を作りたい、と願ってきました。
そのような私にとって、2003年に発出された「10·23通達」に基づく校長からの職務命令は、耐えがたいものがありました。卒業式·入学式において、「日の丸」に向かって起立し、「君が代」を斉唱せよ、という職務命令です。「日の丸」や「君が代」は、かつての日本政府によるアジアに対する侵略戦争や植民地支配のシンボルです。「君が代」斉唱時に、「日の丸」に向かって起立し、それらに敬意を表すという所作は、私にとって、平和に生きる権利を否定し民族差別を肯定する行為なのです。
私は、卒業式·入学式に参列した際、私自身の歴史観と良心とに照らして、どうしても「君が代」斉唱時に起立斉唱することはできませんでした。その結果、職務命令に違反したとして、繰り返し処分を受けました。私が受けた処分のうち、5件の減給処分と2件の戒告処分の撤回とを求めて、都立高校の教員らとともに、2021年に「東京『君が代』裁判第五次訴訟」を提訴しました。そして、2025年の7月、東京地裁で判決が言い渡されました。
地裁判決は、減給処分を取り消す、という部分勝訴でした。残念ながら、戒告処分は取り消されませんでした。また、「10·23通達」は違憲である、という私達の主張も認められませんでした。これは、従来の最高裁判決を踏襲したものです。裁判決を受けて、私達と都教委の双方が高等裁判所に控訴し、一昨日の9月25日、東京高等裁判所で、判決の言い渡しがありました。判決では、双方の控訴が棄却され、減給処分取り消し、戒告処分容認の地裁判決が、高裁でも維持されました。
次に、私の職場について、お話します。
私は、東京都立の特別支援学校で働いています。知的障害教育部門の小学部の教員です。今年は特別支援教育が始まって20年目です。日本の15歳未満人口は45年連続で減少していますが、特別支援学校の小中学部の在学者数は2013年の約6万7千人から2025年の8万4千人へと増加しています。さらに、小中学校の特別支援学級に在籍する児童生徒と通級指導を受ける児童生徒は約25万3千人から55万9千人へと2倍以上に増えています。
2025年の文部科学省の調査で、東京都の公立特別支援学校の教室不足数は458教室と全国最多です。私達の学校の知的障害教育部門も教室不足で、多くの教室を間仕切りで2分割して使用しています。特別教室も不十分で、小学部低学年は各教室で図工の授業をし、廊下で朝の運動をしています。
文部科学省は、小中学校で2007年から「全国学力調査」を、2008年から「全国体力·運動能力、運動習慣等調査」を実施しています。2006年の教育基本法改悪直後から、これらの「調査」と特別支援教育が始まりました。「調査」は障がいのある子どもと、ない子どもを分離する道具なのか。その「分離」は差別や戦争のための徴兵制へと続くのか、と私は危惧しています。
現在、東京都の公立学校では、卒業式や入学式に式場や屋外の掲揚ポールに「日の丸」が掲揚され、「君が代」斉唱も強制されます。それだけではなく、毎年、3月10日や11日には、東京大空襲や東日本大震災の被災者を追悼する、との名目で「日の丸」の半旗が屋外に掲揚されます。
このようなひどい現実を変えていくために、共に闘いましょう。10月25日(日)には、午後1時半から、日比谷図書文化会館で、「学校に自由と人権を!10·25集会」を開催します。ぜひご参加ください。
3. アイヌ民族の人権
宇佐照代さん(アイヌ民族·ハルコロ店主)
日本にはアイヌ民族をはじめ、たくさんの民族がいます。決して単一民族国家ではありません。アイヌ施策推進法では、アイヌ民族は日本の先住民族であると明言しています。にもかかわらず、政治家の中には、いまだに「日本は単一民族国家」だと発言をする人がいます。明らかに事実も法律にも反する発言です。
また、ネット空間でのヘイトスピーチは後を絶ちません。「アイヌはいない」という発信が繰り返されています。それでは昔から私たちが「アイヌ」として差別されてきた事実はどうなるのでしょうか?「アイヌ」であることで差別され、今は「アイヌ」はいないと存在を否定される、こんなひどい差別はありません。
