2016年11月28日月曜日

第18回学習会「『外国人労働者拡充』の問題について」

第18回学習会 「外国人労働者拡充」の問題について


 2016年11月に「技能実習制度適正化法」が成立し、外国人の在留資格に新たに「介護」を設ける「出入国管理及び難民認定法」の「改定」が行われました。実習期間も最長5年間に延長されます。

 有料老人ホームからは「介護を担う人が不足しているため、外国人にすがるしかない」などの反応がありました。人手不足を安価な働き手で補い、しかも短期的に受け入れることはどのような結果をもたらすのでしょうか。本当にこの政策で外国人労働者の「労働権」が守られるのでしょうか。

 国内外から「奴隷」と批判される劣悪な労働環境のもとに実習生は置かれています。時間外労働や賃金の不払いも過去最多になっているのが現状です。2014年4月に亡くなったフィリピン人男性は、2016年8月に過労死として労災が認められました。外国人労働者の「人権」は、今後きちんと保護されるのでしょうか。

 そして、この問題が日本全体の労働環境にどのような影響を与えるのかも含め、自分や周囲の人たちの労働環境と重ねあわせながら、一緒に考えていきましょう。

*チラシはこちらからどうぞ!


◆講師: 竹信三恵子さん

(ジャーナリスト、和光大学教授。元朝日新聞経済部記者。2009年に貧困ジャーナリズム大賞受賞。『ルポ賃金差別』『家事労働ハラスメント』など著書多数。)


◆日時: 2017年1月26日(木) 19:00~21:00


◆会場:スマイルなかの 4階 多目的室
(中野駅北口より徒歩7分/中野区中野5-68-7)
http://www.nakanoshakyo.com/access/

◆資料代:500円

主催:「国連・人権勧告の実現を!」実行委員会

連絡先(Mail): jinkenkankokujitsugen@gmail.com
Blog:      http://jinkenkankokujitsugen.blogspot.jp/
Facebook:  https://ja-jp.facebook.com/jinkenkankokujitsugen
Twitter:   https://twitter.com/unjinken

2016年11月23日水曜日

国際立憲主義の実現を! 〜国連人権勧告と憲法〜  賛同のお願い

12・10国際立憲主義の実現を! 〜国連人権勧告と憲法〜

賛同のお願い



 「国連・人権勧告の実現を!実行委員会」では、様々な人権課題に取り組む個人や団体が、連帯して活動しています。日本社会の人権課題は、改善されるどころか、むしろ後退していると言っても過言ではありません。人権意識の向上のため、世論に訴えていくことが重要です。ぜひ実行委員会の活動にご賛同をいただき、デモと集会へご参加いただければと思います。

★ 賛同者・賛同団体を募集しています。賛同いただける場合は、実行委員会までお知らせください。
     メール jinkenkankokujitsugen@gmail.com
     ファックス 03-3819-0467

★ 賛同金は一口1,000円です。団体の方はできるだけ複数口でお願いします。お振込先は次の通りです。
      加入者名 国連人権勧告実現
      ゆうちょ銀行から 振込口座 00100-6-264088
      ゆうちょ銀行以外から  019支店 当座 0264088

なお、振込手数料はご負担くださいますようお願いいたします。また、当日プログラムにお名前を掲載させていただきますが、掲載を希望されない場合はその旨お知らせください。

*領収証の発行が必要な場合は、実行委員会までお知らせください。


=====<< 賛同者・賛同団体一覧 >>=====

(2016年12月28日現在)

<団体>

全国「精神病」者集団   
国際人権活動日本委員会   
朝鮮・韓国の女性と連帯する埼玉の会   
朝鮮学校生徒を守るリボンの会   
外国人学校・民族学校の制度的保障を実現するネットワーク埼玉   

「高校無償化」からの朝鮮学校差別に反対する連絡会   .
東京朝鮮高校生裁判を支援する会   
差別・排外主義に反対する連絡会   
「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会   
日朝国交正常化をすすめる神奈川県民の会   

ATTAC Japan(首都圏)
「日の丸・君が代」の法制化と強制に反対する神奈川の会   
フォーラム平和・人権・環境   
ARP(アンチレイシズムプロジェクト)   
在日本朝鮮人人権協会

「日の丸・君が代」強制に反対する予防訴訟を引き継ぐ会   
国連に障がい児の権利を訴える会   
ピースボート   
関東大震災朝鮮人虐殺の国家責任を問う会
日本友和会(JFOR)   

地球的課題の実験村杉並   
なくそう戸籍と婚外子差別・交流会   
子どもと教科書全国ネット21   
部落解放同盟東京都連合会
個人情報保護条例を活かす会(神奈川)   

チマ・チョゴリ友の会   
府中緊急派遣村   
全ての学校に高校授業料無償化を!練馬の会   
wam (女たちの戦争と平和資料館)   
「朝鮮学校のある風景」編集部   

アイヌ・ラマット実行委員会
「良心・表現の自由を!」声をあげる市民の会  
東京・教育の自由裁判をすすめる会
全石油昭和シェル労組   
子どもと女性の人権を考える東京の会 
  
「戦争と女性への暴力」リサーチアクションセンター(VAWW RAC)   
部落解放同盟中央本部   
部落解放同盟練馬支部   
東京都高等学校教職員組合   
沖縄のたたかいと連帯する東京南部の会   

