2020年7月22日水曜日

第35回学習会 それでも私たちは人権をあきらめないー国連自由権規約委員会 日本審査に向けて・・・腐敗するニッポン 壊死する政治・・・

第35回学習会 それでも私たちは人権をあきらめない

国連自由権規約委員会 日本審査に向けて
・・・腐敗するニッポン 壊死する政治・・・


 
 国連は、第二次大戦の反省から、すべての人の人権を尊重すべく 1948 年に「世界人権宣言」を採択しました。続いて国連人権委員会は、人権実施文書の作成作業に取り組み、世界人権宣言が理想とする「自由な人間」であるためには、市民的及び政治的権利が保障されるだけでなく、欠乏からの自由、つまり経済的、社会的及び文化的権利の確保が必要であるという観点から、2つの草案を作りました。それが「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際的規約(社会権規約)」と「市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)」として成立しました。

 規約を批准した国は規約の履行状況を委員会に報告して審査を受けます。女性差別撤廃委員会、子どもの権利委員会、人種差別撤廃委員会では、それぞれのテーマが取り上げられますが、自由権委員会では、思想信条の自由、表現の自由、人身の自由をはじめとするさまざまな自由の状況について審査が行われます。

 日本の課題として、前回2014 年の勧告にあった「ヘイトスピーチ解消法」「部落差別解消推進法」「技能実習法」「アイヌ特措法」などの法制定は行われたものの、依然として差別やヘイトスピーチが絶えない状況を憂慮して、在日コリアン、移住者、移住労働者、被差別部落、アイヌ民族、琉球・沖縄の人々などマイノリティ及び先住民族のコミュニティの人々の自由保障は重要課題です。

 そして、本年10月にも審査が行われる予定です。日本政府はどのような報告を提出し、それに対してどのような審査がなされ、どのような勧告が出されるのか、ジュネーブの国連欧州本部と国連人権高等弁務官事務所に通ってきた前田朗さんを講師として招き、一緒に学び合いたいと思います。多くの方のご参加をお願いします。

日時 2020 年 9 月 25 日(金)開始 18:30
 
講師 前田 朗さん
 
東京造形大学教授(刑事人権論)。
日本民主法律家協会理事。国際人権活動日本委員会運営委員。東アジア共同体・沖縄(琉球)研究会副代表。
 
会場 連合会館 501 号室
    千代田線 新御茶ノ水駅 B3 出口
    丸ノ内線 淡路町駅 B3 出口
    都営新宿線 小川町駅 B3 出口
    JR総武線・中央線 御茶ノ水駅聖橋口
 
参加費 500 円
 
主催 「国連・人権勧告の実現を!」実行委員会
 
問合せ 090-9804-4196(長谷川)
 

第34回学習会の報告

第34回学習会の報告
 
 6月16日の連合会館。

 久しぶりの学習会だった。電車に乗って出かけるのがためらわれ(何しろ若い友人から早い時期に言い聞かされたのだ、トリアージの場面になったら70代以上の持病持ちは、間違いなく人口呼吸器は使えずそこまでとなるから、絶対に感染しては駄目!!と)、電車はほとんど使わず、ひとにも会わず読書ざんまい。しっかり歩き、幸いにも閉じないで頑張ってくれた友人の自然食レストランが命綱だった。

 そんな私(似たような人も多かったと思う)には、この日のお話はとても新鮮で、改めてもうオリンピックはやるべきでない、はやくやめろ!という思いを深くするものだった。

・2020年東京五輪を前に考えること「孫基禎の人生からオリンピック・人権を考える」

 話し手は寺島善一さん(明治大学名誉教授)ご専門はイギリスのスポーツとのこと。
孫基禎(ソン・キジョン)さんの息子さん孫正寅(ソン・ジョンイン)さんもご同行くださった。