かつて、アイヌ民族の墓を暴き、御遺骨を持ち去った研究者がいました。研究目的で盗掘されて未だに返還されない御遺骨が、大学などの研究室や、ウポポイの慰霊施設にたくさんあります。一刻も早くご遺骨をもとの土に返してあげたい。それが私たちアイヌ民族の願いです。
4. 琉球·沖縄の軍事基地化問題
青木初子さん(沖縄·一坪反戦地主会関東ブロック)
2007年、国連による「先住民の権利宣言」が採択されてから19年、2008年以来、自由権規約委員会や人種差別撤廃委員会などから何度も琉球·沖縄の人々に対する「先住民族としての権利や文化など認め保護するように」との勧告が出されています。2010年の「基地の集中は現代的民族差別」の勧告に対する日本政府の立場は、「基地の集中は地政学的な安全保障上の問題で差別ではない」という許しがたい対応です。
1897年に約450年の歴史を持つ琉球国がヤマト民族に滅ぼされ「沖縄県」にされて以来、徹底した皇民化政策が行われてきました。天皇制護持のため4人に1人が犠牲になるという沖縄戦、その後、天皇制存続のために昭和天皇は、「26年ないし50年、米軍による支配が日米の利益になる。多くの国民は反対しないだろう」と米軍に差し出し、しかもそのことを隠蔽し、日本は独立しました。そして今日まで続く「軍事植民地」の沖縄の姿があります。米軍は国連の査察がある信託統治さえ拒否し、沖縄を自由使用しました。
日本は国連の勧告に対し「先住民族はアイヌ民族だけ」であり、さらに1879年の「琉球併合」にしても現在でも「定かなることはいえない」と主張し「沖縄·琉球の人々は先住民族である」という国連勧告を否定してきました。
米軍による事件·事故·性暴力に苦しむ沖縄に対し、2024年の国連·女性差別撤廃委員会が選択的夫婦別姓などとともに「沖縄の女性への暴力を防止し、適切な加害者を処罰する仕組みを講じ、2国間の軍事合意の交渉などに女性の代表も参加させるように」との勧告をだしました。沖縄の女性たちが少女暴行事件など続発する性暴力への実態を国連に訴えて出された勧告です。国連は「基地集中は差別の根拠」であり、辺野古新基地建設についても懸念を示し、「琉球·沖縄の人々と話し合うように」と勧告を出していますが、日本政府は工事を強行しています。
国土0.6%の沖縄に70%以上の米軍基地を置き、その上、自衛隊の基地が島々に建設され、現在、日米のよる軍事要塞化が急ピッチで進み、司令部の地下化や強靭化などと共に「与那国・石垣・宮古」の12万人の人々を、1週間で九州·山口県への避難計画も出されています。民間インフラ含めて「中国敵視」の実戦訓練が実施され、今や戦争の最前線です。日本の防波堤とされた沖縄戦のように再び沖縄を戦場にしてはなりません!琉球·沖縄の人々も安心·安全に生きる権利があります。「日本政府は国連勧告を誠実に取り組み、沖縄の先住民族としての権利を擁護し、軍事植民地支配をヤメロ!」と、共に声をあげていきましょう。
5. 日本軍「慰安婦」問題
木瀬慶子さん(戦時性暴力連絡協議会)
首都圏では、毎月第3水曜日に新宿南口で、「慰安婦」問題解決のための水曜行動を行っています。7月に100回を超えました。
金学順さんが日本軍による性暴力被害を訴えた1991年から今年は35年目を迎えます。その勇気ある告発を境にアジア各国とオランダの日本軍性奴隷制被害者が声をあげ、さらに 旧ユーゴ紛争下の性暴力被害女性がこれに続きました。1993年のウィーン世界人権会議で東西の被害女性たちがともに声をあげたことで、戦時性暴力根絶は世界的イシューになりました。
しかし日本の今は、1993年の「日本軍が関与した」という河野談話さえ否定し、強制連行や性奴隷を否定する「外交青書」を毎年出しています。政府が歴史否定を公然と語っているというのが日本の大きな問題です。それは、勇気を奮って声をあげ証言をしてきたサバイバーたちにとって、人権侵害の何ものでもありません。