慰安婦問題解決オール連帯ネットワーク
朝鮮人強制労働被害者補償立法をめざす日韓共同行動  
ヘイトクライムをなくそう神戸連絡会  
東京公立学校教職員組合  
アジア女性資料センター  

認定NPO法人ヒューマンライツナウ
NPO法人レインボー・アクション



<個 人>

森脇栄一 
石山久男  
斎藤紀代美  
池田幸代  
森本孝子  

軽部哲雄
中澤悟  
榎本みつ枝  
清水孝一  
山城由紀江  

池田幹子  
石川哲朗
山内覚  
京極紀子  
岩木俊一  

中野宣子  
尾澤邦子  
小林英三
大槻和子  
豊巻絹子  

黒田恵  
関田寛雄  
坂和優  
片山むぎほ
川浪寿見子  

長谷川和男  
徳永恭子  
新井史子  
木下貴美子  
野副達司

石川美紀子  
矢野恭子  
谷野隆  
柳沢由実子  
田中聡史  
渡辺保雄

石下直子  
小林信次  
野口敏雄  
毛利勇二  
外山喜久男  
堀純

近藤徹  
丹羽雅代  
渡辺厚子  
柚木康子  
三上雅宏  
岩崎わか  

渡辺吉男  
田場祥子  
中原道子  
井桁碧  
山田恵子  

山口明子
松野哲二  
寺尾光身  
横原由紀夫  
郡司實  
中村利也  

賀谷恵美子
保田千世  
佐野通夫  
遠藤真子  
宮谷則子 
 
岡田良子  
高木澄子 
西中誠一郎  
谷口滋  
権順華  

大野圭子  
笠井賢哲  
坂本繁夫
花松五穂  
與芝豊

2016年9月29日木曜日

国際立憲主義の実現を!~国連人権勧告と憲法~ 集会のお知らせ


━━━ ☆☆☆ 12・10 国際立憲主義の実現を! ☆☆☆ ━━━
◇◆◇ ~国連人権勧告と憲法~ ◇◆◇



 安保法制反対運動を通して、日本でも立憲主義に対する理解は深まりました。しかし戦後「平和憲法」の下でも、国際人権基準の実現には程遠いのが現実です。日本政府は「国連勧告に従う義務はなし」と閣議決定したこともあります。

  「国連人権勧告の実現を!」実行委員会は、様々な人権課題に取り組む団体や個人のネットワークで、政府に国連人権勧告の履行を求めています。

 国連「世界人権デー」の12月10日、「国際立憲主義の実現」を求めて集会を行います。沖縄の人権」を世界で訴えてきた島袋純教授(琉球大学)に基調講演していただきます。

 この実行委員会を作る契機となった朝鮮学校差別問題や、政府間の妥協江で被害当事者の人権回復が無視されている日本軍「慰安婦」問題や相模原障害者殺傷事件で、改めて問われている障害者の人権も取り上げます。

 平和憲法が実現すべき国際人権基準の現状を考え、人権課題に正面から向き合ってこなかった日本政府を、私たちの手で変えていきましょう。


☆ ━━━━━ ☆ ━━━━━ ☆ ━━━━━ ☆ ━━━━━━ ☆

<日時>
2016年12月10日(土) 14:00~16:30(開場13:30)

<集会会場>
山学院大学 9号館940教室
(※本多記念国際会議場から変更になりました)

東京都渋谷区渋谷4-4-25
JR山手線、JR埼京線、東急線、京王井の頭線、東京メトロ副都心線 他「渋谷駅」より徒歩10分
東京メトロ(銀座線・千代田線・半蔵門線)「表参道駅」より徒歩5分
http://www.aoyama.ac.jp/outline/campus/access.html
http://www.aoyama.ac.jp/outline/campus/aoyama.html

★☆★☆★☆★☆ キャンドル・デモも行います! ★☆★☆★☆★☆

<デモ集合場所> 宮下公園(渋谷区神宮前6-20-10)
<出発時間> 17:20
https://www.city.shibuya.tokyo.jp/est/park_miyashita.html

約30分のキャンドル・デモです。是非、ご参加ください!

……………………………………………………………………………

【集会プログラム】

◇朝鮮高校生によるダンス

◇基調講演  島袋純教授(琉球大学)

◇課題別報告

 ・朝鮮学校「無償化」問題
 ・日本軍「慰安婦」問題
 ・障害者の人権
 ・日の丸・君が代
 ・外国人労働者
 ・福島・原発
 ・性的少数者
 ・婚外子差別と憲法24条・家族条項

……………………………………………………………………………
【基調講演 講師プロフィール】

島袋純。琉球大学教授。西欧諸国における自治州政府の確立を欧州連合の文脈に位置付けて把握、帰国後沖縄の自治の研究を再開し、沖縄自治研究会を設立。05年、沖縄の学術文化、地域経済の発展の基盤となる研究者とその研究を顕彰する「沖縄研究激励賞」を受賞。主な業績として、『「沖縄振興体制」を問う』(法律文化社 2014年)、『沖縄が問う日本の安全保障』(岩波書店2015年)。現在日本平和学会・日本行政学会の理事。2014年7月結成の沖縄建白書を実現し未来を拓く島ぐるみ会議に関わり、現在事務局次長及び国連部会長を務める。2013年3月沖縄国際人権法研究会を立ち上げ共同代表。


<主催>
国連・人権勧告の実現を!実行委員会
青山学院大学人権研究会

*チラシのダウンロードはこちら()からどうぞ!

