2018年10月24日水曜日

12・15 私たちの声を国連へ ~国際基準から見た日本の人権状況~

12・15
私たちの声を国連へ
~国際基準から見た日本の人権状況~




 今年8月、国連の人種差別撤廃委員会の4年ぶりの日本審査が行われ、個人通報制度、国内人権機関、ヘイトスピーチ、アイヌの人々の権利、琉球・沖縄の基地問題、朝鮮学校差別、日本軍「慰安婦」問題、移住者、技能実習制度、難民についてなど、日本の人権状況が進展していないことを表す多岐にわたる問題への勧告が出されました。

 本年7月1日には、オウム真理教元代表を含む元幹部7人の死刑が執行されました。さらに、残る8人の確定囚も7月26日に死刑執行され、国連から死刑廃止の勧告が出ているにも関わらず、1カ月のあいだに2度、13人もの死刑執行が行われました。また、治安維持法下の予防拘禁を彷彿させるような不当な逮捕、拘束も行われています。

 基調講演に新倉修さん(青山学院大学名誉教授)を迎え、こうした日本の刑法・人権をめぐる状況を国際基準に照らしてお話していただきます。2020年にはオリンピックの開催が予定されています。それにともない、治安対策という名目の下、どのような事態が想定されるでしょうか。

 特別報告では、朝鮮学校差別、女性差別の問題、精神医療の強制入院に関しての個人通報について取り上げます。

 みなさま、ぜひご参集ください。

■ とき:  2018年12月15日(土)
                   13:00 開場
                   13:15 朝鮮学校生によるパフォーマンス
                   13:30 開会
15:00 閉会

*集会終了後、15:30より デモ(表参道付近)

■ 場所:  青山学院大学 17号館3階 311教室
https://www.aoyama.ac.jp/outline/campus/access.html#anchor_01

■ 基調講演: 新倉 修さん(青山学院大学名誉教授/日本国際法律協会理事)

国際法から見た日本の刑法・人権状況~2020年 東京オリンピックを間近に控えて~

(プロフィール)

弁護士・青山学院大学名誉教授。日弁連の死刑廃止及び関連する刑罰制度改革実現本部j副本部長、日本国際法律家協会理事、国際民主法律家協会(IADL)執行委員、アジア太平洋法律家協会(COLAP)執行委員など。著作に「外国軍事基地の国際法と人権」『法と政治の諸相』(2017)、「江藤价泰先生と法律家の国連連帯活動」『日本の司法ーー現在と未来』(日本評論社、2018)など多数。

■ 報告

1 人種差別撤廃委員会の勧告―朝鮮学校差別問題― 報告者 朴金優綺さん
2 メディアから見た女性差別 報告者 松元千枝さん
3 強制入院の国連への個人通報活動 報告者 藤田大智さん

■ 資料代: 500円




■主催:「国連・人権勧告の実現を!」実行委員会
    青山学院大学人権研究会

E-mail     jinkenkankokujitsugen@gmail.com
Blog       http://jinkenkankokujitsugen.blogspot.jp/
Facebook   https://ja-jp.facebook.com/jinkenkankokujitsugen
Twitter    https://twitter.com/unjinken

2018年10月1日月曜日

第28回学習会の報告

第28回学習会報告

 2018年10月19日に連合会館で、「日本の難民問題・入管問題」というテーマで学習会を行った。講師は、SYI(収容者友人有志一同)の柏崎正憲さんと織田朝日さんのお二人。SYIは日本の排外的な入国管理政策、特に入管収容に反対する団体で、2009年から活動し、主に収容者との面会や、非正規滞在の外国人の支援、デモ、集会などの活動をしているということだった。大変深刻な人権問題であるためか、会場いっぱいの参加者で、準備した資料が不足するほどの盛況だった。

 まず、柏崎さんから入管施設で、退去命令が出された外国人が無期限に収容されている問題、人権侵害の温床であるという問題が話された。医療へのアクセスも保障されずに、病人が放置されたり、死亡に至ったりする外国人もいるなどの悲惨な例が話された。2007年以降入管施設で合計13人が死亡したそうだ。収容理由や経緯も基準が明確でなく、難民審査が終わっていなくても収容したり、空港で難民申請をしたのに即時に収容されたり、犯していない罪を認めろという国選弁護士の勧めに従ったら実刑がついてビザがなくなり収容された人もいる。無期限の収容に耐えかねて、多くの収容者が自費で出国を余儀なくされている。2016年で強制退去を命じられた7,014人のうち6,575人(93.7%)の人が自費送還されている。2016年ごろから仮放免者の再収容の増加、収容の長期化が進んでいるそうだが、それが「もうすぐオリンピックだから」という理由に、愕然とした(2016年4月7日法務省入国管理局長通知を参照)。

 他方で、日本の難民認定基準も大変厳格で、許可が取れずに結果的に「不法残留」の状態に追い込まれるそうだ。2017年の難民申請者が19,629人いたが、そのうち難民認定が20人、人道配慮による在留許可が45人だった。合計してもわずか全体の0.6%という少なさに、日本の人権尊重主義の欠如、狭量さや、排外性を感じた。技能実習生や留学生が、多額の借金をして日本に来て、労働条件の劣悪さ、賃金の低さの中で、搾取労働の温床になり、そのような劣悪な境遇から逃れようとする人が入管取締のターゲットになっているという状況も話された。

 織田さんからは、東京入管での収容者への面会の実情が話された。いつ収容所から出られるかわからない状況、食事がひどい、時には腐ったものも出されることもある劣悪な状況、持病の薬も日本製でないという理由で差し入れを禁止されるほどの管理体制の厳しさ、医療ネグレクトの実情、トイレしかない部屋で24時間のカメラ監視の下に置かれる「隔離」(事実上の懲罰)措置などの、非人間的な処遇が話された。職員のいじめや馬鹿にする態度、人としての尊重が全くない状態に、収容された人が屈辱を耐えている状態も報告された。仮放免申請を出しても許可が下りずに、何年も収容が続き失望感を持つそうだ。

 質問もたくさん出て、さらに内容が掘り下げられた。また会場からの意見で補充された面もたくさんあった。

 最後に柏崎さんが、日本の入管はなぜ、こんなにも排外的で非人間的なのかという点を補足された。戦前から、植民地の朝鮮から「内地」への渡航者を警察が厳しく取り締まり、戦後は日本にいた朝鮮人を排除するために渡航取り締まりを強化した。在日朝鮮人を全員強制送還すべきだという吉田茂のマッカサーへの具申などもあったが、朝鮮戦争の勃発を受け、米国に後押しされつつ、1950年に入国管理局(当初は入国管理庁)ができた。当初は、「取り締まり」対象は韓国人だったが、バブル景気を経験した1980年代なかば以降には、収容対象者の出身国も多様化していった。そういう歴史を考えると排外主義が幅を利かせている状況が理解でき、改めて人権の問題として社会的に訴えていく必要性を感じた。