 五輪が、その憲法ともいうべきOlympismからどれほど無縁なものとなっているか、から話が始まった。いつどこでやるか、チケットはどうやって配布されるのか、それ以前にどこでどうやって物事が決まっていくのか、さっぱりわからない。しかもあらゆることが巨大な利権につながっている、1から100までどこまでも商業主義で決められ、スポーツの祭典だから素晴らしいと参加する人々の素朴な思いは、どこにも届かないし、つながらない。寺島さんはそれを、一つずつ細かにご自分の体験につないで、正確な知識と共に話され

<スポーツと人権をめぐる諸問題―スポーツと政治は無関係と言ってスポーツマンの発言を封じる政治性>

●競技場に「旭日旗」持ち込みが現実に起きたこと、今回の東京五輪にも持ち込んでよい。それが問題はないと政治家が発言している

●クルド人労働者への警官の暴行(これはアメリカの話ではない)が実際に起きており現場のビデオ録画は放映もされ、また入管での暴力問題など(餓死者も出た!!)も私たちは知らなくてはならない

●朝鮮学校に対する差別と排除がとどまらない。マスク不配布どころか教育無償化からの排除が(幼稚園まで)広がっている一方である。

●ひどいヘイトスピーチも野放しで、いかなる反省もないどころか拡散している(京都の小学校での悪質なヘイト行動が実質的には問題にされていないし、実行者は反省していないどころか行動はエスカレート。7月13日大阪高裁に注目!!)

●毎年行われている9・1朝鮮人虐殺慰霊祭に、小池は追悼文を送らず。(石原でさえ送ったというのに)すぐ隣で在特会そよ風が大声でヘイトをわめき、大きな看板をだし雑言をまき散らすことを問題にせず、それどころか慰霊祭を行ってきた(多くの被災者が逃げ込んだ被覆廠跡)都立横網町公園の使用には誓約書を出せと言ってきた

●コロナウイルスは中国から来たという政治家らのデマを根拠に中華街のお店に脅迫状が届いている

●いまだに消えぬ東北・九州の地震被害、福島原発の見通しのつかない後遺の数々
等はすべて知らぬ顔で、「福島はアンダーコントロール」の大嘘で勝ち取った2020東京オリンピックの招致だったことなどを、改めて確認することから始まった。

 つくづく私たちはなんておひとよしで忘れっぽいんだろう、と改めて反省。

 そしていかにOLYMPICが商業主義まみれ状態であることか。来年になったといっても酷暑の夏にできるわけがない。競技者や参加者の健康問題は完全無視、すべては最大スポンサーの米国NBCにおもねったものということも、企業の都合あわせがすべてに優先し、利権の巣窟であることも私たちは知っている。そこに巨額のお金が動いていることも。

 必然的に商業主義が最優先され、そこに過剰な勝利至上主義が跋扈する。選手の競技成績は商品価値につながるからドーピングも汚いプレーも勝つためには必要となる。スポンサー以外の食品も飲み物も会場で販売禁止、聖火ランナーのシューズまでチェックされる。

 さらに性差別、レイシズム、環境破壊・汚染、政治介入と果てしなく問題は広がるばかり。ムスリムやLGBTなど参加が許されない人々も出てくる。必要のない神宮外苑の再開発は利権も絡んでいる。都営住宅に住んでいた人が排除され、終の棲家を追われた人々も生まれている。もともとは都市国家間の争いを一時中断して始まったはずのOLYMPICだったのに、国家間の威信をかけた戦いの場となっているし、競技成績がアピアランスマネーに直接かかわっていることは多くの人が知っている。SAY NO TO RACISM FAIR PLAY  PLEASE! との叫びが上がろうとも、むなしい。五輪憲章への明確な違反などは歯牙にもかけない。金メダル30個を目指す、滅私奉公、批判するものは「非国民」などの言葉が平気でぼんぼん飛び出す。世界の平和運動であるべきOLYMPICと真逆のことが進んでいる。