E-mail:jinkenkankokujitsugen@gmail.com
URL:http://jinkenkankokujitsugen.blogspot.jp/
Facebook:https://ja-jp.facebook.com/jinkenkankokujitsugen
twitter:https://twitter.com/unjinken
Tel:090-9804-4196(長谷川)

☆ …………………………………………………………………………………… ☆

 「国連・人権勧告の実現を!実行委員会」では、様々な人権課題に取り組む個人や団体が、連帯して活動しています。日本社会の人権課題は、改善されるどころか、むしろ後退していると言っても過言ではありません。人権意識の向上のため、世論に訴えていくことが重要です。ぜひ実行委員会の活動にご賛同をいただき、集会へご参加いただければと思います。
 
 
★ 賛同者・賛同団体を募集しています。賛同いただける場合は、実行委員会までお知らせください。
     メール jinkenkankokujitsugen@gmail.com
     ファックス 03-3819-0467

★ 賛同金は一口1,000円です。団体の方はできるだけ複数口でお願いします。お振込先は次の通りです。
      加入者名 国連人権勧告実現
      ゆうちょ銀行から 振込口座 00100-6-264088
      ゆうちょ銀行以外から  019支店 当座 0264088

なお、振込手数料はご負担くださいますようお願いいたします。また、当日プログラムにお名前を掲載させていただきますが、掲載を希望されない場合はその旨お知らせください。


2016年9月15日木曜日

第17回学習会の報告

第17回学習会報告

●テーマ 「国連勧告から見た琉球・沖縄-自己決定権と「先住民族」」
●講師 上村英明さん(市民外交センター代表・恵泉女学園大学教授)
●日時 2016年9月13日(火)19:00~21:00
●場所 ピースボート事務局(高田馬場)


●内容報告

はじめに

 自己決定権は人権である。しかし、日本では人権や平和に関心がある人であって
も、これを理解してもらうのが難しい。
 国連総会特別会期2014年の国連先住民族会議(於、ニューヨーク)で糸数慶子さん
が琉装をして発言をした。現在、国連では先住民族という主体を国連加盟国と対等に
どう扱うのかというポジションの検討をしている。先住民族という概念は、それほど
に強い概念だ。

1.「沖縄」に対する国連・人権勧告とは何か

 社会権規約委員会(2001年)、自由権規約委員会(2008・2014年)、人種差別撤廃
委員会(2010・2014年)より、琉球・沖縄の人々に対する法律上および事実上の差別
の撤廃、先住民族としての認定、土地および天然資源に対する権利の保障、琉球の権
利の促進・保護に関する問題についての締約国と琉球の代表との協議の強化などが勧
告されている。

2.「沖縄」に関する人権勧告の背景

1)「沖縄県」における米軍基地の問題は、反戦・平和・反基地の問題と考えられて
きた。日本全体の安全保障や環境保護の問題と考えられてきたため、人権の問題だと
は従来考えられてこなかった。

2)大田昌秀知事の代理署名拒否(1995年)と最高裁判決での敗訴(1996年)を機
に、松島泰勝さん(現龍谷大学教授・2013年に琉球民族独立綜合研究学会を設立)が
国連人権機関である国連先住民作業部会(WGIP)に参加し(1997年)、その後琉球人
の自己決定権を軸に先住民族の権利を主張する「琉球弧の先住民族会(AIPR)」が琉
球人によって結成された(1999年)。こうして、「沖縄」が国際人権上の問題となっ
た。

3.その後の動き①翁長知事の国連演説

 2015年9月22日、翁長知事が国連人権理事会で演説をした。演説時間は2分間しかな
かったため、シンポジウムも開催し、その中で翁長知事は沖縄の現状を歴史的背景か
ら考える必要性について話した。翁長知事は、菅官房長官とのやりとりで最もすれ
違った点は「歴史認識」だったと話していた。

4.翁長知事・国連演説全文(日本語仮訳)

「議長、ありがとうございます。日本の沖縄県の知事、翁長雄志です。
 私は、沖縄の自己決定権がないがしろ(neglect)にされている辺野古の現状を、
世界の方々にお伝えするために参りました。
 沖縄県内の米軍基地は、第2次大戦後、米軍に強制的に接収され、建設されたもの
です。私たちが自ら進んで提供した土地は全くありません。
 沖縄の面積は日本の国土のわずか0.6%ですが、在日米軍専用施設の73.8%が沖縄に
集中しています。戦後70年間、沖縄の米軍基地は、事件、事故、環境問題の温床と
なってきました。私たちの自己決定権や人権が顧みられることはありませんでした。
 自国民の自由、平等、人権、民主主義も保証できない国が、どうして世界の国々と
こうした価値観を共有できると言えるのでしょうか。
 日本政府は、昨年、沖縄で行われた全ての選挙で示された民意を無視して、今まさ
に辺野古の美しい海を埋め立て、新基地建設を進めようとしています。
 私は、考えられうる限りのあらゆる手段を使って、辺野古新基地建設を阻止する決
意です。
 今日はこのようにお話しする場を与えて頂き、まことにありがとうございまし
た。」

5.翁長知事・国連演説全文(英語正文)

