2015年12月31日木曜日

第14回学習会の報告

第14回学習会の報告

 第14回学習会は、荒牧重人さんをお招きし、23名の参加者を集めて開催された。その概要を報告する。

1 子どもの権利条約の批准とその実現状況

(1)条約批准後の状況

 子どもの権利条約が国連で全会一致により採択されて以降、日本では条約の早期・完全批准を求めている取り組みがなされた。専門家やNGO等は、条約の求める内容で立法するとともに、条約に反する法律の廃止、さらに制度の構築等が必要であることを個別具体的に指摘した。例えば『解説 子どもの権利条約』(日本評論社)という本にその詳細がまとめられている。
 子どもの権利条約の批准時、「児童」とするか「子ども」とするか議論があった。国際的には1970年代から1980年代にかけて、「子ども」は保護の対象から権利の主体へと認識が発展し、これを受けて、条約の訳語においてもそれに対応した概念として「子ども」という語を使うことを求めていたが、結局「児童」とされてしまった。ただし、広報普及においては「子どもの権利条約」でもよいとされた。
 子どもの権利条約42条には、この条約の趣旨を子どもにもおとなにも徹底することが定められている。そうしなければ条約は実現しないという趣旨だが、当時の文部省は、「条約によって立法や制度は変わらない」「児童・生徒に関する規則等は学校が決めること」「日の丸・君が代の取り扱いも変えない」旨の通知を発出した。さらにリーフレットを100万部作成したが、権利に伴う義務を強調するとともに、条約は途上国向けであることをアピールした。

(2)条約の20年-法を中心に

 条約批准後の20年間で、児童ポルノの禁止、虐待防止、児童福祉法改正、子ども・若者育成支援法など、一定程度条約を反映した立法・改正はなされてきた。家事事件手続法においては、離婚時などに子どもの意見を聴くよう定められている。なかでも、子ども・若者育成支援法は、子どもの権利条約に言及があり、子ども・若者施策の策定においては子ども・若者の意見を反映するよう規定され、その法律の下で子どもの権利の視点を含んだ「子ども・若者ビジョン」が策定され、「白書」も作成されている。ただ現在、条約の趣旨とは異なる「青少年健全育成法」も提言されており、今後の状況に注目しておくことが必要である。
 その一方で、教育基本法が2006年に全面改定された。教育基本法は、1947年、憲法に則って教育を権利として保障するために制定されたが、2006年の改定では、国民をコントロールするための法律にその基本的性格が変えられた。例えば、改定後の教育基本法2条の各項目において、それぞれ「態度を養うこと」が書き込まれているが、このような目標を法律に規定することには大いに疑問がある。
 また、少年法も2000年に厳罰化、刑事司法化の方向で改定された。改定前は、子どもの権利条約37条および40条等に即したかたちで機能していたが、厳罰化・刑事裁判化がすすめられた結果として、条約の規定とはかけ離れてしまっている。
 いじめ防止対策推進法についても、いじめる側といじめられる側の単純な対立構造のもと、いじめる側には厳罰をというような基本的枠組みになっており、子どもの権利の視点や方法が欠如していると言わざるを得ない。
 本来、子どもや教育関係の法律は、憲法と条約の双方に適合的でなければならない。教育基本法も同様に、適合的な解釈・運用が求められるはずだ。また、教師の教育の自由も、子どもの権利の観点から構築し直す必要がある。

(3)自治体における取り組み

 条約の実施という点では、自治体レベルの条例の制定や計画の策定に進展が見られる。子どもの権利を総合的に保障しようとする条例を制定している自治体は、川崎市をはじめ多治見市、豊田市、目黒区、世田谷区、札幌市など、40自治体に及ぶ。また、子どものSOSを公的第三者機関が受け止め救済にあたる仕組みとしての「子どもオンブズパーソン制度」を設けている自治体も30程度ある。この「子どもオンブズパーソン制度」は、調査・勧告・制度改善提言等をする権限を持ち、子ども固有の権利救済機能を果たしている。この自治体レベルの取り組みは着実に進展しているといえ、条約の実践事例を紹介する際にも、国外の事例ではなく、自治体の事例で説明ができるようになっている。

