2013年12月29日日曜日

集会ご参加の御礼

集会ご参加の御礼

 12月14日(土)に行われました「国連・人権勧告の実現を!」集会には、250名を超える多くの方々にご参加をいただき、盛況のうちに終えることができました。ご参加をいただきました方々には御礼を申し上げます。どうもありがとうございました!



 来年の1月にはデモも予定しておりますので、引き続きまして、大きなご支援をいただけましたらありがたいです。何とぞよろしくお願いいたします◎













 なお、集会の内容につきましては、IWJ(Independet Web Journal)のサイトからもご覧いただけます。
 
 また、荒巻重人さんと伊藤和子さんの発言については、本ページにてご紹介しています。


・国連人権勧告と日本
荒牧重人(山梨学院大学 教授)

私たちは、国連から様々に、また、何度も出されている人権勧告というものを実現させるということで結集し、広げていこうという取り組みを始めました。私からは「国連人権勧告と日本」というテーマで、全体的な報告をさせてもらいます。

様々な重要な意義のある国連人権勧告が何度も出されているのに、どうして日本政府は実現をしないのだろう、と何度も感じておられていると思います。そもそも人権条約は憲法よりは下位であるけれども、通常の国会で制定した法律より上位にあるわけです。ですから、人権条約に反する法律をつくることはできないわけです。にもかかわらず、特定秘密保護法はできてしまいました。ただし、できた法律でも、行政は、憲法や人権条約に即して運用しなければならないという枠がはめられるわけです。裁判所においても、相続における婚外子差別に関する大法廷決定(2013年9月4日)において、人権条約機関の勧告に言及せざるを得ない状況になってきています。

今日は、主要な人権条約に基づく人権条約機関の総括所見と、国連人権理事会が行う普遍的定期審査というものから出される勧告についてお話ししますが、主要には前者について述べたいと思います。

人権条約は、最も基本的な実施の仕組みとして、報告制度というものを持っています。政府は報告書を作る。それに基づいて公開の場で審査をする。そしてその結果、総括所見という懸念と勧告を出す。そして、それを国内で実現し、その実現状況をまた国連に報告する。このサイクルを繰り返すわけですね。

ところが、どの国の政府も、これは日本だけではありませんが、「自分の国の人権政策がこんなないひどい」と報告することはありません。ですので、NGOが非常に重要な役割を果たすわけです。わずか1日ぐらいの審査で、日本の人権状況が、国連の人権条約機関の専門家でもわかるはずがないわけです。しかし、非常に意義のある勧告が出されているのは、NGOが的確な情報と提言を国連に出しているからです。報告書を出す段階から、審査、フォローアップのすべてのプロセスにおいて、政府はNGOをパートナーにすることが期待されているのですが、残念ながら日本政府はNGOをそのようには位置づけてはいない。それどころか、こういう勧告は法的な拘束力がないので、従う義務はないということを言い放っているわけですね。ところが、判決のような法的な拘束力はないわけですが、報告制度が条約上義務づけられているので、この審査に基づいた勧告を誠実に履行しない限り、この報告制度は成り立たないわけです。その意味で、判決のような法的拘束力は仮になくても、勧告を誠実に履行する義務を負っていると言っていいわけです。

このことを世論にしていく必要があります。今はまだまだ世論になっていない。ここが非常に重要になっていくと思います。この間、主要な人権条約からすると、自由権規約、女性差別撤廃条約、人種差別撤廃条約、子どもの権利条約、拷問禁止条約、社会権規約などから、毎年のように勧告が出されている。しかも、とても内容のある勧告が出ています。それが十分に実現されていない。どうにかこのような状況を変えていきたい、というのが私たちの活動の趣旨であります。

この間、同じような勧告が何度も出されています。前回の勧告をちゃんと履行していないのではないか。これは実に恥ずかしいことなのですが、そのような勧告が必ずある。人権条約を実現するために、国内に独立した専門の人権機関をつくりなさいという勧告も出ている。個人通報制度という、国内で様々な取り組みをして、それでも十分に人権が保障されない場合に国際機関に申し立てをして、今の状況が人権条約に適合しているかを決定してもらい、もし人権規約に違反していることになったら、日本政府にそれを履行させる制度ですが、こをちゃんと批准しなさいという勧告が出されています。先ほど申し上げたこの主要な人権条約はすべてこの制度を持っています。

あと最近出ているのが、包括的な差別禁止法を作りなさいという勧告です。差別の禁止というのは人権保障の大前提です。さらに、子どもの権利条約や社会権規約条約等では、社会的資源や予算を、もっと人権のところに配分しなさいというところまで、勧告が出ています。さらに差別の禁止については、どの機関からも、子ども、女性、障害のある人、被差別部落の人々、朝鮮民族、アイヌ、琉球の人々、さらに難民、移住労働者、性的マイノリティ、こういった様々な分野における差別を禁止するよう勧告が出ています。「慰安婦」問題についても、いろいろな機関がこの問題は人権問題であると指摘しています。女性、子ども、障害のある人等々への暴力の禁止・防止、そして人身売買の禁止・防止、さらに、死刑の廃止等を含めた人身の自由、刑事手続きに対する権利など、こうしたことについても、ずっと、何度も、多様な機関から、普遍的に人権を侵害している行為なので、是正するよう求められています。

