第15回学習会の報告
永井よし子さん(JNNC(日本女性差別撤廃条約NGOネットワーク)共同代表)をお迎えして開催した、第15回学習会の内容を報告します。
最初に女性と人権という内容で話されました。
これまでの女性運動の提起の上に、女性自身が気づいた差別を社会に問題提起していくことの重要さ、世界的な流れと関係付けながらの女性の運動が蓄積されていったことなどが中心でした。
その中で、社会構造にひそむ差別性、特に家制度によって女性が縛らのれてきたことが浮き彫りになりました。それは今も夫婦別姓が議会で通っていないこと、女性のみに課せられた再婚禁止期間と男女で異なる婚姻最低年齢などにも現れています、家制度はなくなったと主張する人がいますが、脈々と続いているのです。
差別を社会化する、言葉化するという話にとても共感しました。「性的嫌がらせ」がセクシュアル・ハラスメントという言葉に、夫の妻への暴力が「DⅤ」に言葉化され、それが人権侵害だと認識され、法的に根拠づけられた歴史を見ても、言葉化することの大事さがわかりました。
続いて、2016年の2月に行われた第63回女性差別撤廃委員会での審議の様子が詳しく話されました。
① CEDAWの本審議にグループ制がとられた時期があったが、今回は全員参加。
② バックラッシュ派の人が増えたこと。和服で下駄ばきの男性も参加したそうです。
③ 政治環境の右傾化のためか政府総括書は非常にそっけなかったこと。女性活躍法が前面に出され、実態を反映しない報告がされたこと。しかも今回の政府代表団団長は男性の官僚で慰安婦問題に関する発言はすべて彼が行った。
④ 勧告が無視されたり、軽視されたり、おざなりだったりしたために、女性差別撤廃委員会の各国のメンバーが大変いらだっていたこと。
差別の定義が日本の法律に明記されないこと、選択議定書が批准されていないこと、慰安婦問題が解決していないこと、民法が改正されていないこと、女性の政治参加が進んでい ないことなどが、懸案のまま放置されていることなどが問題になった。マイノリティや障害女性についての記載が踏み込まれていることなどはNGOの成果。
などなど詳しい報告をリアリティを持って、聞くことができました。
NGOネットワークの丁寧な取りくみや苦労、その手続きなどを図を使って説明されました。並々ならぬ細かい努力の軌跡だなと感心しました。
質問が8点出ましたが、丁寧に永井さんが返答されて9時前に終了しました。
永井さんは、年代や歴史的事実や委員会のやり取りの状況など、すらすらと説明されていました。ちなみに永井さんは今年81歳になるのだそうです。社会運動をする人、女性運動する人のモデルにしたい人だなと心から思いました。