(4)世論の動向

 もっとも、世論では、子どもの権利を強調すると、「わがままになる」「義務を教えるべき」などの声がなお根強い。子どもの権利について知り、考え、行動する機会が圧倒的に少ない状況である。
 しかしながら、「人権を守る」ことが社会の基本ルールであり、子どもの権利に対応するのはむしろ、国や自治体あるいは親等による子どもの権利を保障する義務である。そのことは、憲法で保障されている人権が憲法上の「義務」と対応しないことからもわかるであろう。わたしたちは、お互いの権利を尊重するから自由でいられるのである。子どもの権利・義務の問題は、他の人の権利を尊重しながら自分の権利を行使できるようになるスキル、お互いの権利がぶつかったときに調整できるスキルを身につけることが必要である、と考えるべきだろう。
 子どもの権利の基本はいのちの権利、そして成長・発達にかかわる権利である。子どもが本来持っている権利を、おとなの無理解や無関心で奪ってはならない。感情論ではなく、リアリティを持った議論、具体的な場面での議論が大切である。
 子どもの状況、子どもを取り巻く状況はこの20年間でむしろ悪化しているといえる。危機感は増しているが、悲観はしていない。

2 条約の意義と内容の再確認

(1)条約の位置づけと内容

 子どもの権利条約の実施・普及においては、条約についての認識を共有することが重要である。
 まず、子どもの権利はもともと子どもの現実から出発していることに留意する必要がある。国際的な子どもの権利の取り組みは、子どもを戦争・紛争の犠牲者にしないという決意と取り組みから始まった。また、日本では、「貧困」に対する取り組みを中心に始まったといえる。子どもの権利は、21世紀の国際社会および日本社会の子どもをめぐる現実からしても、必要かつ重要な考え方・視点である。
 条約は、子どもの権利保障についての世界共通基準・グローバルスタンダードであるという認識が必要である。
 そして法的な位置としては、日本国憲法よりは下位にあるが、法律よりは上位の規範である。しかも、条約の規定は国会・政府によって変更できないし、国際社会における条約の受け入れ状況からしても批准の撤回は無理である。条約に反する法律や行政は変えなければならない、国会は条約が求める立法を制定する、行政は条約を実施する義務を負う、裁判所は条約を裁判規範として援用しなければならないのである。また、国際的には、自治体もローカルガバメントとして条約実施の「主体」である。子どもに関連する法令は、条約と「適合的に」解釈・運用されなければならない。
 条約の内容上では、子ども観、とくに子どもを権利の享有・行使の主体として捉えていること、差別の禁止・子どもの最善の利益・いのちの権利・子どもの意見の尊重を一般原則にしていること、子どもが人間として成長・自立していく上で必要な権利を総合的に保障していることなど、子どもにかかわる立法・行政・司法あるいは取り組み等に活かせる、活かすべきものになっている。
 また、市民社会においても、子どもに対する向き合い方、活動の在り方を示す社会規範としての意義を持つ。
 さらに条約の実施については、国連・子どもの権利委員会等による国際的チェックを受ける。条約の解釈・運用は、条約が設置した国連・子どもの権利委員会の、とくに一般的意見や総括所見を踏まえて行なうことが求められるのである。
 わたしたちは、これまでの取り組みや活動をもとに、条約を理念にとどめず、具体的かつ実践的に理解し、共通認識にしていくことが大切である。

(2)条約の子ども観と基本原則

 条約を理解する上でとくに大切なこととしては、条約は生まれる環境を選べない子どもが一人の人間として成長・自立していくために必要な権利を含んでいる点である。また、条約は理想を定めているのではなく、現実の子どもの問題を権利の視点で解決していく。したがって、条約は「開発途上国むけ」という認識は制定過程、規定内容、実施状況からして誤りである。
 条約は、これまでの子どもを専ら保護の対象としてきた考え方を転換し、子どもを独立した人格と尊厳を持つ権利の享有・行使主体としている。「子どもだから」「心身ともに発展途上にある」として子どもの市民的権利等を制限することは、かえって子どもの成長や自立を妨げると考えている。また、条約は、子どもをおとなと同じように取り扱うことを求めているのではなく、子ども期にふさわしい、より手厚い権利保障を要請している。
条約の一般原則は次の4つである。この原則に基づいて条約全体を解釈・運用することが求められている。

・2条:差別の禁止
 民族的出身や障害も含んでおり、規定は手厚い。差別にもきちんと対処し、不平等な状態を平等な状態にすることが目指されている。

・3条:子どもの最善の利益
 原文では「best interest of the child」。子どもにかかわるあらゆる活動において、子どもにとってもっともよいことを基準におくとしている。この規定は12条と密接不可分な関係にある。