“Thank you, Mr. Chair.
  I am Takeshi Onaga, governor of Okinawa Prefecture, Japan.
  I would like the world to pay attention to Henoko where Okinawan’s right
to self-determination is being neglected.
  After World War 2, the U.S. Military took our land by force, and
constructed military bases in Okinawa. We have never provided our land
willingly.
  Okinawa covers only 0.6% of Japan. However, 73.8% of U.S. exclusive bases
in Japan exist in Okinawa. Over the past seventy years, U.S. bases have
caused many incidents, accidents, and environmental problems in Okinawa.
  Our right to self-determination and human rights have been neglected.
  Can a country share values such as freedom, equality, human rights, and
democracy with other nations when that country cannot guarantee those values
for its own people?
  Now, the Japanese government is about to go ahead with a new base
construction at Henoko by reclaiming our beautiful ocean ignoring the
people’s will expressed in all Okinawan elections last year.
  I am determined to stop the new base construction using every possible and
legitimate means. Thank you very much for this chance to talk here today.”

6.国連人権勧告への反対運動①

 豊見城(とみしろ)市議会の決議「国連各委員会の「沖縄県民は日本の先住民族」と
いう認識を改め、勧告の撤回を求める意見書」(2016年12月22日)では、「先住民の
権利を主張すると、全国から沖縄県民は日本人ではないマイノリティとみなされるこ
とになり、逆に差別を呼び込むことになる」などという非常に差別的な内容が書かれ
ている。この動きから、同様の意見書採択の要請が現在、沖縄の全市町村に回ってい
る。

7.国連人権勧告への反対運動②

 「沖縄対策本部」というNGOができており、国連人権理事会での発言などを通じて
「先住民族勧告撤回要求活動」を行っている。
 また、宮崎政久という沖縄選出の自民党衆議院議員が「国連先住民族勧告の撤回」
のために活動している。

8.国連勧告への積極的な対応:琉球新報

 琉球新報では、「沖縄問題は民族差別」だとする佐藤優さんの主張を掲載するな
ど、積極的に国連勧告に対応している。

9-10.先住民族の権利とは何か?

 先住民族と一口に言っても、簡単に定義できるものではない。国連の「先住民族の
権利に関する宣言(Declaration on the rights of Indigenous Peoples)」(2007
年採択)では、様々な権利を失った人たちとされている。自己決定権、同化を強制さ
れない権利、教育の権利、伝統医療と保健の権利、土地・領域(土)・資源に対する
権利、国境を越える権利など。
[参考]
先住民族の権利に関する国際連合宣言(市民外交センター訳)
http://goo.gl/F5YpZA

11.「人民の自己決定の権利」とは?

1)「人民の自己決定権利」=the right of peoples to self-determination
 1945年の「国連憲章」において、「人民」が国際社会の主体になった。それまで
は、主体はnation=ヨーロッパ型の政治システムを持った集団であった。

2)人権の土台としての「人民の自己決定権」
 1966年採択の「国際人権規約」(自由権・社会権規約)の第1条1項で「すべての人
民は、自己決定の権利を有する。この権利に基づき、すべての人民はその政治的地位
を自由に決定し、並びにその経済的、社会的及び文化的発展を自由に追及する。」と
定められ、個人の人権の土台に自己決定権が想定された。

3)「人民の自己決定権」を行使する主体の認定
 「人民の自己決定権」を不当に奪われた人々の権利回復や「植民地」の解放=脱植
民地化に関するもの。

12.植民地解放(脱植民地化)と先住民族
*「歴史的不正義」(植民地支配)にどう向き合うか

1)日本政府の基本的姿勢
・第2次世界大戦の敗戦によって、すべて放棄
・過去のことは水に流して、「現実的に」「未来志向で」
⇒「植民地支配」という「歴史的不正義」を忘却する…

2)脱植民地化への国際的な流れ
・1918年 植民地解放という政治的課題:「ウィルソンの14カ条」
・1945年 国連憲章での明記(「非自治地域」及び「信託統治」)
・1960年 植民地独立付与宣言=脱植民地化の強化、促進
 ⇒宗主国の恣意的な操作によって公正さに欠ける
・1980年代 公正な脱植民地化実現のための「先住民族」問題の登場

13.琉球併合の検証:合法か非合法か

1)琉球近代史の再検証
 「琉球国」は西欧や中国と対等な国家として振舞っていた。中国とは「朝貢体制」
にあった。1879年、国際法(ウィーン条約法条約)に違反した日本への武力併合が行
われ、その後、理不尽な植民地政策が行われた。戦前に国内行政制度を実施せず「沖
縄県政」による支配をし、1920年代の「ソテツ地獄」のように琉球経済を植民地化し
た。また「方言札」「改姓改名運動」など、皇民化政策と差別を行い、沖縄戦では
「沖縄語を話す者はスパイとみなせ」とされながら住民虐殺が行われた。そして1945
年ニミッツ布告(旧琉球王国領における日本の行政権の停止=琉球の分離)により、
米軍軍政下へ分離された。

2)戦後の沖縄史への継続
 基地用地が接収され、軍事基地が建設された。

14.琉球王国(1429年~1879年)の存在
(写真説明。首里城の屋根の上にはシャチではなく龍が飾られている。中国の影響)

15.琉米修好条約の締結(1854年)

(写真説明。琉球政府は中国語を使って条約を作成した)

16.日本による武力併合と支配(1879年)