 翻って、本日のテーマ孫基禎の人生を考えてみよう。

<孫基禎さんの身の上に降りかかった人権蹂躙、人間の尊厳への攻撃―日本帝国主義の朝鮮支配の一断面>

 彼は日本の植民地支配下で1936年のベルリンオリンピックに参加している。聖火リレーを発案し道路整備され、政治利用され尽くした感があるナチスオリンピックだった(記録映画は晴らしいが)。孫さんは選考過程のひどい差別もものともせずマラソン日本代表となり、優勝。金メダルを取った。その事実が鬱屈した朝鮮人への励ましと独立運動につながることを恐れた日本は、彼を監視弾圧の対象とする。故郷に住むことは許されず明治大学に進むが、陸上競技に参加することは許可されなかった。「箱根駅伝を走りたかった」が遺言だったとは悲しい。

 しかし一方で素晴らしい経験もたくさんあったようだ。陸上100,200mの優勝者・黒人のジェシー・オーエンスとは長い友人関係が続き、差別に負けないと励ましあったということや、のちの東京オリンピックを実現させた大島鎌吉(1932年ロス五輪三段跳び三位)が開会式で陸軍軍人の孫さんに対する差別を糾弾してくれたこと。レース中に「スロースロー」と忠告して、孫選手の自滅を防いでくれた、英国のハーパー選手。ビスマルクの丘で、いのちの水をくれた女性等々、一人でスポーツするのでなく、仲間がいることがいかに必要かということも強く思うようになったということだ。表彰式で胸の日の丸を手渡された月桂樹で隠したことが「消えた日の丸事件」と大々的に報じられる事に繋がった帰国後、一切の歓迎行事も禁止されるなど、戦争終結までの弾圧など孫さんに対する監視、扱われ方は本当にひどい連続。だったという。

 しかし孫さんのスポーツと平和に関する思想はきっちりと根を張り、広がっていった。戦後は故郷で自宅を開放して後輩の育成に尽力し、平和の大切さを訴え行動し続けたという。1950年のボストンマラソンでは韓国が1,2,3位を独占したのもその実証。朝鮮戦争が始まり、その後の軍事政権が続く中でも、平和が何よりも大事と行動し続けた。また「アフリカで五輪を」の運動を起こす一人となって、五輪の南北問題解決を目指すなど、大きな思想は聞いているだけでも胸がわくわくしてくるものだった。「恨」の感情を越えて、2002年のワールドカップサッカー日韓の共催に尽力したり、プロ野球の日韓交流に尽力されるなど、本当にすごい人だったのだと思う。しかしそれに日本は答えるどころか、孫さんの葬儀すら無視、ベルリンの金メダルは韓国にカウントしてほしいといくら願っても今も実現していない(メダルは韓国の記念館にある)。

 では今の私たちにとってオリンピックはどんな意味を持っているのだろうか。1978年のユネスコから発信された体育・スポーツ国際憲章が述べていることと、オリンピック憲章が述べていることがきちんと一致しており、私たちがさんざん振り回されている東京五輪は、オリンピック憲章に書かれているように、「スポーツを通した世界の相互理解、友好連帯」の趣旨を貫徹するとすれば、東京五輪は、このスポーツから人種差別を撲滅する絶好のチャンスだと寺島さんは話を結ばれた。
 
 孫さんの御子息で、寺島さんと親しく交わっていらっしゃるという孫正寅さんのお話しからは、控えめで、かつ行動力のある孫基禎さんのお人柄などにも触れてくださるいいお話が聞けた。毎年秋には韓国で、孫さんを記念するマラソン大会が行われ、寺島さんもゲスト参加されているとのこと。
 
 オリンピック憲章など読んだこともない担当大臣がいたり、電通を中心にした、すさまじい経済活動に使われているオリンピック、この際1年延期などという無理なことはやめて、一から再生する良い機会にできるのではないだろうか。

 大坂なおみさんや八村さん等スポーツ界や芸能界関係者の政治に関する発言などもいろいろ自然体で聴かれるようになった。

 こういう力が社会の再生に大きな役割を果たしてくれるのではないかと期待したい。

                           (まとめ 丹羽雅代)

2020年5月28日木曜日

第34回学習会 今、なぜ金メダリスト孫基禎に注目するのか? ~2020東京オリンピックを考える~


今、なぜ金メダリスト孫基禎に注目するのか?