・6条:子どもの命の権利
 いのちを得て、生存(survival)・発達する権利。

・12条:子どもの意見の尊重
 これらの一般原則をもとに、条約は総合的に(医療・健康・福祉・教育・文化・労働・社会環境・少年司法等)、継続的に(生まれてから18歳まで)、そして重層的に(家庭・学校・施設/市民社会/自治体・国/国際社会、そして子どもを支援する人たちに対する支援を含む)権利保障に取り組むことが求めている。
 条約の適用にあたっては、「自国籍」の子ども、自国社会で生活する多様な文化的背景・国籍を持つ子ども、国外の子ども、いずれの権利保障も大切である。「恩恵的な・チャリティ的な」国際協力から「権利保障」としての国際協力が必要である。

3 国連・子どもの権利委員会の勧告と日本

(1)日本報告審査

 日本国は、1994年に批准した後、国連・子どもの権利委員会において、1996年に第1回目の審査、2001年に第2回目の審査、2008年に第3回目の審査があった。次回は、2016年5月までに、第4回・第5回目審査の統合報告書を提出することになっている。
 政府報告書は、他の人権条約と同様に、総じて次のような問題点がある。①定期的報告制度を活用し、条約を効果的に実施しようとする基本的な姿勢が見られない。②委員会の総括所見に誠実に応答していない(このことは第2回・第3回総括所見でも指摘されている)。③条約に関する基本的理解が不十分である。④「子どもの権利基盤アプローチ」がふまえられていない。⑤法制度の説明が多い一方で、重要なデータが欠落しており、子どもたちの実態や施策の効果が見えない。⑥自治体の取り組みを活かそうという視点がない、などである。政府報告書の内容や審査の対応等を見ると、条約を真面目に活かそうという姿勢が十分に見られない。
 それに対して、NGOレポートでは、①政府報告書の問題点(「総括所見」の「懸念」に該当する部分)、②権利侵害等の実態とその背景・要因、③政府・国に対する提言(「総括所見」の「勧告」に該当する部分)、について簡潔に提示してきた。
 国連・子どもの権利委員会の委員のレベルは必ずしも高いとは言えず、またレポートもたくさん出されペーパーワークも非常に多いため、NGOはレポートを出すだけでなく、ジュネーブでしっかりとロビイングをする必要がある。また、勧告が出されたら、政府(各省庁)へ履行の組織的な対応を含め実施に向け具体的な施策・措置を求めるなど、しっかりとフォローアップし実現にかかわっていく必要がある。

(2)第3回総括所見(括弧内はパラグラフ番号)

 第3回総括所見において、「懸念」よりも強く「遺憾」に思われている事項は、留保の撤回(9)、独立した監視機構(17)、企業セクターに関する情報(27)、保健サービス(62)、少年司法(84)等である。また、「強く勧告」されている事項は、権利の包括的な法律(12)、資源配分(20)、体罰の法禁(48)である。
 また、これまでよりも踏み込んだ詳細あるいは具体的な勧告内容としては、出生登録・国籍(45・46)、体罰をはじめとする子どもへの暴力の禁止・防止(47~49)、子どもの代替的養護(52~55)、障がいのある子ども(58~61)、少年司法(83~85)などがある。「子どもの貧困」・格差および家庭環境の問題に焦点が当てられたことも特徴の一つである。
 国家的な行動計画(15・16)、資源配分(19・20)、データ収集(21)、家庭環境(50・51)、メンタルヘルス(60・61)、十分な生活水準に対する権利/子どもの扶養料の回復(66~69)、マイノリティ・先住民族の子ども(86・87)など。

 総括所見の実施に向けて、総論的にいえば、以下のような点が必要である。
・子どもの権利に関する包括的な法律の制定(11・12)
・子ども施策を効果的かつ総合的に調整・推進するための政府組織の設置(13・14)
・条約のすべての分野を網羅した子どものための国家的な行動計画を、自治体・市民社会および子どもを含む関係パートナーと協議・協力をしながら策定・実施すること(15・16)
・条約の効果的な実施を促進あるいは監視する体制、および子どもの権利救済のための独立した機関の設置(17・18)
・子どもの権利を実現する国の義務を満たせる配分が行われるようにするため、予算を子どもの権利の観点から徹底的に検討すること(19・20)
・子どもの実態および子ども施策・活動に関するデータを条約が対象とするすべての分野で適切かつ的確に収集し蓄積すること(21・22)
・子どもおよび子どもにかかわる活動をしている者に対する広報・研修・意識啓発(パラ23・24)
・今回の総括所見を誠実に履行し、条約の効果的な実施を推進するための国会、政府のシステムづくり、さらにNPOや専門家との協働をすすめること(パラ25・26)。