(写真説明。首里城は日本軍により包囲され、琉球国の廃止後、首里城は軍事基地と
された)

17.改正改名運動(1940年代)

(写真説明)沖縄には帝国大学が設置されず、本土の大学に進学する際に日本人に読
みやすい名前に変えさせられるなどの「改姓改名運動」が行われた(例:「東恩納
(ひがおんな)⇒東(あずま)」「知念(ちねん)⇒本田(ほんだ)」など)。

18.戦後、米軍による「琉球」の分離

 (写真説明。米軍統治時代に分離された南西諸島は、ほぼ旧琉球王国の版図[1946
年1月29日⇒1972年5月14日]。「米軍の沖縄占領は両国の利益になる」という主旨の
天皇メッセージ(1947年)の存在)

19.自己決定権をめぐる動き:2015年

 琉球新報の連載と出版(6月)、国際シンポジウム「道標求めて―沖縄の自己決定
権を問う」の開催(2月)。
[参考]
琉球新報社・新垣毅『沖縄の自己決定権 その歴史的根拠と近未来の展望』
http://www.amazon.co.jp/dp/4874985696

20.「琉球」の論理の転換と市民の動き

1)新しい市民・社会運動の視点
・1999年2月 「琉球弧の先住民族会」の設立
・2013年5月 「琉球民族独立総合研究学会」の設立
・2014年5月 琉球新報社による「琉球の自己決定権キャンペーン」
・2014年7月 「沖縄建白書を実現し未来を拓く島ぐるみ会議」の設立⇒「島ぐるみ
会議」が翁長知事の推薦団体であり、「オール沖縄」の土台

21.さいごに:「琉球人」に自己決定権があれば…

 「日本」と「琉球」は対等であり、「琉球人」には固有の歴史、文化を守る権利が
ある。自己決定権の基本的な意味は、他の者が代弁してはならないということである
から、「日本政府」は「琉球政府」の代弁をできない(平和や反戦という視点でみる
と、運動家も代弁しがちになるが、自己決定権の視点でみると代弁はできない)。
「琉球」の空間・土地・資源には「琉球人」の基本権があり、「琉球政府」には、基
本的な内政・外交権がある。脱植民地化とは、歴史的正義の実現であり、「琉球人」
のアイデンティティを確認することは、本来の多様な社会の実現へとつながる。

●質疑応答・意見

1.自己決定権という言葉が非常に重いということがわかった。現在、恣意的拘禁の
作業部会の日本訪問に向けて活動しており、私たちも自己決定権という言葉を使った
りするのだが、恣意的拘禁の問題と自己決定権の関わりについて意見を聞かせてほし
い。
 ⇒自己決定権という権利はとても重要な権利であるし、その言葉の性質上広範囲に
使える言葉。もともとは、国家をつくることのできる権利を意味するが、どんどん
使ってほしい。恣意的拘禁の問題についてはあまり分からない。

2.本日話された内容にはとてもシンパシーを覚えるが、実現可能性で考えると、た
とえば土地や資源の権利については、ハードボーダーに基づいたものが国だと考える
とき、それと両立するのか?
 ⇒1997年当時は、松島さんしかこの問題の意味を分かっていなかった。それが2015
年、翁長知事は市民外交センターというNGOの枠を使って発言した。こう考えると、
1997年に比べるとかなり広がってきたと思う。
たとえば最近では、王子製紙や日本製紙などの企業が、正しい森林資源の活用をして
いる企業がもらえるFSC(Forest Stewardship Council)のマークをもらうために、
アイヌ民族と話をしなくてはいけないという流れが出てきている。なぜなら、先住民
族の権利を侵害して森林を伐採すると違法伐採になり、FSCのマークをもらえないた
め。今まででは考えられないような動きである。
歴史的な正義を日本では軽視しがち。しかし、正しいロジックで正しいことを主張す
る。原理原則を大事にしながら、応用もしっかりやっていけば、時間はかかっても可
能性はあると思う。

3.2007年の先住民族権利宣言が出たとき、琉球の問題はどう扱われたのか?
 ⇒沖縄の人々がこのレベルで考えるというのはハードルが高かった。琉球には独自
の新聞や大学、弁護士がおり、アイヌの人々に比べたら潜在的な力がある。しかし、
いろんな人がいるぶん、どういうポイントで主張や運動やっていくかというところで
揺れる。アイヌ民族は、民族としてのアイヌが存在し、それが否定されてきたという
点に関してはブレない。
 大いに協力しているが、島袋純さんというスコットランド研究者は、琉球という
「地域」に、スコットランドと同様に本来自己決定権があったという主張をされてい
る。

4.国連加盟国と先住民族が対等になっている例はあるのか?
 ⇒先住民族は自治権を超えた権利を持っている。加盟国とNGOの間に微妙なステー
タスがあり、たとえばパレスチナ解放機構(PLO)や赤十字国際委員会(ICRC)は、
NGOを越えて、政府のようなステータスを持っている。北欧のサーミ民族はサーミ評
議会を持っていて、それは4つの国境を越えており、4つの国と5つの政府があると
表現される。そうすると、NGOよりも強い政府に近い地位を与えなくてはいけないの
ではないかという議論が出てきており、まさにこれが現在の国連と先住民族の大きな
課題となっている。