さらに共通しているのは、こうした人権勧告の普及を含めて、裁判官、政府の関係者、行政の関係者、公務員等に普及することを含めて、人権の啓発、研修、教育をしていきなさいという点です。みなさんは自分の関心のある分野の人権の勧告はご存知だと思いますが、他の分野についてはご存知ですか。外務省のホームページを見ないとわからない。いろいろな場面で知っていくことができるようにしないといけない。そうしたことも改善しないといけないということがずっと言われ続けています。
子どもの権利条約においては、学校のカリキュラムに、人権教育や子どもの権利条約に関する教育をしていきなさいと言われている。また必ず入るのが、市民社会やNGOと対話、協力していきなさいということです。このような勧告に対して、政府は軽視、不誠実な対応をしている。敵対的とも言えますが、ここではその言葉は控えておきます。そのような対応をしてきている。

国連に出されるのは締約国報告書です。外務省が中心となって関係省庁を寄せ集め、国内のその条約の人権状況を検証し、数年に1回、報告することが求められているのですが、実際にはそのようにやっていない。前回の勧告をどのように実施したかということも十分な報告をしていない。みなさんが知らない分野を知るときにはなかなかいいですよ。表面的な法制度がちゃんと書いてあるので。しかしながら実態がない。最も報告書で求められている内容がないわけです。そのとき、NGOとちゃんと協議することが必要なのですが、それもしない。以前は関係するNGOと外務省が日程を協議していた時代もありました。今は、一方的にホームページでやりますと言うだけで、しかも出て来る政府の担当者も、非常に経験の浅い若い人が出て来るということで、NGOとの対話も形式化しております。

さらに、審査にいたってはもっと問題で、建設的な対話とは程遠い内容です。用意した想定問答集に基づいてしゃべる、あらかじめ用意してあった報告書を繰り返す、さらにははぐらかす等々で、ジュネーブで傍聴していても、イライラしてくる。私たちが答弁した方が、日本の国際社会における名誉ある地位を、もっとあげるような答弁をできるくらいのことであるにもかかわらず、そのような答弁しかしないという現実があります。

そして、フォローアップの体制も実際に不十分。そして繰り返しますが、このことを私たちは乗り越えなくてはならない。政府は「勧告は法的拘束力を持つものではなく、従う義務はない。義務づけられていない」と言っています。政府のこの認識と実際を変えていく必要があります。

私は1980年代の終わりから、この報告制度に関わっています。最初はNGOがレポートを出して、委員が質問してくれたことを喜んでいました。その次は、私たちが提案したことが勧告に取り上げてもらって喜んでいました。でも実際に現実は変わらない。いかにこのあとが大切か、いかに勧告を実現させることが必要かということを知りました。

その意味では、NGOが国連に提供する情報の質、方法やレベルも上がっています。格段に進歩していると言っていいと思います。さらに、それぞれの分野の主要なNGOがネットワークを組むということもずいぶん広がってきている。このNGOの方向性というものを今後も引き続き伸ばしていくことが最も重要なことではないか。この現状を変えていくため、それぞれのNGOが、結集する場面と拡散していく場面を、より作っていかないといけないと思います。そうしたNGOの取り組みを伸ばしていくことが最も重要なことだと思っています。

NGOはそれぞれの分野で一生懸命やっている。それぞれの質は進展している。にもかかわらず、現実を変えることができない。だからこそ、この取り組みを一層進めていく必要があるのだろうと思います。

子どもの権利条約の場合、2014年が批准20周年となります。今年、来年、ポストという3年間で、このような取り組み、子どもの権利条約というのを冠にして機関紙の特集を組んだり、学習会を持ったりしていこうと思っています。そして地域別のフォーラムとかテーマごとのフォーラムを開いていこう、そして、子どもの権利宣言を改めてしていこうということを呼びかけています。また、地域レベルでは、子どもの権利条約をベースにした条例作りというのが、少しずつ進んでいます。そういう地域レベルでの取り組みも進めていきたいと思っております。

最後に、NGOは自分たちの取り組みを社会に発信することがずいぶん上手になってきました。しかし今、社会的に発信するメディアは私たちが考えている以上にさらに進んできている。そうしたことも含めながら、一層の工夫と、諦めずに粘り強く進めることによって、人権状況が少しずつ変えていくことができると思います。人権条約の勧告を実現させるこの取り組みは、日本国憲法と国際社会、人権条約をつなぎ、人権を基盤とする社会づくりの鍵となると確信しています。みなさんとともにこの取り組みをさらに進展させていきたいと思っています。

・福島原発事故後の「健康の権利」と被災者支援を問い直す
伊藤和子(特定非営利活動法人ヒューマンライツ・ナウ事務局長)

今日は人権が大変危機的な状況の中で、これだけのたくさんの方がお集まりいただいて本当にお疲れ様です。私も励まされました。私からは、今日お話された中では、非常に新しい人権問題でありながら、早くも忘れ去られようとしている、かつ、深刻な人権問題である、福島原発事故後の人権問題についてお話をさせていただきたいと思います。

ご承知のとおり、原発が非常に危ない危ないと言われながらも、私たちの多くの無関心の中で事故を起こしてしまった。そして、福島原発事故で濃縮された放射性物質は、当初の発表ですら広島型原爆の168倍以上と言われるような深刻な放射線汚染です。それが今も汚染水問題ということで拡大をし続けております。周辺の住民の方々の健康、そして生きる権利を深刻に侵害しているというのが現状ではないかと思います。ところが、これに対する日本政府の対応は、非常に深刻、そして不十分なまま、今日を迎えております。被害者切り捨てとしか言いようがないやり方ではないかと思っております。