 第3回総括所見で指摘されたように、これまでの日本政府は、2回の総括所見に対し、誠実に応答しているとはいえないし、実際にその多くを実施していないと見られている。第4回目の総括所見も同じような道をたどることのないよう、日本政府は国会議員やNGOを含めて審査や総括所見のフォローアップシステムを構築すること、そのうえで第4回~5回統合報告書の作成・提出や審査での対応が求められている。

4 おわりにかえて

 NGOとしては、これまでの取り組みの「効果・成果」を形にしていくことが重要である。活動によって実現したこと、あるいは、よりマイナスになる事態をくい止めていることや防いでいることなどについて、ことばや文字にして、共有することが大切である。課題を挙げていくことも大事だが、一方できりがないことも事実なので、「効果・成果」の共有が大切である。
 そのためにも、子どもの権利条約の内容・意義を改めて確認して普及していくことが求められている。理想と現実に差があるからこそ、子どもの権利という視点が必要で、例えばおとなと子どもという関係などにおいても自覚的であることが要請される。子どもの権利は子どものエンパワメントにもつながっていく。
 また、条約を「法規範」にしていくことが必要である。条約は立法をどのように拘束するか、どう法律の条約適合性を判断していくかなどを慣行化し、立法上はどうなったら実現したと言えるのか、提示することが求められる。政府・行政に対しても、どうすることが条約上の義務を果たすことになるのかを示す必要がある。裁判においても、条約を持ち込み、いっそう効果的に活用していくことも必要である。とりわけ、総括所見の持つ意味を明らかにし、具体化していかなければならない。
 条約第41条(既存の権利の確保)等もふまえ、憲法を含む国内法と批准した人権条約等を総合的に検討して、最も有効な子どもの権利保障体系を構築することが理論的にも実務の上でも求められている。
 これらのためには、NGOとしても、声を出して動き、ネットワークを形づくっていく必要がある。
 
 

2015年12月25日金曜日

「国連・人権勧告の実現を!」実行委員会のリーフレットを作成しました!

「国連・人権勧告の実現を!」実行委員会のリーフレットを作成しました!

 「国連・人権勧告の実現を!」実行委員会では、国連による日本政府に対する人権勧告や、実行委員会の活動を紹介したリーフレットを作成しました。わかりやすくコンパクトに、現状をまとめています。

*ダウンロードはこちらからどうぞ!

(表面)

(裏面)

 リーフレットの配布にご協力いただける方は、実行委員会から必要部数をお送りいたしますので、ぜひともお知らせくださいませ。


2015年12月20日日曜日

12・5 国連・人権勧告の実現を! 集会での発言

12・5 国連・人権勧告の実現を!
集会での発言

【特別報告】

・国連・表現の自由特別報告者の来日問題について
  藤田早苗さん(英国エセックス大学人権センターフェロー)

【集会発言】

・「国内人権機関と個人通報制度について」
  伊藤和子さん(弁護士/ヒューマンライツ・ナウ事務局長)

・「人種差別撤廃基本法制定に向けて」
   師岡康子さん(弁護士/外国人人権法連絡会)

・「安倍政権の国連人権勧告は守る義務なし」問題 
  寺中誠さん(東京経済大学教員)

【テーマ別アピール】

・沖縄・辺野古の問題
  青木初子さん(沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック)

・原発再稼働・放射能と子どもの問題
  黒田節子さん(原発いらない福島の女たち)

・リプロダクティブヘルス・ライツの危機的状況
  西山千恵子さん(大学非常勤講師)

・「高校無償化」制度からの朝鮮学校除外問題について
  金奈奈さん(朝鮮大学校学生)

・精神障害者が直面する問題
  山本眞理さん(全国「精神病」者集団会員)
        (世界精神医療ユーザー・サバイバーネットワーク(WNUSP)理事)