5.今月16日に代執行訴訟の判決が出るが、展望は?
 ⇒日本の司法に対しては悲観的だが、司法の機会を使っていくことは大事。たとえ
ばアイヌの二風谷ダム裁判は、札幌地裁の裁判官に資料をたくさん渡して、すごく勉
強してくれた結果、負けると思っていたが勝った。判決では、本来のアイヌの土地に
日本の統治が入ったという事実を認めた。可能性はあると思っている。

2016年7月29日金曜日

第17回学習会「国連勧告から見た琉球・沖縄」

「第17回学習会」国連勧告から見た琉球・沖縄



 昨年9月21日、スイス・ジュネーブで開催された国連人権理事会にて、沖縄県の翁長知事はアメリカ軍普天間基地の「移設」計画について、沖縄に米軍基地が集中する実態を紹介し、「沖縄の人々は、自己決定権や人権をないがしろにされている」と訴えました。これは、沖縄の米軍基地問題は日本の安全保障の問題として語られることが多いですが、沖縄の人々にとって、米軍基地そのものが命と安全の脅威であり、人権の問題であることを意味しています。

 また、自己決定権(SELF-DETERMINATION)という概念は国連憲章の中でも最も重きを置かれている権利のひとつですが、この言葉のインパクトを在沖米軍基地問題に取り組む市民運動もまだうまく活かし切れていません。

 日本「本土」と琉球・沖縄の関係を歴史的に見直し、普天間、辺野古、高江など日常の命と安全の問題を解決するひとつの糸口を探るために、「国連勧告から見た琉球・沖縄」について学びます。

 ◇講師:上村英明さん(恵泉女学園大学教授/市民外交センター代表)

 ◇上村 英明さん(恵泉女学園大学教授/市民外交センター代表)
 1956年熊本市生まれ。1979年慶応義塾大学卒、1981年早稲田大学大学院経済学研 究科を修了。修士論文では植民地・北海道を扱う。1982年先住民族の権利問題と 取り組むNGO・市民外交センターを設立して、以後代表。現在、恵泉女学園大学教授。 同大学平和文化研究所所長。大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター客員研究員。2015年、沖縄県の翁長知事が国連人権理事会で発言した際も、様々な形で協力した。主要著書に『先住民族の「近代史」-植民地主義を超えるために』(平凡社)、ほか。

◇日時:2016年9月13日(火) 19:00~21:00

 ◇会場:ピースボート事務局(新宿区高田馬場3-13-1-B1)
 JR/西武新宿線/地下鉄東西線「高田馬場駅」早稲田口より徒歩7分
http://peaceboat.org/access/1979

 ◇参加費:500円

*チラシのダウンロードはこちらからどうぞ!

 主催:「国連・人権勧告の実現を!」実行委員会
 連絡先(Tel): 090-6015-6820(野平)
 連絡先(Mail): jinkenkankokujitsugen@gmail.com
 Blog:      http://jinkenkankokujitsugen.blogspot.jp/
 Facebook:  https://ja-jp.facebook.com/jinkenkankokujitsugen
 Twitter:   https://twitter.com/unjinken

2016年7月10日日曜日

第16回学習会の報告

第16回学習会の報告


●テーマ 「日本の人権は、国際的にどう扱われているのか?」
●講師 寺中誠さん(大学教員、アムネスティ・インターナショナル日本元事務局
長)
●日時 2016年6月23日(木)18:30~20:45
●場所 連合会館5階 501会議室

▼そもそも人権とは役に立つものなのか?
 人間が社会で生きていくためには依存できる社会資源(お金、権力、能力…)が必
要。社会資源が圧倒的に不足していて救済手段がない場合の最後の手段が「人権」。

▼人権の二つの意味
 1)十分な社会資源を持つための法的根拠(自由・平等・博愛)
 2)社会資源の圧倒的不足の際に補完的に機能する救済手段(マイノリティ=権利
から排除された人のための人権)

▼人権アプローチと福祉アプローチ
 福祉:与え、施すものであり、パターナリズム・平等原則に基づく
    判断する権限・パワーは、施す側にある
 人権:求め、訴えるものであり、ニーズベース
    必要がある権利者側が、義務者に対して請求する
    判断するのは権利者側

▼国際的な人権保障体制
 国家・政府は、条約等の体制により、国際社会(国の集まり)からの国際的義務に
基づき、権利者の権利実現のための国内法的義務(最も具体的かつ有効な措置)を
負っている。
 権利者の権利実現と国際社会とは直接の権利保障関係にはない。
 NGOは、国連憲章第71条に基づき、各国に国際的義務を果たすよう働きかけつつ、
最も効果的に権利者が救済されるよう、国内法的義務の実施に向けた情報収集と働き
かけを行っている。両者をつなぐ役割を担っている。

▼グローバル化と人権
 国家(Nation-State)とグローバル化(Globalisation)のバランスが前提の世界
としてある。その世界の中で、安全保障(Security)と自由(Freedom)が対峙し
あっている構造。
安全は、規制や福祉アプローチと親和性が高く、自由は権利と親和性が高い。だが、
安全には軍事力・警察力という権利侵害を起こす力が関与するし、自由に関しても強
い側が自由を主張することで他を圧倒してしまいがち。両者のバランスをとることが
大事。どちらか一方が増大すると、他方が締めつけられる。