~2020東京オリンピックを考える~



朝鮮半島が日本の植民地とされていた1936年。ナチス政権が開催したベルリンオリンピックに「日本代表」としてマラソン競技に出場し、金メダルを獲得した孫基禎について、「評伝 孫基禎」を上梓された寺島善一さんにお話を伺います。

 孫基禎の波瀾にみちた生涯と彼のスポーツに託した夢になぜ今注目するのか。現在の日本と朝鮮半島の関係、そして、今年の東京オリンピックのあり方について考えます。

*感染症対策には十分ご留意をいただいたうえでのご参加をお願いします*

とき:2020年 6月 16 日(火)18:30~20:30

場所:連合会館 501号室
   https://rengokaikan.jp/access/

お話:寺島善一さん(明治大学名誉教授)

講師プロフィール

 1964年東京教育大学 入学。1968年名古屋学院大学 助手を経て専任講師。1974年明治大学 専任講師。1982~1983年West London Insutitute of HighterEducation 客員研究員。1984年明治大学 教授。1998年 St.Mary’s University 客員教授。
 著書・共著『リベラルアーツと大学の「自由化」』 (明石書店、2005年)。「評伝 孫基禎」(社会評論社、2019年)他。

参加費:500 円

主催:「国連・人権勧告の実現を!」実行委員会
問い合わせ:090-9804-4196(長谷川)
ホームページ:https://jinkenkankokujitsugen.blogspot.com/

2020年3月6日金曜日

第33回学習会 国連自由権規約委員会 日本審査に向けて…腐敗するニッポン 壊死する政治

第33回学習会
国連自由権規約委員会 日本審査に向けて…腐敗する ニッポン 壊死する政治

大変残念ですが、「新型コロナウイルス感染症」の影響を鑑み、
第33回学習会は中止いたします。
ご予定いただいたみなさまには申し訳ない限りです。
今後の予定については、決まり次第、
本サイトにてお知らせいたします。



日時:2020年4月17 日(金)18:30~

場所:連合会館501号室
   https://rengokaikan.jp/access/

お話:前田朗さん(東京造形大学教授)

参加費:500円
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講師プロフィール:前田 朗 さん 

東京造形大学教授(刑事人権論)。日本民主法律家協会理事。国際人権活動日本委員会運営委員。東アジア共同体・沖縄(琉球)研究会副代表。

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 国連は、第二次大戦の反省から、すべての人の人権を尊重すべく1948年に「世界人権宣言」を採択しました。続いて国連人権委員会は、人権実施文書の作成作業に取り組み、世界人権宣言が理想とする「自由な人間」であるためには、市民的及び政治的権利が保障されるだけでなく、欠乏からの自由、つまり経済的、社会的及び文化的権利の確保が必要であるという観点から、2つの草案を作り ました。それが 「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際的規約社会権規約)」と「市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)」として成立しました。

 規約を批准した国は規約の履行状況を委員会に報告して審査を受けます。女性差別撤廃委員会、子どもの権利委員会、人種差別撤廃委員会では、それぞれのテーマが取り上げられますが、自由権委員会では、思想信条の自由、表現の自由、人身の自由をはじめとするさまざまな自由の状況について審査が行われます。

 日本の課題として、 前回2014年の勧告にあった 「ヘイトスピーチ解消法」「部落差別解消推進法」「技能実習法」「アイ ヌ特措法」などの法制定は行われたものの、依然として差別やヘイトスピーチが絶えない状況を憂慮して、在日コリアン、移住者、移住労働者、被差別部落、アイヌ民族 、琉球・沖縄の人々などマイノリティ及び先住民族のコミュニティの人々の自由保障は重要課題です。そして、本年10月にも審査が行われる予定です。

 日本政府はどのような報告を提出し、それに対してどのような審査がなされ、どのような勧告が出されるのか、ジュネーブの国連欧州本部と国連人権高等弁務官事務所に通ってきた前田朗さんを講師として招き、一緒に学び合いたいと思います。