みなさんも、覚えていらっしゃると思いますけれども、これまで日本は、年間1ミリシーベルトという、放射線から人々の健康を守るというこの基準をずっと遵守してまいりました。ところがこの事故直後に、基準を20倍である20ミリシーベルトに上げたわけです。当時、内閣府の参与をしていた小佐古さんという方が、「このような基準を子どもにまで強要するというのは、私のヒューマニズムに反します。」と言って涙の辞任をされたことを、覚えていらっしゃる方もいると思います。当時もみなさんは怒って署名をされたり、声をあげられたりしたと思います。ところがこの20ミリシーベルト基準というのは、そのまま生きております。そして、20ミリ基準を超えた人々は避難ができますけれども、それ以下の人たちは、どれだけ危険があると思っても、避難の支援が受けられないということです。そして健康支援についても非常に不十分なものしかない。学校の校庭で、子どもたちが何の放射線防護の方策もないまま、活動を強いられているというような状況にあります。

そして今、来年から始まろうとしていることは、この20ミリシーベルトを下回ったと判断された場合、今避難している方々が順次、避難指定を解除されて戻ってこなければならない。戻らなくてもいいんですけど、賠償金が打ち切られてしまいますから、兵糧攻めにあって、いかに危険を感じても戻ってこざるを得ないという、避難・帰還の強制ということが進みつつあります。

こうした中、私たちの団体と、他の環境団体とともに、国連に対して働きかけを行いました。この人権条約機関というシステムですが、国連報告特別者という方がいまして、その方が日本に事実調査に入るということを通じて、この人権状況を変えるための改善を勧告してほしいということを、2011年の7月に求めました。これに応じて国連の健康に関する特別報告者、アナンド・グローバーさんという方が、2012年の11月に、2週間ほど日本に来まして、調査ミッションを行いました。福島市内、それから郡山市の様々なところに行かれて、それから自主避難している方々の声も聞いて、その上で今年の5月に、非常に大きな報告書、そして、勧告を出していただきました。私たちもこの勧告に対して、特に福島の方々で、なかなか声をあげられてこなかった方々が非常に感激して、ぜひこれを実施してほしいという声をあげていらっしゃいます。

その勧告の内容というのは、まずは、先ほど言った1ミリシーベルトという基準について、低線量被曝の影響が否定できないということを前提として、避難の基準、それから帰還の基準については、1ミリシーベルトにするべきである。そして年間被曝線量が1ミリシーベルト以下にならない限り、住民は帰還を強要されるべきではない。そしてその間にも、選択ができるように、財政的な補助・支援などをするべきだということを求めています。

それから、健康管理が非常に問題で、甲状腺検査の結果、たくさんがんの疑いがある子どもさんたちがいらっしゃいます。ところが検査は2年に1回しか行われない。そしてちょっとした異常なしこりがあっても、県の判断で大したことないと判断されれば追加検査も行ってもらえないという状況があります。こういうやり方についても抜本的に改めること、そして甲状腺検査だけではなく、チェルノブイリでは10種類くらいの包括的な検査が、毎年1回きちんと、子どもだけではなく大人に対しても行われて、それによって健康を守るというような措置がとられています。それと同じことを、日本でもせめて尿・血液検査などについてはきちんと行うように、と求めました。

もう一つの重要な勧告は、市民の参加です。今、様々な法律もできて、どんどんいろんなことが審議会などで決まっています。基幹の政策を決めるといったことが進んでいるわけですが、そこに市民の参加、特に被害を受けた被害者の参加というのが全然実現していないんですね。「子ども・被災者支援法」という原発事故の被害者の方々のための法律ですが、これが去年の6月にできて、1年たってもまだ全然施行されていない。住民の方は非常に怒っていらっしゃるわけですが、この住民の方が復興庁などに行って交渉しても、住民の方々のことを「左翼のクソ」という言い方をして、罵倒するといったことを政府はしてきて、住民の意見を本当に取り入れないということが続いてきました。

こういうやり方に対して、国連特別報告者のグローバーさんは、「すべての政策に対して住民がきちんと関与できるような仕組みをつくるべきだ」ということをおっしゃいましたし、またこの「子ども・被災者支援法」という法律の支援対象地域についても、「20ミリではなく1ミリシーベルトを基準にするべきである」と明確な勧告を出されました。これは非常に重要な勧告で、住民の方々からも、ぜひこれを実現していってほしいというような声があがっております。

ところが日本政府は5月にこの勧告が出された直後に、すぐに大量の文書を出して、そして徹底的に、この勧告には従わないという声をあげました。非常に異常なことだと思います。例えば1ミリシーベルトを基準とする健康診断、それから1ミリシーベルトを基準として被災者支援策を行うということは、「非科学的である」という言い方なんですね。今、世界的には、低線量被曝と言って、100ミリ以下でも、11ミリ以下でも、5ミリ以下でも非常に低線量でも、健康被害が生じるということは、かなり多くのところで知見として示されています。ですから原発事故を起こした、これだけの事故を起こした政府の担当者の態度としては、間違っても健康被害を起こさないように、まさかの可能性があれば、そういった被害でも防ぐように最大限の対策をとるべきなんです。ところが1ミリであっても、本当にこれで大丈夫か、というくらいですが、これで健康診断をするというのは「非科学的」だから、そんなことはやる必要はないと言って、一切そういった政策をとらないと言っているわけです。

特に「子ども・被災者支援法」について、1ミリシーベルトを基準にして施策をすべきだという勧告に対しては、予断に基づく勧告であるので文章を削除してくれということを事前に言っている。国連が出す文書に対して事前に削除せよというのは、判決を聞く前にその判決が気に入らないからその判決を削除してほしいと言うのに等しい、非常に問題のある態度ではないかと思います。

このような態度は、低線量被曝の影響を軽視することを通じて、福島だけでなく広範に広がっている地域で、汚染されて、そして苦しんでいらっしゃる子育て真っ最中のお母さんたち、そしてお子さんたち、こういった人たちの、ひとりひとりの健康に生きたい、生きていきたいという願いを踏みにじる、そして被害者を切り捨てる態度だと思います。私はどうしてもこういう態度を許すことができません。しかも国連特別報告者の勧告には、また同じですけれども「拘束力がないので従わなくていい」という他の論理と同じことを、ここでも繰り返しているわけです。