他方、韓国では、「慰安婦被害者法」の改正案が今年の3月に国会で可決され、6月から施行されています。もともと被害者支援として医療·福祉、さらには歴史資料収集保存などを決めた法律でしたが、今度の改正では、日本軍「慰安婦」被害者を誹謗する目的で、事実を否定·歪曲したり虚偽事実を流布したりして名誉を毀損した場合には、5年以下の懲役または5000万ウォン(約532万円)以下の罰金に処することという内容が付加されました。
2020年ごろからソウルの日本大使館前の「平和の少女像」の回りを極右団体が占拠をして、1992年からずっと続けてきた正義連(日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯)の水曜デモが、同じ場所では開催できない状況が続いていました。その極右団体よる少女像破壊の懸念から少女像を囲むかたちで設置されたバリケードが、この法律の改正によって、今年5月にやっと全面撤去されました。法改正によって日本軍「慰安婦」に関する虚偽情報の流布が、処罰の対象となりました。まだ日本政府の無視と、一部勢力による侮辱や歪曲は続いていますが、それでも人権尊重に向かって韓国社会が進んでいるという希望が見えます。水曜デモを攻撃し、被害者を侮辱するSNSを掲載した保守系団体代表は、すでに逮捕されています。「慰安婦」被害者が、「金を稼いでいた」とか「ウソをついている」という被害者の尊厳を傷つける発言と行為に処罰を与えることで、ソウルの水曜デモは、また以前のように「平和の少女像」前での集会を開催できるようになりました。
こうした法が日本にあれば、日本軍「慰安婦」問題でも被害者を誹謗中傷したり、「慰安婦問題はなかった」などと発言する人たちの声は、小さくなっていたと思います。しかし日本の場合には、政府自らが歴史を否定し、強制連行を示す資料はないと、大ウソをつくという逆転した、人権感覚のなかにあります。
そして最近では、ニュージーランドのオークランドで、平和の少女像を設置しようと市民団体が許可を求めていましたが、その過程で日本大使館が繰り返し設置許可の取り消しを求め、最終的に今年の4月に設置ができなくなりました。とんでもないことです。これまでも他国の市民が他国の地に少女像を設置することに、日本政府は妨害してきましたが、またしても恥ずべきことを繰り返しています。
90年代から「歴史を反省する必要はない」と発言していた高市さんの場合には、日本のかつての植民地支配や侵略戦争を反省することなく、戦争への道に進むことしか頭にないのですが、私たちは、日本政府が加害事実に誠実に向き合い、謝罪と賠償をする人権尊重の市民社会をしっかりと作っていきたいと思います。
そして包括的反差別法を求めていく大きな運動が、あらためて必要な時だと思います。
皆さんとともに、進みます。
6. 改悪入管法·外国人差別問題
織田朝日さん(SYI収容者友人有志一同)
日本における外国人の問題は良くならず、悪くなる一方です。2023年、悪法と呼ばれた入管法が通過したあたりから、ネットから川口市で暮らすクルド人たちへのヘイトスピーチが始まりました。もちろん悪いクルド人だって、嫌なクルド人だっています。それは、どの民族にも言えることです。しかしレイシストたちは、クルド人が何か問題を起こしたら全員が悪いかのように言います。真面目に日本で暮らしている人も沢山いるのに、連帯責任にして「国から出ていけ」と繰り返します。デマや差別発言も目立ちました。川口市で何らかの事件がニュースになると、ネトウヨはこぞって「クルド人の仕業だ」と言います。それが違ったと分かっても、謝罪も訂正もしません。新たにデマを作り上げていきます。
次第に、クルド人だけにとどまらず、非正規滞在者やムスリムにも敵意が向けられました。外国人叩きが一大ブームのように湧きあがり、外国人叩きをするユーチューバーが後から、後から現れました。「悪い外国人から日本人を守る」と大きな声を上げれば、人気が上がり、政治家や国会議員にもなれるのです。なんと、恐ろしい国なのでしょうか!