▼国際人権法の国際的実施手続
-国連機関
・OHCHR(人権高等弁務官事務所)
・特別手続(特別報告者、作業部会、事務総長特別代表)
・総会および人権理事会/普遍的定期審査(UPR)
・女性の地位委員会、先住民族の権利フォーラム 等
-条約機関
・自由権規約委員会、社会権規約委員会
・人種差別撤廃委員会、拷問禁止委員会、同小委員会、女性差別撤廃委員会、子ども
の権利委員会、障がい者権利委員会、移住労働者の権利委員会
-各種ガイドライン/勧告文書

▼国際人権法を国内で実施する
 憲法98条2項で「誠実遵守義務」が規定されており、国内実施のための政策提言機
能を担う国内人権機関の設置が求められる。しかし、行政は憲法問題を判断すること
はできず、むしろ国家行政組織法等により、国内行政から、国際人権法/憲法の体制
が切断されてしまっている。

▼パリ原則と根本的に異なる日本の状況
 これまでの条約機関の勧告のほぼすべてが、日本に「パリ原則に沿った」国内人権
機関を設置するように勧告している。しかし、国内人権機関の独立性の要件を満たさ
ない、行政府付属型(法務省/内閣府)の提案しか出されていない。また、国際基準
とは機能が大幅に異なる、個別救済特化型である。
 パリ原則に沿った国内人権機関は、①政策提言(監視)機能、②国際協力機能、③
調査・研究・広報機能、④個別救済機能を持っている。①が最も重要である。また④
は、公権力による人権侵害を扱うことを重点目標とするよう補完的機能として追加さ
れたものである。しかし、日本の構造では、①も②もほとんど無く、④に重点が置か
れ、しかも肝心の公権力による制度的な人権侵害には、ほとんど関与できない。

▼現在の法務省の人権擁護行政
 全国に約14,000の人権擁護委員を配置して、各法務局を窓口として設置している。
2013年に手続開始した人権侵犯事例数は22,437件で、同年の処理数は22,172件。しか
し、そのうち20,663件は「援助」(法律上の助言を行ったり、関係行政機関や関係あ
る公私の団体等を紹介すること)で、事実上、アフターケアのない「たらいまわし」
がほとんどである。

▼日本に必要なのは人権政策
 国内情勢から考えても、実際に望まれているのは、個々の事例の救済機関ではな
く、政策提言機能と国際協力機能を備えた国内人権機関。さらに、明確な差別禁止法
が必要。
日本では、公権力が設定した制度によって迅速かつ実効的な救済が阻まれており、制
度改善のための司法的アクションにほとんど効果がない。人権保障のための明確な政
策方針がなく、必要な社会的資源を得る権利が恩恵措置としかみなされない。被差別
当事者の声が反映されるための政策のための場がなく、差別禁止法がないため、差別
事例に行政的・司法的アクションを期待できない。

▼国際人権機関による日本への視座
 公共の福祉による人権制限があいまいかつ恣意的な基準でなされている(人権制限
のための国際人権法上のルールを明確に法制化するよう勧告されている)、刑事司法
での無罪推定の徹底、死刑制度の存在、行刑施設の閉鎖性、日本軍「慰安婦」問題、
外国人・在日・部落・先住民族への差別、女性差別・性的マイノリティ差別。
 国際人権法上の基準⇔日本の理解。①法定主義⇔「公共の福祉」、②制限の必要性
⇔必要性、③制限と手段の合理性⇔合理性、④制限の相当性⇔個別判断。

●質疑応答
1.国内人権機関で独立性がしっかりしている国は?
→近年ではモンゴルの国内人権機関が行政府・立法府から独立しているとされてい
る。

2.国内人権機関について、財政的に独立とはどういう意味?
→申請ベースで予算請求をして、後に予算が減らされたりしないということが重要。

3.条約と行政との関係がよく理解できなかったが…
→行政は、条約に関する問題については憲法に関わることなので司法に問うてくださ
い、という立場。例えば、明石市は婚外子に関する最高裁判決を受けて国際人権基準
に沿う形での出生届の書式の変更を行ったが、法務省は現在の国内規定に基づく書式
に反していることのみを理由に「法令違反」として指導した。

4.公安警察からの暴力事件について、国際裁判所に訴えられる?
→係争中ということであれば、できない。国内の救済手続を尽くしていないため。

5.子どもと引き離された親の問題について
→弁護士の中でも、ハーグ条約に賛成する派と反対する派など分かれている。解決策
としては、共同親権しかないのでは。

6.相続差別の撤廃と出生届の書式について
→日本の人権問題のかなりの部分は戸籍にある。戸籍撤廃運動はとても大事。

2016年6月1日水曜日

第16回学習会「国連勧告はなぜ実現できないのか? ―「守る義務なし」閣議決定批判と国内人権機関・個人通報制度―」

第16回学習会

国連勧告はなぜ実現できないのか?
―「守る義務なし」閣議決定批判と国内人権機関・個人通報制度―



 日本の人権状況が、いま問われています。「従う義務なし」の閣議決定を行った日本政府は、国際社会の常識とは大きく乖離しています。人権問題に一貫して取り組んでこられた寺中誠さんに、大いに語っていただき、共に話し合いましょう。

◇講師:寺中誠さん(大学教員、アムネスティ・インターナショナル日本元事務局長)

◇日時:2016年6月23日(木) 18時30分~(18時開場)

◇会場:連合会館 5階 501会議室(千代田区神田駿河台3-2-11)

千代田線 新御茶ノ水駅 B3出口(徒歩0分)
丸ノ内線 淡路町駅 B3出口(B3出口まで徒歩5分)
都営新宿線 小川町駅 B3出口(B3出口まで徒歩3分)
JR中央線・総武線 御茶ノ水駅聖橋口(徒歩5分)
http://rengokaikan.jp/access/

◇資料代:500円

◇チラシのダウンロードはこちらからどうぞ!