私たちも3月に、国連特別報告者を招聘して、もう1回きちんと、どのように、この勧告が実施されたか、ということを検証していきたいなと思っています。

福島原発事故は、日本全国の人たちから見れば、影響を受けている人たちは確かに少ない。そして1年2年とたてばたつほど、忘れ去られていくんですね。しかし、他のすべてのマイノリティのイシューと同じですけれども、なかなかみなさんが関心を持たないもとで、少数者の人の人権が切り捨てられていく。他のマイノリティのイシューでも福島の問題でも、原発事故から本当に風化をしてきていると言えるかもしれませんけれども、そういうことを許さない、人権の視点から福島の問題にもぜひ関心を持っていただいて、勧告の完全実施のためにみなさんのお力をいただきたいと思います。

そして先週、特定秘密保護法などが通ってしまって、みなさんがっかりしているところだと思うんですね。これについても、来年は自由権規約の審査もありまして、そこで正面からこの問題も問うていかなければならないと思います。ひとつひとつの問題は、やはりなかなかうまく実現しない。特定秘密保護法もあんな形で強行採決をされてしまうと、ショック・ドクトリンというのか、みんなショックを受けて、私たち無力なんじゃないかと思ったり、それか石破さんみたいに「デモはテロ」と言われたりすると、「あぁ、怖いな」と思って、みんな動けなくなってしまうというようなことにならないように、私たちがそういったことを乗り越えて、ひとつひとつの違う課題ですけれども、いっしょにぜひ力をあわせて取り組んでいければと思いますので、今後ともぜひよろしくお願いします。どうもありがとうございました。

2013年12月10日火曜日

国連・人権勧告の実現を!-すべての人に尊厳と人権を-(集会のお知らせ)

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   国連・人権勧告の実現を!-すべての人に尊厳と人権を-

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2013年5月、国連社会権規約委員会と拷問禁止委員会の2つの審査があり、70にもおよぶ勧告がありました。
 
 日本政府は、こうした勧告に対して、「従う義務なし」と閣議決定しました。日本には、差別、排外主義など人権課題が山積しています。
 
 私たちは、こうした状況を多くの人に伝え、日本政府を動かしていくために、「国連・人権勧告の実現を!~すべての人に尊厳と人権を~」というキャンペーンを立ち上げることにしました。
 
 12月6日に国会で採択されてしまった特定秘密保護法案についても、国連の人権理事会のフランク・ラ・ルー特別報告者とピレイ人権高等弁務官からも懸念が表明されていました。特定秘密保護法についても私たちは声をあげていきます。
 
 来年1月25日には、大きな集会とデモの開催を予定しています。それに先だち、12月14日、このキャンペーンの旗揚げ集会を次の通り、行います。米国の反戦・反差別団体ANSWERの代表も来日し、このキャンペーンに連帯の挨拶をしてくださいます。ぜひともご参加をいただければと思います。
 
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とき:12月14日(土)18:45〜20:45(18:15開場)
場所:明治大学・リバティタワー6階1063号
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【基調講演】
「国連人権勧告と日本」 荒牧重人(山梨学院大学教授)
 
【報告】
・朝鮮学校無償化排除問題
宋恵淑(在日本朝鮮人人権協会事務局)
 
・沖縄・アイヌ問題
上村英明(恵泉女学園大学教授/市民外交センター代表)
 
・国際社会から見た日本の人権状況
寺中誠(人権共同事務局長)
 
・日本軍「慰安婦」問題
渡辺美奈(女たちの戦争と平和資料館【wam】事務局長)
 
・国連人権理事会グローバー勧告を受けて
福島原発事故後の「健康の権利」と被災者支援を問い直す
伊藤和子(ヒューンマンライツ・ナウ事務局長)
 
米国の反戦・反差別団体「ANSWER」からの連帯アピール
 
*集会・デモのチラシはこちら(表面)(裏面)からダウンロードが可能です!ご自由にご利用ください◎
  
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主催:「国連・人権勧告の実現を!」実行委員会/ 共催:社会思想史研究会
http://jinkenkankokujitsugen.blogspot.jp/
メール:jinkenkankokujitsugen@gmail.com ファックス:03-3819-0467
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2013年12月3日火曜日

国連・人権勧告の実現を!(チラシのダウンロード)

国連・人権勧告の実現を!(チラシのダウンロード)



2013年12月14日(土)および2014年1月25日(土)に予定されています集会・デモのチラシはこちら(表面)(裏面)からダウンロードが可能です!ご自由にご利用ください◎

多くの方のご参加をお待ちしています!
 