法律と関係なく、いきなりビザのない外国人は運転免許証を作れなくなります。また大金をはたいて取得した免許証が、更新できなくされるのです。今まで出来たことが急にできなくされる理不尽さ。ビザがない相手になら何をしても良いわけではありません。あまりにも人として見ていません。
もっと多くの人が抵抗の声を上げないとこの国は本当にダメになってしまうと私は危惧していました。「ビザがない外国人は犯罪者」「悪い外国人を追い出せと言っているだけ。差別じゃない」とレイシストたちは声高に喚き散らします。排外主義はネットを飛び出し、現実の世界に現れました。クルド人の子どもが、日本人男性に突然殴られたり、パキスタン人のモスクが火を放たれました。ヘイトクライムはもう始まっているのです。
ヘイトは、ビザがあり日本で問題なく長年暮らしている人にも牙が向けられました。永住権の取り消しの法律が出来たり、ビザの更新が莫大な値上げとなりました。今まで更新は一律6000円だったのが、ビザの期間によって3万円、7万円、そして永住権を取るには20万円となったのです。ありえないぼったくりです。外国人が企業を起こすのに500万円だったのが3000万円になります。急に更新手数料も高くなり、今まで問題なくやってきたのに、これでは倒産してしまう企業やお店が出てきて、生きていけなくなります。人生そのものが壊されるのです。
こんなことを許し続けていれば、いずれは日本人にも向けられるようになるでしょう。外国人(弱い立場に置かれている人)を守ることは、自分たちを守ることに繋がります。皆さんもご存じだと思いますが、今の政権は市民の生活など考えていません。自分達だけ良ければそれでいい人たちなのです。私もこれからも様々な方法を考えます。皆んなが、それぞれが抵抗していかなければいけません。
7. 強制徴用問題
矢野秀喜さん(強制動員問題解決と過去清算のための共同行動事務局)
皆さん、こんにちは。今年も、この場で、戦時中に日本に強制動員され、炭鉱、土木建設現場、軍需工場等で強制労働させられた韓国人、その遺族の人権と尊厳の回復が必要である、とのアピールをさせていただきます。
今、日韓政府間の関係は良好です。ですから安倍政権時代のようにこの問題がメディアで取り上げられることは殆どありません。また、今年は戦後81年、そんな大昔のことを何故持ち出すのか、蒸し返すな、と思っている人も多いかも知れません。
しかし、この問題は終わっていません。二重の意味で終わっていないのです。
ひとつは、韓国では強制動員被害者が起こした裁判は何と67件に上り、うち17件では被害者の勝訴が確定して企業に賠償が命じられ、46件の訴訟が今も進行しているからです。また、ILO(国際労働機関)の条約勧告専門家委員会は今年2月に報告書を出しましたが、その中で、日本政府に「問題が未だに完全に解決されていないことを遺憾」だと言い、「(問題を)解決するための措置を遅滞なく講じる」よう強く促しているのです。ILO専門家委員会の勧告はこれで14回目です。これで問題は終わっていると言えるでしょうか ⁈
企業は「コンプライアンス重視」、「国連·ビジネスと人権に関する指導原則を尊重、遵守する」と言います。日本政府も「法の支配」の重要性を言います。そうであれば、実行していただきましょう。隗より始めよ、と言うではありませんか。
もう一つは、この国では今でも強制労働が横行しているからです。つい最近も、北海道の農業法人で働いていた特定技能のミャンマー人労働者が、暴力、暴言、セクハラなどの被害を訴え、職場から脱出したという事件がありました。その農場では、ミャンマー人労働者に「お前たちの代わりはいくらでもいる」、「ミャンマーに帰れ」、「お前たちの雇い主だぞ」、「日本のご主人様は誰だ」などの暴言が日常的に投げつけられていました。ここには人権も労働基本権もありません。差別、排外主義丸出しです。ただ、言えることは、問題はこの農業法人にだけあるのではない、ということです。この国の外国人労働者政策、この国を覆う日本人ファースト、排外主義にこそ焦点を当てるべきではないでしょうか。強制労働は終わっておらず、過去の問題と地続きで繋がっています。禍根は絶たなければならないのです。
この国が戦時中に強制連行、強制労働を行ったことは否定できない事実です。そうであれば、その被害者の人権、尊厳を回復するにはどうすべきかを企業、政府は考えるべきです。ILOも、解決策を遅滞なく講じよ、と言っています。また、今、排外主義が横行し、戦争に向かうこの国の歩みを止めるためには、過去の過ちを克服させる必要があります。私たちの闘いは重要です。
ともにがんばりましょう。
8. 原発被災者の人権問題
木村雅英さん(経産省前テントひろば)
福島は終わっていません。
廃炉は全く見えず、海も陸も放射能汚染中です。