・教育現場への政治介入
  新井史子さん(東京・教育の自由裁判をすすめる会)

=====

・国連・表現の自由特別報告者の来日問題について
  藤田早苗さん(英国エセックス大学人権センターフェロー)

 こんにちは。イギリスから一時帰国中の藤田早苗と申します。
 本来でしたら今ごろは国連「表現の自由」に関する特別報告者のデビット・ケイさんが今週火曜日1日から8日まで調査をしているはずだったんですね。私はずっとその準備に携わって、日本調査の際にはアテンドをし、また時間外通訳などもお手伝いするつもりで帰ってくる予定だったのですが、皆さんご存知のように日本政府はこのケイさんの公式訪問を、日程の調整が不可能であると訪問予定直前に突然キャンセルしました。公式訪問予定2週間前のドタキャンでした。
 国連人権理事会には41のテーマで特別報告者制度が許されています。そこに通報制度があります。2年前、日本で秘密保護法が重大問題として盛り上がっていた時、私も秘密保護法の危険性を通報制度を利用して英訳して伝えたのです。デビッド・ケイさんの前任者であるフランク・エルードさんが担当者でしたが、この危険性を理解し、声明として日本政府に対して発表しました。これに対して、安倍さんは、「国連の方はだいぶ勘違いされているようですね」と国会でいわれたそうですね。さらに昨年7月にも人権理事会では、秘密保護法がかなりあいまいであり危険であると警告しています。
 こういったいきさつをすべて受け継いで、デッド・ケイさんは調査されようと準備していました。日本の報道の自由の自由度が、それまで世界で11位だったのが51位に大きく順位を下げていることもよくご存知です。
 人権理事会ではNGOがステートメントを発表できる時間があります。特に表現の自由に関しては世界中多くの国で関心が高く、たくさんの人たちがこのステートメントを発表する時間を欲しがる、読みたがるのですがなかなかできないのです。いつも、時間が無くなって短く切ってください、などといわれるのですが、そんな中にあって日本の状況は大変関心を持たれているわけです。ジャーナリストが拷問にあってひどい状態に置かれたり活動が許されないでいる国があるなど、たくさんの国に関与を求められている中で、あえて日本を調査対象に選んでいただいたのです。これは正式に7月に日本政府に要請があり、8月には政府は暫定的にOKの返事をだし、10月に正式にOKを出しているわけです。その矢先のキャンセルですから、ケイさんもがっかりされて、失望したと言われました。ケイさんはカリフォルニア大学の教授の仕事をされながら、国連でボランティアでやっていらっしゃる方です。
 政府は日本の、報道・表現の自由に問題があると公言したようなものです。公式訪問できるのは年に2か国ほどで、ドタキャンは他の調査を希望している国にも大変迷惑を及ぼしています。せっかく日本を優先してくださっていたというのに。
 先日ヒューマンライツナウの伊藤さんたちが、人権人道大使と面談されて、今回のキャンセルについて誰との調整が難しかったのか聞いたのですが、教えてくれなかったそうです。別に何十人にもあう必要はないのです。それが調整できないというとんでもないいいわけです。今後も惜しみなく協力すると言われたそうですが、調査の日程設定を早くするべきです。政府の都合で延期したのですから積極的に調整するべきなのに、明確な返事はない。政府が協力しなければこの調査は実現不可能なのです。
 先日、オーストリアジャーナルの記者からケイさんはインタビューを受けたそうですが、日本再調査の予定については、行きたい国も他にもあるし、わからない、難しいと答えていました。
 日本政府は国際的に評価を下げました。ロンドンの国際人権団体アーティクル99が声明を出しましたが、事務局長がその中で「日本が調査を受け入れないというのはビックリした」と表明していました。私の周囲の人びとはみな、まるで日本は独裁国家のようだと反応しています。実際そうなってきているようなものです。それを自ら示してしまった。名誉挽回のためにも、早急に調査要望をするべきです。
 日本のメディアも、今朝の毎日新聞が社説に取り上げてくれていますが、まだまだ少ない。もっと大きく取り上げられるべき大問題です。市民団体の皆さん方もぜひアピールをよろしくお願いします。

=====

・「国内人権機関と個人通報制度について」
  伊藤和子さん(弁護士/ヒューマンライツ・ナウ事務局長)

