2025年10月28日火曜日

1 朝鮮学校差別問題

          


朴金優綺(ぱくきむ・うぎ、 在日本朝鮮人人権協会


 みなさま、アンニョンハシムニカ? こんにちは。朴金優綺(ぱくきむ・うぎ)と申します。普段は在日朝鮮人の人権に関する活動をしています。本日は朝鮮学校及びその子どもたちに対する差別の問題について発言します。
 日本政府がいわゆる「高校無償化」制度を開始したのは2010年。この制度は各種学校認可を受けた外国人学校に通う子どもたちも対象としていますが、日本政府は2013年、「拉致問題の解決に進展がない」などの政治的・外交的な理由をもって、朝鮮高校の子どもたちだけを完全に「高校無償化」制度から除外しました。これは朝鮮学校の子どもたちに対する明白な民族差別であり、学ぶ権利の侵害です。実際、制度開始から15年以上が経ちますが、この間、国連の子どもの権利委員会、人種差別撤廃委員会、社会権規約委員会、自由権規約委員会、また人権理事会でも、この問題は朝鮮学校の子どもたちに対する差別の問題であり人権侵害の問題であるとして、日本政府がただちに朝鮮学校の子どもたちにも「高校無償化」制度を平等に適用するよう何度も求められてきました。
 しかし、日本政府はそうした人権機関からの声をまったく無視し続け、様々な支援制度から朝鮮学校の幼稚園生や大学生を排除する新たな差別を次々に行ってきました。
 そんな中、まさに今年、「高校無償化」制度の収入要件をなくしたり、私立高校への支援金の加算額を45万円強に引き上げるなどの「高校無償化」制度の拡充が議論されていますが、朝鮮学校はこうした拡充の動きからも無視されている状態です。このままでは「高校無償化」の拡充によって、子どもたちの間でさらなる支援の格差が広がり、差別が拡大されることになってしまいます。
 日本の敗戦から80年が経ちましたが、朝鮮学校こそは、日本が植民地支配によって奪おうとした朝鮮民族の魂、言語、文化、誇りを取り戻す場であり、日本政府には、朝鮮民族から奪ったものを返す義務の一つとして、朝鮮学校での民族教育を保障する義務があります。
 私たちはもうこれ以上、日本政府による差別的な政策の拡大を許してはいけません。包括的反差別法の制定は、このような「上からの差別」「官制のヘイト」を終わらせる要となります。ぜひ今後もみなさんと一緒に差別反対の声を上げていきたいと思います。ありがとうございました。