 多くの方のご参加をお願いします。

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主催:「国連・人権勧告の実現を!」実行委員会
お問い合せ:090-9804-4196(長谷川)
ホームページ:https://jinkenkankokujitsugen.blogspot.com/

2020年1月26日日曜日

第32回学習会の報告

第32回学習会の報告

テーマ 国際人権基準から見た日本の刑事司法・刑事拘束
講師 海渡雄一さん

1、未決拘禁(人質司法)問題
カルロスゴーン事件に関連して
厳しい保釈条件
①住居出入り口に弁護士による監視カメラの設置
②海外渡航禁止、パスポートは弁護士が管理
③事件関係者との接触禁止
④パソコン携帯電話の使用制限
⑤妻との接触禁止(弁護士立会いの下、月1回1時間のテレビ電話による通信のみ可)

問題点
・起訴前保釈の不在
・「罪証隠滅」による保釈拒否(保釈拒否は基本的には「逃亡の恐れ」に限られる)
・一事件につき23日の勾留継続(事件を細分化すれば、23日×事件数)
・弁護士不在の取り調べ
・長期間の接見禁止(弁護人以外家族とも会えない)。未決は誰とでも会えるのが原則。

警察に拘禁される期間
 フランス   24時間、最大48時間   イギリス   24時間、最大72時間
 イタリア   24時間          台湾     16時間
日本     23日×事件数  (国際基準としては、逮捕後24~48時間)
自由権規約9条 逮捕された被疑者は速やかに裁判官のもとに連れていかれる。
同9条に対する一般的意見(規約委員会の条文解釈)では、「速やかに」とは通常は48時間で十分、超えるのは絶対的例外。未成年は24時間以内。
 日本の場合、取り調べ時間の制限と弁護士の立会いを同時に進めることが必要。

代用監獄制度の廃止
 37年前は、イスラエル、ハンガリー、フィンランド、韓国、イギリスのテロリスト事件でもやっていたが、自由権委員会等からの勧告を受け全てなくなった。現在は日本のみ。

証拠の開示
 検察の証拠全てにアクセス権
アメリカでは、証拠隠しは、検事を続けられない。
日本では検察に都合の悪い証拠を隠すのが当たり前のようになっている。

司法改革の試み
2009年~10年村木事件と検察による証拠捏造などを受け、刑事司法の見直しが行われたが、未完に終わった。
証拠リストが出るようになった、国選弁護の範囲が広がった、一部取り調べで・録音・録画がなされるようになった等の改革はあったが、他方で、通信傍受の拡大、司法取引などが導入された。

2、死刑制度
昭和23年最高裁判決は、死刑を合憲としているが、「多くの文明国で死刑が廃止されれば、死刑は憲法13条の生命権を侵害する刑罰と言える」と読みとれる部分がある。
しかし、合憲判断があったと言うだけで思考停止している。

死刑制度の中でも改善すべきこと
・執行日時を事前に説明する。
・検察証拠のすべてにアクセスできるようにする。
・再審請求中・恩赦の申請中に死刑を執行しない。
 1950年ごろ以降、一応、再審請求中の執行はしないという原則があったが、今は、再審請求中であってもお構いなしになっている。

国際的には
・OECD加盟国で死刑を執行しているのは、アメリカと日本だけ。アメリカも多くの州で死刑を廃止したり執行を辞めたりしている。
・日本では、昨年12月安倍政権下で39人目の死刑が執行された。
・2017年11月国連人権理事会では、日本の第3回普遍的定期的審査で、36ヶ国が死刑廃止に関する勧告を行った。
・自由権規約は死刑廃止を義務付けてはいないが、無くすよう努力することを求めている。日本政府はその努力を怠っている。