 デビッド・ケイさんが来られなくなったということを聞いて、非常に驚いています。このようなドタキャンていうのは、本当に国連の人権メカニズムを軽視していることの表れではないかと思って、何としても、このようなことが繰り返されないようにしなくてはならないと思っています。
 特別報告者制度は昔からあったんですが、最近、日本に来たいという特別報告者が増えているんですよね。これは何故かというと、ひとつは、民主党政権のとき唯一実現した改革なのですが、すべての特別報告者を受け入れますという、スタンディングインビテーションというのを日本政府が出した。これで、すべての特別報告者を受け入れなくてはならなくなったということ。
 もうひとつは、日本の人権状況が非常に悪化しているということではないかと思っています。まず、メディアの報道に対する規制が強まり、言論の自由が脅かされている状況になっていると思います。国際社会も日本の人権状況に対する懸念も深まっている。そうした中で、国連の特別報告者が日本に来たがっているのですが、それに反比例して、日本政府の国連勧告に対する姿勢が非常に後ろ向き、いやむしろ敵対的なものとなっています。
 私も、ヒューマンライツ・ナウとして、福島原発事故後、健康に対する特別報告者に福島現地に行っていただいて、被災者の実情を知っていただいて、本当に重要な勧告をしていただきました。
 それから、2013年5月だったんですが、「国連特別報告者の勧告は個人見解だから従う義務はない」というのが日本政府の見解で、本当に許しがたいことだと思っています。そして、2013年6月、今度は従軍「慰安婦」の問題で、閣議決定で、「国連の人権機関、条約機関からの勧告も拘束力がないので、日本政府は従う義務はない」と言い始めてしまった。わざわざ閣議決定をして言っているという許しがたい状況です。従軍「慰安婦」に関する発言で、日本政府が国際社会のひんしゅくを買っているというのは皆さんご存知の通りだと思います。
 こうした日本政府の姿勢は憲法98条第2項の、日本政府の義務であるところの「条約の誠実遵守義務」に反することは明らかです。これは単に国連の勧告に背を向けるというだけでなく、人間の生き死に、私たち一人ひとりの人権に関わることなんですね。
 たとえば原発事故に関しては、社会権規約委員会が、既に2001年に、「原発の安全性が確保されていない、情報が公開されていない場合は、それをただすべきだ」という勧告が出ているんです。それを受けて、ちゃんと改革をしていたらですね、あの事故が起きたでしょうか。そして、あれだけの人が土地を奪われ、人生を台無しにされるようなことがあったでしょうか。
 2014年には、自由権規約の勧告が出されました。死刑囚の事件に対する情報アクセスの権利、死刑囚に証拠開示しなくてはいけないという勧告が出されました。しかし、それは実現しなかった。私の依頼者なんですが、奥西勝さん、今年の10月、証拠開示もなく、再審の権利を奪われたまま死んでしまった。
 このように、日本政府が国連の勧告を無視したままであるため、人の命や人権が奪われていくわけです。本当にこうしたことを許してはいけない。私たち一人ひとりの問題だと受け止めて欲しいと思います。
 前置きが長くなりましたが、だからこそ、国連勧告を実現するための制度が必要だということです。国連から何度も何度も指摘されている二つのシステム。ひとつは、個人通報制度ですね。多くの国が人権条約の選択議定書に批准しています。人権規約にも、女性差別撤廃条約にも選択議定書というものがあります。それに基づいて、人権侵害を受けた人は、たとえ最高裁まで行って救済されなくても、国連に対して通報できる。そして国連から、「これは人権条約違反だ」という結果をもらう。その勧告を国が尊重して、人権が回復される。そうやって、人権状況が改善した個人もいっぱいますし、国もいっぱいあるわけです。世界の多くの国がこれに批准している。モンゴルも韓国もフィリピンも批准している。しかし、アジアの中でも異例で、日本は批准していない。先進国はほとんどの国は個人通報制度を批准している。もしくは、地域の人権機構で個人通報制度というものがあるのですが、日本は本当に異例な状況で、そのようなシステムがまったく認められていない。一人ひとりの個々の人間の人権を国連に訴えて、解決してもらうことができない。これは重大な問題だと思います。2009年に民主党政権が個人通報制度を採択するという公約を出したのですが、それが実現しないまま今日に至っていますが、そもそも1970年代後半に、たとえば人権規約を採択する段階から、これは議論されていて、日本政府は少し待ちましょうと言っていて、既に40年以上が経っているわけです。
 もう一つは、1990年代にですね、人権会議で、政府から独立した国内の人権機関をつくることが提唱されて、多くの国でつくられました。ほどんどの国は人権機関を持っているのに、日本は持っていないわけです。たとえば、韓国、タイ、マレーシアにもあります。ずっと私たちが民主化を支援していた独裁国家だったミャンマー。最近、民主化されて、人権委員会がつくられました。あちこちに行って、人権状況を調査して、問題があれば改善するということを実現しているんです。日本は人権先進国だと名乗っていましたが、いつのまにか、アジアの国からも遠く遅れてしまっているわけです。
 そして一番困るのは、国際社会の人権スタンダードから日本がどんどん離れていき、ガラパゴス化してく。そういうことですね。これは単に国際社会の中で日本の地位が低下するだけでなく、一人ひとりの私たちの人権が国際基準で尊重されない、命と生活が保障されていかない、ということではないかと思います。これ以上、人権侵害がまだまだ起きていくことが懸念されますが、それを何とか食い止めていくためにも、日本政府には国連勧告を守らせなくてはならない。そして二つの制度、個人通報制度と人権機関をきちんと実現させてメカニズムを作っていかなくてはならないと思います。そうした中、私たち一人ひとりが声をあげて、メディアにも取り上げてもらって、この人権を守るということ、そして人権勧告に従い、制度を改革していくということを皆に伝えていくということが、前にも増して重要だと思います。大変な中ではありますが、一緒に頑張っていきましょう。