2013年11月30日土曜日

第3回学習会の報告

第3回学習会の報告

 第3回目の学習会は東京経済大学教員の寺中誠さんによる「差別は禁止できるのか」というタイトルの講演会でした。約40名が参加し、法律・条約と差別禁止の関係について理解を深めました。講演内容の概略は次の通りです。

1 人権勧告とは何か

 差別行為やヘイトスピーチに対しては、国際法上は禁止・規制しなければならないが、日本には取締法や禁止法がない。条約上は、国際人権規約(自由権規約)19条および20条に規定されており、この中で、差別・憎悪の唱道は、表現の自由に対する特別の義務および責任、すなわち規制を伴うものとして明示的に禁止されている。

 また、先日、人種差別撤廃委員会より出された一般的勧告35においては、差別・憎悪の唱道は禁止だが、犯罪化は深刻なものにとどめるべきとし、制限的に適用するよう要請されている。ヘイトスピーチについても、行為それ自体だけでなく、社会的な状況などを踏まえることが要請されており、誰によって発され、どんな効果があったかを踏まえなければならず、形式的には扱えないことも合わせて明示されている。(*「一般的勧告」とは、条約の実施に伴う解釈として、委員会が提示するもの)

 条約と国内法との関係(条約の国内実施)については、日本では憲法98条(最高法規の規定)によって規定されているが、同条によると、国際法は国内法化されることになる。すなわち、国際法と国内法は二元論で別個の独立した存在だが、もともと憲法と条約は適合的(両者が適合しているとみなされる)という前提のため、条約は総合的にすべて国内法に組み入れられることになる。このことは、条約が違憲審査の対象ではないことからも明らか。また、「総合的に」ということの意味は、条約それ自体だけでなく、先に触れたような勧告や宣言、見解や原則、規則など、すべてを含むということ。

 安倍政権の閣議決定にある「法的拘束力がない」「実施義務はない」という点については、確かに形式的には拘束力がないと言い得るが、憲法98条から考えれば、「誠実に遵守」する必要があり、当然に条約上の規定を実現する必要があると考えることができる。

 ただし現実としては、「国家行政組織法」という法律が壁となっており、この枠組みの範ちゅうでないと行政が動けず、条約はこの法律の体系下には含まれないため、条約上の規定が実現されないという状況になっている。

 例えば、明石市において、「婚外子」にかかる違憲判決を受けて出生届の書式を変更した(出生届の婚外子欄を削除した)が、これに対して、法務省が「法令違反」として指導・是正させた。理由は現在の書式に反しているため。明石市は、憲法上の要請に沿って、人権条約を守ったが、法務省が無視し、条約よりも下位の法令レベルで却下されるという事態になった。

2 ヘイトスピーチと差別の規制

 ヘイトスピーチはかねてから表現の自由と衝突すると言われている。この点を整理して考えてみたい。差別規制の方法については、刑事法的規制、民事法的規制、行政的指導と国内人権機関による規制がある。

 刑事法的規制は、差別行為を犯罪として規定し、犯罪を予防し、また保護観察も適用できるようになるなど強力で、警察も動くことができるが、差別行為を具体的・個別的に設定することが困難。

 民事法的規制においては、不法行為(民法709条)として差し止めや賠償請求が可能となる。ただし、侵害された権利を特定する必要があり、また、日本では懲罰的損害賠償の制度がないため、再発防止効果が薄い。

 行政的指導とは、行政府のできる範囲で調整・指導すること。強制調査はできない上、「合理的区別」が認められてしまう点が難点。この点、他国では国内人権機関が積極的に動くことで、機能している。

 また、差別の態様についてもあわせて検討する必要がある。ここでは3つの態様にわける。

 ひとつは差別的攻撃で、京都の朝鮮学校の襲撃事件が代表的な例。第2に、行政での差別的取り扱いで、先に挙げたような行政書式における差別が例としてあげられる。第3は社会内の差別で、いじめや就職差別などが該当する。

3 国際人権基準とのかねあい

 表現の自由は重要な権利だが、そもそも人権は「絶対的権利・自由」と「相対的権利・自由」に分けられることに留意しなければならない。

 「絶対的権利・自由」とは、どんなことがあっても絶対に破られてはいけない権利・自由で、具体的には生命に関わるもの、とりわけ拷問の禁止や人身の自由が該当する。

 この点、自民党の改憲草案では、現行憲法にある「拷問は絶対にこれを禁止する」という条文から、「絶対に」を削除しており、拷問の禁止を相対的権利とすることを意図しているように考えることができる。「絶対に」は単なる修飾語ではなく、絶対的権利であることを宣言した重要な文言。

 「相対的権利・自由」には表現の自由が該当し、他に、知る権利や結社の自由などがあげられる。

 「相対的権利・自由」については他の権利との調整があり得るが、その場合、1立法によること、2目的の正当性・必要性があること、3目的と効果の合理性・因果関係があること、4手段の相当性があること(均衡のとれた手段か、権利侵害のない手段か)という4点が証明されて初めて認められる。すなわち、制限的でなければならないことが求められていると言える。

 現行憲法には「公共の福祉」という概念があるが、立法によっておらず、最高裁の判例と国会における答弁でその内容が明らかになっている。それによると、必要があるとき、合理的な限度で、かつ個別具体的に判断するとされており、手段については問うていないことがわかる。

4 差別は禁止できるのか

 まず、絶対的自由に対するものは刑罰を持って禁止するしかなく、これは人権条約上も明らか。各国の事例では扇動を処罰している(犯罪になるとしている)。範囲については、他人の権利を侵害している場合とし、また、立法の形式については、濫用できないようにする必要がある。

 ただし日本では、他国では認められている集団(属性)の権利は認められていないため、個々人の権利として構成されてしまい、特定の個人でなければ侵害が認められないことになってしまっている。集団(属性)の権利は法定されていないが、訴訟ができれば認められる可能性もある。

 いずれにしても、差別的取り扱いを禁止しても、差別のない社会はすぐには実現しない。各国ではこの点、国内人権機関が動いており、国や行政の監視という機能を果たしている。一方で、日本の法務省による国内人権機関の案は、各国の人権機関においては本来的には付属的な機能でしかない、市民に対する取り締まり機能のみで構成されていた。確かに場合によっては、そうした準司法的な対応もあり得るし、行政的な指導も可能と考えることはできるが、禁止・規制しても社会内の差別は終わらない。