3、受刑者の人権
刑事拘禁の国際ルール(マンデラルール)
2016年国連被拘禁者最低基準規則を60年ぶりに改訂
①規律秩序の維持
 1)不必要な制約の禁止 2)懲罰規定の改正 3)独居拘禁の厳しい制限 4)身体検査・捜索の厳格な限定
 ②医療の独立性の確保
 ③受刑者の法的援助へのアクセスの保障
 ④スタッフの専門的な研修

刑務所医療の現状 最新のCPRへの相談事例より
・医師の診断を希望しても、看護師に拒否される。
・刑務所の医師の対応に不満がある。
・治療、検査、処方について十分な説明がない。
・専門医の診療を受けられない。
・入所前服用していた薬を処方してもらえない。
・体調不良や疾患を考慮した作業や休養が認められない。
・対応の遅れによる症状の悪化。

2002年名古屋刑務所事件
革手錠による内蔵挫裂で死亡するという事件が起こった。
・事件を受け、国会決議で過去10年分の死亡ケースが公開された。約1600件のうち急性心不全が何百件もあった。特に、数十件の非常に疑わしい死亡事例が発見され、100年ぶりの監獄法改正につながった
・1998年自由権規約委員会は、刑務官による報復行為に対し、申立てを行った受刑者の保護が不十分であること、残酷で非人間的な扱いである革手錠のような保護手段の多用について警告していたが、対策はとられず、事件は起きた。こうした事前の活動があって、事件後改革につながった。
・刑務所内が閉鎖的で独立医療が欠けていると危険が大きいと訴え刑事施設視察委員会ができ、弁護士会推薦の弁護士と医師会推薦の医師が必ず入ることになるなど一部改善がなされた。
社会と同水準の医療を保障することが監獄法に明記されたが、その後も刑務所の保安体制に組込まれた医師が一体となって受刑者を虐待し暴動になった事件が起きている。

フランスの刑務施設医療制度
・受刑者が市民と同じ医療制度に組み込まれる。
・各刑務所に、病院の外来部門がある。
・刑事施設の一部に近隣精神科病院の一部局が置かれている。
・48時間以内の入院は、近隣連携病院に入院する。
・48時間を超える入院は、大病院の中の「刑事施設区画」に送られる。
 フランスでも同様の問題があったが、1994年刑務所医師の告発を機に抜本的見直しが行われた。
改善の決め手は、刑務所の医療の独立
 2007年拷問禁止委員会は、刑務所医療の厚生労働省への移管を検討するよう求めた。

無期懲役刑の現状
・1960年代までは、15年~20年で仮釈放されることが多かったが、現状は、事実上、終身刑になっている。
・無期懲役受刑者数
 1989年 864人     1999年 1002人    2004年 1352人
 2009年 1711人    2013年 1843人    2017年 1795人
 ‘13年をピークに減っているが、仮釈放が増えたのではなく獄中死亡が増えた結果。
・2009年からの10年間で、無期刑の仮釈放は67人、獄中死亡210人
 無期刑者の在所期間 30年以上 14%、 40年50年たっても出られない人もいる。
無期刑者の年齢 60歳以上47,6%  70歳代18,3%  80歳以上4,8%(87人)  
・仮釈放審査
 30年で必ず審査されるようになったが、認められたのは2割のみ。

4、死刑廃止後の代替刑
・世論調査では、死刑廃止は、賛成2割程度、反対は約8割
 死刑廃止の代替刑として、仮釈放なしの終身刑があれば、それでも良いという人は数割
増える。しかし、これは緩慢な死刑であり、国際基準では認められない。
 判決言い渡し時点では終身刑だが、その後の状況を見て無期刑への減刑の道を残し、かつ、無期刑を改革して、死刑廃止ができないか。
・世界的な終身刑の状況
 終身刑制度 183ヶ国地域 内149が最も厳格な刑罰、33が死刑・終身刑とも廃止
 仮釈放のある終身刑 144、 仮釈放のない終身刑 66

5、今後の改革の方向
・国際基準に程遠い未決拘禁制度は抜本的改革
・死刑制度の廃止
・刑務所医療の改革
・罪を犯したものを排除しない社会を ― 更正が認められれば、社会復帰ができる