2011年3月11日の東電福島第一原発事故は、日本史上例のない原子力災害です。放射性物質は、長野県や静岡県にまで達しました。15年半経った今も、原発周辺の放射性物質濃度は高く、帰還困難区域が存続して「原子力緊急事態宣言下」にあり、廃炉作業は進まず、15年間でデブリを数グラム取り出しただけで、ロードマップの改訂すら長らくできていません。
原発事故の責任を追及する各地の裁判が65件、全国脱原発訴訟が67件行われています。福島は、全く終わっていないのです。
被災者の人権は守られていません。
福島で高齢ではない方々ががんで亡くなった事実を、東京にいる私たちも知っています。そう、悲しいことに福島県のがん罹患率は、増えています。例えば、「全国がん登録」データから、「無視され続ける疫学解析の警告~胃がん12年連続、胆のう·胆管がん男女で長期多発」と明石昇二郎さんが、科学的·疫学的に重要な報告をしています(週刊金曜日4/10)。
また、福島県で県民健康調査が実施された結果、小児甲状腺がん患者は既に400人を超えました。通常は、数十万人に一人しか発生しない小児甲状腺がんが、多発しています。「子ども甲状腺がん裁判」には、毎回多数の傍聴者が集まり注目されています。
原発に係わる国連人権勧告について述べます。
ICRP(国際放射線防護委員会)でさえ、人々の年間被ばく限度は1mSvと主張しています。それゆえ、国連人権理事会の特別報告担当者アナンド・グローバーさんは、日本政府の「100ミリシーベルト以下なら安全」は間違いと発言しています。「年20mSvに帰還」と言うも、差別·棄民政策です。
昭和と東京電力について考えるのは、1945年に昭和が終わっていれば、戦争を推進した政治家も、官僚も、メディアも、教師も、多くの国民も、侵略戦争をよりしっかり反省できたのではないでしょうか。同じ過ちを、経産省と東京電力が、繰り返しているのです。大災害をもたらした東京電力を潰さず、柏崎刈羽原発の再稼働を許した経産省は、「亡国の省」だと、言いたいです。
原発(核発電)も戦争も無い世界を
会社ぐるみで不正をしている企業は、浜岡の中部電力のみではありません。原発はなぜ止
められないのか? これに群がる産業と人が非常に多いからだと、日本原電の元理事は言っています。日本で武器輸出も武器輸入も許されて、景気浮揚する企業と人が増えれば、再び侵略戦争を繰り返します。
何よりも、命を大切にしましょう、地球を大切にしましょう、未来を大切にしましょう。差別のない、憲法九条が生きる社会を実現しましょう。
9. 戦争は最大の人権侵害、人権が尊重される社会関係を作り上げる
土井登美江さん(安保法制違憲訴訟·女の会)
安保法制は2015年9月19日に国会で強行採決されました。この法案に対しては全国から反対の声と大きな行動があったにもかかわらず成立し、それまで戦争をしない国であった日本が、集団的自衛権の行使を認め、外国·アメリカと一緒に戦争をする国になってしまいました。
安保法制は憲法違反であると、全国で25件もの訴訟が、7000人以上の原告と、1600人以上の弁護士が立ち上がり、裁判に訴えました。私は121名の原告と弁護士の全員が女性で構成される「安保違憲訴訟·女の会」の原告の一人です。
東京地裁に訴えたのは2016年8月15日の敗戦記念日で、今年7月に東京高裁で却下され、今、最高裁に上告中です。全国の他の24件の裁判はすべて敗訴し、今も審理が行われているのは、私たちの「女の会」の裁判だけです。裁判では、平和憲法の下で生きてきた私たち一人一人の行動と経験が、平和な日本の社会を形作ってきたものであり、憲法の主体は私たちです、訴えてきました。
裁判に訴えてからこの10年間、私たちが不安に思っていた通り、日本は戦争への道のりをどんどん進んでいます。住宅地の近くに弾薬庫が常設され、パラシュート訓練が頻繁に行われ、日米の合同訓練が頻繁になり、自衛隊の戦艦がアジアで合同訓練をし、イギリス、フランスなどの軍艦が日本に寄港し、民間空港を自衛隊や米軍が使い、沖縄の島々に自衛隊基地が置かれ強化されてミサイルが設置され…。高市政権は大幅に軍事費を拡大しています。また日本の武器が輸出されることにもなりました。裁判では、安保3文書により、一層戦争への危険が増し、原告の被害が拡大したことも具体的に訴えています。
安保法制違憲訴訟を通し、私は改めて「戦争は最大の人権侵害である」ことを実感しました。「人権」とは、一人一人が、その人の思うように自由に生き、それをお互いが認め合い、日常生活が安全·安心にできる社会での対等な関係性があることが基本です。そうした「人権」のありようを妨げる最大の要因が「戦争」であり、その準備を進めるのが安保法制であり、人権侵害の法であり、憲法違反の法であると、主張してきました。
安保法制成立後は、それに抗議して毎月「19日行動」を継続しています。その行動に、特に最近は若い女性たちが多く集まり、国会に向かって声を挙げ続けています。それはフェミブリッジとして、全国にも広がっています。
共に、歯止めのない戦争準備に反対し、平和憲法を守って行きましょう!!
( 編集 高木澄子 写真 石川美紀子 )