主催:「国連・人権勧告の実現を!」実行委員会

連絡先(Mail): jinkenkankokujitsugen@gmail.com
Blog:      http://jinkenkankokujitsugen.blogspot.jp/
Facebook:  https://ja-jp.facebook.com/jinkenkankokujitsugen
Twitter:   https://twitter.com/unjinken

2016年4月21日木曜日

第15回学習会の報告

第15回学習会の報告

 永井よし子さん(JNNC(日本女性差別撤廃条約NGOネットワーク)共同代表)をお迎えして開催した、第15回学習会の内容を報告します。

 最初に女性と人権という内容で話されました。

 これまでの女性運動の提起の上に、女性自身が気づいた差別を社会に問題提起していくことの重要さ、世界的な流れと関係付けながらの女性の運動が蓄積されていったことなどが中心でした。
 その中で、社会構造にひそむ差別性、特に家制度によって女性が縛らのれてきたことが浮き彫りになりました。それは今も夫婦別姓が議会で通っていないこと、女性のみに課せられた再婚禁止期間と男女で異なる婚姻最低年齢などにも現れています、家制度はなくなったと主張する人がいますが、脈々と続いているのです。

 差別を社会化する、言葉化するという話にとても共感しました。「性的嫌がらせ」がセクシュアル・ハラスメントという言葉に、夫の妻への暴力が「DⅤ」に言葉化され、それが人権侵害だと認識され、法的に根拠づけられた歴史を見ても、言葉化することの大事さがわかりました。

 続いて、2016年の2月に行われた第63回女性差別撤廃委員会での審議の様子が詳しく話されました。

① CEDAWの本審議にグループ制がとられた時期があったが、今回は全員参加。
② バックラッシュ派の人が増えたこと。和服で下駄ばきの男性も参加したそうです。
③ 政治環境の右傾化のためか政府総括書は非常にそっけなかったこと。女性活躍法が前面に出され、実態を反映しない報告がされたこと。しかも今回の政府代表団団長は男性の官僚で慰安婦問題に関する発言はすべて彼が行った。
④ 勧告が無視されたり、軽視されたり、おざなりだったりしたために、女性差別撤廃委員会の各国のメンバーが大変いらだっていたこと。
 差別の定義が日本の法律に明記されないこと、選択議定書が批准されていないこと、慰安婦問題が解決していないこと、民法が改正されていないこと、女性の政治参加が進んでい ないことなどが、懸案のまま放置されていることなどが問題になった。マイノリティや障害女性についての記載が踏み込まれていることなどはNGOの成果。

などなど詳しい報告をリアリティを持って、聞くことができました。

 NGOネットワークの丁寧な取りくみや苦労、その手続きなどを図を使って説明されました。並々ならぬ細かい努力の軌跡だなと感心しました。

 質問が8点出ましたが、丁寧に永井さんが返答されて9時前に終了しました。

 永井さんは、年代や歴史的事実や委員会のやり取りの状況など、すらすらと説明されていました。ちなみに永井さんは今年81歳になるのだそうです。社会運動をする人、女性運動する人のモデルにしたい人だなと心から思いました。
 

2016年3月9日水曜日

第15回学習会「女性差別撤廃条約を実現するために、女性たちは何をしてきたか・今どうなっているか」

第15回学習会
「女性差別撤廃条約を実現するために、女性たちは何をしてきたか・今どうなっているか」



 日本が女性差別撤廃条約を批准したのはいまから30年前の1985年。

 批准した条約(CEDAW)の内容を日本で実現させたいと、女性たちは歩みを進めてきました。

 日本政府が提出する定期報告審査のたびに、オルタナティブ・レポートを送り、差別の実態を知らせ、審査を見守り、CEDAW勧告の実現を政府に働きかけてきました。

 それらの活動の中心軸となってきたのが、JNNC(45団体参加)です。

 2月にジュネーブで行われた審査会にも参加した永井よし子さんのお話は、きっとどのような課題にも通底することでしょう。

 みなさま、ぜひ学習会へご参加ください。


◆日時:2016年4月14日(木) 18時30分~

◆講師:永井よし子さん
   (JNNC(日本女性差別撤廃条約NGOネットワーク)共同代表)

◆会場:東京ウィメンズプラザ 第1会議室(渋谷区神宮前5-53-67)
http://www1.tokyo-womens-plaza.metro.tokyo.jp/outline/tabid/136/Default.aspx#

・JR/東急東横線/京王井の頭線/東京メトロ副都心線 渋谷駅 宮益坂口から徒歩12分
・東京メトロ銀座線/半蔵門線/千代田線 表参道駅 B2出口から徒歩7分

◆資料代:500円

◆チラシのダウンロードはこちらからどうぞ!


主催:「国連・人権勧告の実現を!」実行委員会

連絡先(Mail):jinkenkankokujitsugen@gmail.com
Blog:http://jinkenkankokujitsugen.blogspot.jp/
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