 可能性として検討できるのは身分犯で、公人やメディア、学校の先生など、一定の立場や身分にある人の差別は禁止・規制するという構成。ただし、社内でのセクハラなど、本来的には強制わいせつや侮辱罪に該当するような事例についても、犯罪化できないという事態に至っており、厳罰化の流れが処罰回避をもたらした結果だが、この点は刑事政策的な難しさを内包していると言うことができる。

 「差別禁止は表現の自由と抵触する」というのは神話に過ぎず、両者は全くレベルの異なる問題であることを認識する必要がある。差別については、先ほど例示した差別の態様別に対策していく必要がある。また、注意しなければならないのは、これを作ったから解決すると言ったような万能な解決策はないということ。

 なお、会場との質疑では、身分犯としての規制のあり方について、また、メディアと禁止・規制法制の関係についてなど、議論が深められました。
 

2013年11月1日金曜日

第3回学習会「差別は禁止できるのか」のお知らせ


差別は禁止できるのか

 「○○人は殺せ」「出ていけ」などと連呼するヘイトスピーチ(差別扇動表現)デモが、新大久保などで、相変わらず続いています。安倍首相は国会で懸念を表明しましたが、「法規制が必要なほどの差別扇動はない」という姿勢です。国連人種差別撤廃条約では、批准各国にヘイトスピーチの法規制を求めています。欧州各国などではヘイトスピーチ規制法が整備され、上記のような発言は処罰の対象となります。
 ではなぜ、日本ではヘイトスピーチの規制が実現できないのでしょうか?差別の禁止は、国際人権条約上の義務です。しかし日本政府は、国内法を理由にして実施を怠っています。その殻を打ち破る道を、共にさぐりましょう‼

日 時: 2013年11月14日(木)19~21時(開場18時30分)
講 師: 寺中 誠 さん
     東京経済大学教員
     アムネスティ・インターナショナル日本 前事務局長
資料代: 500円
場 所: 文京区男女平等センター 研修室B(文京区本郷4-8-3 / 3814-6159)
     http://www.bunkyo-danjo.jp/access.aspx
      丸ノ内線/大江戸線 本郷三丁目駅 徒歩5分
      三田線 春日駅 徒歩7分
      南北線 後楽園駅 徒歩10分

主 催:「国連・人権勧告の実現を!」実行委員会 
連絡先:kokunaijinken@gmail.com 090-8485-6614(人権共同事務局)

*チラシのダウンロードはこちらから!
 

2013年10月25日金曜日

第2回学習会の報告


「国連・人権勧告の実現を!」第2回学習会報告

第2回の学習会は、IMADR-JCの企画による、「とどろかせよう!アイヌ、沖縄・琉球の声(世界に認められた先住民族の権利をもとに)」でした。会場の松本治一郎会館会議室には、約40人の参加者が集いました。

 最初に、「沖縄と大和(ウチナーとヤマトゥ)ウチナーグチとヤマトゥグチそしてウチナーンチュとヤマトゥ」と題して、琉球弧の先住民族会代表代行の当真嗣清さんから提起を受けました。
 奄美・沖縄・宮古・八重山で成り立つ琉球弧という範囲の中で、その一部からの報告であるという断りがあり、タイトルにあるようになぜ、ヤマトンチュと言わず、ヤマトゥ―としたのか、チュは人を表すのでそれがないということは人でなしということ。ヤマトの差別の酷さを表現しつつ、沖縄でもその内部に差別構造を内包していうことの指摘もありました。
 沖縄差別の例として、各県にある国立高専が沖縄にできたのは2004年、辺野古に、そして沖縄大学院は2011年に名護にやっとできた。日本全土の0,6%しかない土地に74%もの米軍基地が集中し、沖縄全権あげての基地撤去・オスプレイ配備撤回要請建白書を持参しての東京のデモでは、「売国奴」の罵声まで浴びせられ、沖縄の平和教育は思考停止だと、右傾化した教科書が強制されている。
 翻れば、中国残留孤児には年金が支給されたが、沖縄の人々は復帰後、掛け金をまとめて支払わされ、多額の支払いで苦しんだ人もいて、銀行から借入せざるを得なかったこともあった。
 米軍の軍属・兵士はパスポートなしで来日する、5万人もの人が密入国しているのだ。
 TPPでは沖縄のパインは守るといっているが、ほんの一部の産業であり、農家と漁業者の対立を煽っている。
 9月18日はシマクトゥバの日。かつて方言札をつけさせられた経験もあり、公教育で奪われた言葉は公教育で取り戻させたい。9月限定の琉球新報や沖縄タイムスの記事を紹介しながら、ヤマトへの厳しい告発が続きました。

 沖縄選出の衆議院議員、玉城デニーさんが参加されていたので、玉城さんから今、問題になっている八重山の教科書採択について詳しい説明がありました。

 続いて、「先住民族として文化だけではないアイヌ民族の権利回復を」と題して、アイヌ民族評議会会長・北海道アイヌ協会副理事長の阿部ユポさんからお話を聞きました。
 ユポさんは縄文時代からの歴史の中で、狩猟生活から渡来人によって農耕生活が定着し、人種の二重構造ができたこと、九州から大和を支配した大和朝廷が先住民族アイヌを蝦夷(エビはゆでると赤く丸くなることから卑屈な姿勢を表現)と称し、征夷大将軍を派遣して北の地に追いやり、やがて明治になり、アイヌを旧土人と称する「旧土人保護法」を作り、創氏改名、アイヌ語もアイヌ文化である女性の入れ墨も禁止した。
 アイヌは元来個人所有をしないが、実質的にアイヌが居住し、利用していた土地を「無主の地」として奪われた。日本人には開拓時に一人33haの土地を与え、狩猟を禁止されたアイヌは餓死者も出すようになってやっと一人5haの土地が与えられた。
 「アイヌ文化振興法」が制定されたが、文化の伝承を教室で習得してもそれを使う場ができていない。奪われた土地はすでに民間のものとなってしまったので、せめて入会地はアイヌの土地として返してほしい。
 アイヌからの要請として、教育・文化の回復、アイヌ出身の特別議員を選出する、民族自立化基金を設立する、アイヌの権利回復のために審議会を設置する、などの具体的要請を上げられました。