=====

・「人種差別撤廃基本法制定に向けて」
   師岡康子さん(弁護士/外国人人権法連絡会)

 今年5月22日、参議院に野党議員らにより人種差別撤廃施策推進法案が提出され、8月6日には審議入りしました。先の国会では採決まで行きませんでしたが、継続審議となりました。
 この法案は、第1条に人種差別撤廃条約の理念に基づき、と明記されており、人種差別撤廃条約上の義務を国と地方公共団体が実際に履行するための基本法です。政府が差別を違法と宣言し、差別の実態調査を行い、内閣府に専門家等による「人種等差別防止政策審議会」を新設し、差別撤廃にむけた方針を定め、実施状況を国会に報告するという枠組を定めたものです。
 本来、20年前、1995年に日本が人種差別撤廃条約に加盟した時点作られるべき法案です。
 条約の求めている一番基本的な義務は2条1項本文に書いてありますが、「締約国が人種差別撤廃政策をすぐに行う」ということですが、政策自体ないので、まず重大な政策であると国が認めて、ここからスタートするという本当に初歩の初歩です。
 それでも、戦後初めての日本ではじめて人種差別撤廃に正面から取り組む法案が提出され国会で議論されたこと、重要な法案だからと継続審議になったことは、大きな第一歩です。
 ヘイトスピーチがここ数年悪化したのに対し今日お集まりの皆さんなど多くの人たちが様々な場所で抗議をし、社会問題化したこと、そしてもうひとつ、今日のテーマである人権勧告、ちょうど去年の7月と8月にヘイトスピーチをはじめとする人種差別対策をしろと厳しい勧告が出されたことが大きな後押しになっています。
 しかし、人種差別撤廃委員会の勧告は、実際は2001年2010年2014年の3回だされ、骨子自体は変わらない。私は2010年審査と2014年審査に行きましたが、すでに2010年審査のときには京都朝鮮学校襲撃事件が行われるなど人種主義団体のヘイトスピーチは各地で行われていました。
 それを私たちは報告し、勧告でもヘイトスピーチに関して、
①ヘイトスピーチを禁止する法整備をすること、②現行法を効果的に実施し、加害者を処罰すること、③反レイシズムキャンペーンを行うこと、④公人の差別発言を止めるよう公務員教育を行うこと、④人種差別に特化した人権教育を行うこと
など今回と同様の勧告がでているのです。
 しかし、政府はそれを文字通り一切無視してきました。わかりやすい例としては、2010年に勧告が出されたあと、2013年1月に政府は勧告をうけて次の報告書を提出したのですが、そこでは、前回の2010年の勧告について一切ふれられていないのです。
実はこれはヘイトスピーチ対策に限定されたことでなく、勧告全体に対してです。審査の場でも委員たちは口々に怒りを表明し、2014年の勧告の冒頭
「委員会は、締約国が次回の定期報告書において本文書にふくまれるすべての勧告に答えられるよう強く勧告する」と書かれています。
 差別主義者たちの行うヘイトスピーチ自体、政府がこれまで行ってきた在日朝鮮人に対する差別政策を反映しているものと考えますが、ヘイトスピーチがここ数年で急激に悪化したことについて、国連勧告との関係でいえば、2010年の時点で勧告を行い、問題を認識していながらあえて放置し、黙認してきた政府に責任があります。
 それなのに、政府は、ヘイトスピーチをあたかも民間の差別主義者の問題に切り縮め、人種差別の禁止を宣言するというささやかな法案についてすら消極的で、自民党の一部は人権弾圧法だと反対している人すらいます。継続審議にはなりましたが、今のままでは簡単には成立しません。
 成立させられるか否かは、私たち市民の力にかかっています。現在開かれている地方議会の12月議会ではまだ各地で法整備を求める意見書が採択されつづけており、各地でとりくまれている方がたに心から敬意を表します。さらに、地方自治体での差別撤廃宣言や条例づくり、地方での差別の実態調査などなど、それぞれの場でできることはいくらでもあります。
 国が差別撤廃に取り組む義務があるのです。すでに日本はこの義務を負っていて、それをサボっているのです。その義務を果たさせるのは私たちの義務です。声を上げ、実際に行動し、ぜひ法案を成立させましょう。