 二人の報告を受けて、市民文化センター代表の上村英明さんから、コメントがありました。
 いかに国連勧告を実現させるかという観点から、戦後日本社会が多数決原理に基づく普通の人重視の中で、個性ある人々が排除されてきたことを考えるべきだ、不公正・不正義社会の現実をチェックしようと発言されました。そして、中央と辺境という視点を持って活躍したアメリカのアンドリュー・ジャクソン(5ドル紙幣にあるひと)は初の開拓者の子孫として政府のトップになったが、教育の普及に努め、アメリカの民主化に貢献したと同時に、インディアンを虐殺したことも忘れてはならない。琉球やアイヌが決めたことをヤマトは妨害するな、民族の自己決定権を尊重することが日本社会の多元化も実現する、とまとめられました。

 会場とのやり取りもいろいろありましたが、アイヌの言語を取り戻すことについて、ユポさんの娘さんが朝鮮学校について大学で研究していて、奪われた言語を取り戻すために学校を作ってきた朝鮮学校の歴史、実績はアイヌについて大きな示唆を与えてくれるものだと言われたことは、この学習会で学習していることがつながっているという実感がわくものでした。
 

2013年10月5日土曜日

第2回学習会「とどろかせよう! アイヌ、沖縄・琉球の声 世界に認められた先住民族の権利をもとに」のお知らせ


国連人種差別撤廃委員会日本審査に向けた
STOP!レイシズム なくそう!日本の人種差別 集会シリーズ

とどろかせよう!
アイヌ、沖縄・琉球の声
世界に認められた先住民族の権利をもとに

2007年、先住民族の権利に関する国連宣言が採択され、翌年には日本政府がアイヌ民族を日本の先住民族と認めました。現在アイヌ文化の保護促進の取り組みがなされているものの、民族の権利回復は遅々としてすすんでいません。また、「沖縄/琉球民族は先住民族だ」という主張に関して、日本政府は国連の勧告にもかかわらず、認めていません。日本の先住民族が抱える問題を、先住民族権利宣言や人種差別撤廃条約など国際的な人権基準から見るとどのように見えるのでしょうか。来年秋には、国連本部で特別総会として世界先住民族会議が開催されます。北海道と沖縄から、長年国連でそれぞれの権利を訴えてきたお二人を招いてお話を伺い、その声に連なり、広くとどろかせていく集会にしていきたいと思います。どなたでも参加できます。お気軽にご参加ください。

日時:2013年10月21日(月)午後6時半~8時半
場所:松本治一郎記念会館5階会議室(東京都中央区入船1-7-1 )
    http://imadr.net/about/access/
地下鉄日比谷線、JR京葉線・八丁堀駅 A2出口より徒歩3分
地下鉄有楽町線・新富町駅 5番出口より徒歩7分

内  容:
司会 木村真希子(市民外交センタ―副代表)
〇先住民族として文化だけではないアイヌ民族の権利回復を
  阿部ユポ(アイヌ民族評議会会長・北海道アイヌ協会副理事長)
〇沖縄と大和(ウチナーとヤマトゥ)ウチナーグチとヤマトゥグチそしてウチナーンチュとヤマトゥー
  当真嗣清(琉球弧の先住民族会代表代行)
〇コメント 上村英明(市民外交センター代表)
〇質疑応答・意見交換

参加費:500円(主催団体会員、学生無料)
主  催: 人種差別撤廃NGOネットワーク、アイヌ民族評議会、琉球弧の先住民族会(AIPR)
     市民外交センター、反差別国際運動日本委員会(IMADR-JC)
賛  同:「国連・人権勧告の実現を!」実行委員会
連絡先:反差別国際運動日本委員会(IMADR-JC)  104-0042東京都中央区入船1-7-1
     Tel:(03)6280-3101 Fax:(03)6280-3102 Eメール:yhara[at]imadr.org (原)

2013年9月28日土曜日

第1回学習会の報告


第1回学習会の報告

 「国連・人権勧告の実現を!」第1回学習会は、2013年9月27日(金)に文京区民センターにて実施されました。参加者は44名でした。責任団体である無償化連絡会の長谷川さんから、実行委員会のいきさつと意義を含めたあいさつの後、2本の講演に入りました。

 まず、ソン・ヘスクさんは、「朝鮮学校に対する差別是正のための国連人権機関への働きかけと国連からの勧告~「高校無償化」からの朝鮮学校排除問題を中心に~」と題して、1990年代の朝鮮学校をめぐる動きと、国連人権機関とのかかわりから始め、過去の国連ロビー活動の経過と勧告内容を、一覧表にしてわかりやすくまとめて報告。
 さらに、今回のオモニ会代表5人とのロビー活動については、写真をたくさん使用して、映像による報告もしてくれたので、当地での活動ぶりがよく理解できました。
 また、朝鮮学校除外の動きと本審査までの流れや、当地での政府と委員のやり取りなども詳しく解説されました。さらに、これまでの国連への働きかけで成功した、山口の助成金創設の体験を話されましたが、せっかく勝ち取った助成金が、今は廃止されている実態から、日本政府や自治体の動きが、いかに国際社会から見ておかしなことかが浮き彫りになりました。
 「朝鮮学校の子どもたちの人権が、日本の子どもたちの人権と同じように守られるべきものと思う。国連に行っていいね、など言われるが本当は行きたくない、多くの金銭的負担や、大変な思いをしなくても済むようにしてほしい。ただ、国連への訴えが、世界のマイノリティの人権に対する、国連の枠組み拡大に役立てばうれしい。」と結ばれました。

 ヤン・チンジャさんは、この学習会の直前まで、国連での安倍の発言に対する抗議文を準備していたという忙しい中を、この会のために詳細な資料を準備してくれました。
 「日本軍「慰安婦」問題、国連での論議開始~マクドゥガル報告まで」と題する講演では、韓国挺身隊が1990年に結成され、やっと被害女性が告発できる条件ができ、初めて金学順が裁判の原告として実名公表。この日を記念して、今年、国連に記念日を作る動きが開始。
 日本政府が、宮沢内閣当時に第1次調査団を結成して以来、アジア女性基金をめぐる攻防があったこと、また、旧ユーゴの紛争で作戦として、女性への強姦が行われたことがあったことで、世界人権会議では、武力紛争下における女性の人権侵害として「全て」の「性奴隷制」を含めることに成功したが、日本政府は「全て」を「現在の」と書き換えて、日本軍「慰安婦」問題を入れないようにしていたことも発覚。
 第50回の人権委員会では、クマラスワミさんが特別報告者に任命され、のちに、今年来日されたマクドゥーガルさんに交代。彼は加害者の処罰と、被害者への国家賠償等を日本政府に勧告した。
 今年の日本政府の報告に対して、朝鮮学校排除について、厳しく追及した韓国のシン・ヘスさんは、1997年に「日本軍「慰安婦」問題解決のための国際活動の成果と課題」を著したが、最後に、「韓国は決して日本のような先進国になってはならないということ。我々は国際社会で尊敬される先進国にならなくてはならない。」と結んでいる、と紹介。
 また、最近の国会動向から、紙智子議員の質問に対して政府は「勧告に従う義務なし」と答弁したことを紹介。日本政府の態度を変えるためにどうするか、かつて第1次安倍政権の時を振り返り、アメリカの圧力が大きな影響を与えてきたことを話し、最後に、27日未明に、安倍が国連で平和や人権を尊重する国になるなどと、白々しいことを発表したことに対する抗議文を紹介されました。

 会場からの質疑では、日本軍「慰安婦」という呼称について、また、現在名古屋を皮切りに「慰安婦は捏造』展が行われようとしていることにどう対抗すればいいか、ということについて意見交換しました。
 

2013年9月15日日曜日

第1回学習会「「高校無償化」での朝鮮学校差別・日本軍「慰安婦」問題と国連勧告」のお知らせ


「高校無償化」での朝鮮学校差別・日本軍「慰安婦」問題と国連勧告

  日本の人権状況と国連勧告について学ぶ学習会の第1回。テーマは、「高校無償化」から朝鮮学校が排除されている問題と日本軍「慰安婦」問題についてです。朝鮮学校への差別については、たびたび勧告が出されていますが、今年の社会権規約委員会での日本審査に際しては、朝鮮学校の保護者たちがジュネーブで働きかけを行いました。これに同行した宋恵淑さんから、その体験と意義についてお話しいただきます。また、日本軍「慰安婦」問題に取り組んできた梁澄子さんからは、この問題についてどのような働きかけが行われてきたのか、なぜ国際的に注目を集めてきたのかをお話しいただきます。

日時:9月27日(金)19時~21時

場所:文京区民センター3C会議室
http://www.city.bunkyo.lg.jp/sosiki_busyo_kumin_shisetsu_kumincenter.html

資料代:500円

主催:「国連・人権勧告の実現を!」実行委員会
aramaki@ygu.ac.jp(荒牧)
090-9804-4196(長谷川)

 <主催紹介>

 日本の人権状況について、近年、国連の人権条約機関から相次いで勧告が出されています。日本政府は、これらの勧告を誠実に実施していくことが求められています。しかし日本政府は、人権条約の国内への適用に真剣に取り組んでいません。私たちは日々、人権問題が改善されるどころか、むしろ後退している現状を目の当たりにしています。このような状況だからこそ、各団体・個人が個別の人権課題に取り組んでいる活動を活かしつつも、情報・意見交換等をしながら連携・連帯し、広く社会に対してもアピールして世論を喚起する必要があると考え、「国連・人権勧告の実現を!」実行委員会を立ち上げました。12月14日には集会を、来年1月25日にはデモンストレーションを予定しています。


<講師プロフィール>

・宋恵淑(そん・へすく)

在日本朝鮮人人権協会事務局スタッフ。幼稚園から大学まで朝鮮学校で民族教育を受ける。朝鮮学校に対する日本政府による差別是正のため、社会権規約委員会第2回日本政府報告書審査(2001年8月)、子どもの権利委員会第2回日本政府報告書審査(2004年1月)、社会権規約委員会第3回日本政府報告書審査(2013年4月)などの各種人権関連条約の対日審査に参加。


・梁澄子(やん・ちんじゃ)

日本軍「慰安婦」問題解決全国行動共同代表、戦争と女性の人権博物館(WHR)日本建設委員会代表。1993年提訴の在日朝鮮人「慰安婦」被害者宋神道さんの裁判支援を中心に、90年代初から「慰安婦」問題に関わる。共著に『朝鮮人女性が見た慰安婦問題』(1992年、三一書房)、『朝鮮学校ってどんなとこ?』(2001年、社会評論社)、『オレの心は負けてない』(2007年、樹花舎)等。