=====

・沖縄・辺野古の問題
  青木初子さん(沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック)

ハイサイ グスーヨー チュイ ウガナビラ
 みなさん、こんにちは。ただ今、ご紹介頂きました沖縄一坪反戦地主会の青木です。
 皆さんご承知のように、翁長知事が国連人権理事会に行きまして沖縄辺野古の基地建設強行によって沖縄の人々の人権と自己決定権がないがしろにされているというアピールをしました。まさにその通りです。今、沖縄辺野古キャンプシュワブのゲート前でウチナンチュを含めて、日本からも外国からも多くの人々が座り込みをして基地建設を進めるなという抗議行動が展開されております。しかし、皆さん、その弾圧のためにここ東京の警視庁まで動員されて、100数十名が牙をむき出して非暴力の市民に襲いかかっています。本当に腹が立ちます。そして暴力行動がエスカレートし、けが人が出ています。5人がかりで襲い掛かり気絶するほどの乱暴を働き、肋骨にひびが入るほどの暴力をふるい、海では海上保安庁がカヌー隊を海に引き落として、海水を飲ませると言うようなことが行われています。
 私たちはこの沖縄辺野古の新基地反対の闘いは、沖縄の尊厳をかけた闘いであり、日本の民主主義を問う、そして地方自治のあり方を問うそういう闘いであると思います。10月13日、翁長知事は、前知事の埋め立て承認取り消しを行いました。その承認取り消しに対して、沖縄防衛局が私人として、法を歪曲し、行政不服審査法を使って、同じ穴のムジナの国土交通省に執行停止の申し立てを出すという不当極まりないことをやった挙句、その国土交通省が執行停止をした上に、沖縄県知事の権限を奪う代執行の手続きを始めました。そしてその裁判が今、行われています。私たちはこのような日本政府のやり方は、沖縄に対する差別であり、辺野古の新基地建設強行は沖縄の人々の人権を損なうものであり、断じて許しがたいと満空の怒りで抗議をし、その辺野古の新基地建設を阻止する闘いを多くの人々と推し進めていきます。絶対に負けない!屈しない!そのことを訴え、みなさんのご支援をお願いします。
 さらにインターネットにおける差別書き込みまで広がっています。兵庫県の6期も務めた市議会議員という公的な人間が、抗議行動をする市民に対して「機動隊の鉄板の入った靴でけり上げろ」と言うような書き込みをし、また、岐阜県の県庁職員が「バカな沖縄県民だまっていろ、我々は粛々と基地建設をすすめる。」と言う風な書き込みをしており、また2,3か月前には、明らかに米軍基地から映されたと思われる抗議行動をする市民の映像が流されました。それに対して、「モンキー」と書いてあるんです。沖縄に対する日米による差別、尊厳を踏みにじるこのようなことを、私たちは断じて許しません。先ほどの報告にありましたが、沖縄に対する差別、沖縄新基地を強行する日本政府に対する抗議行動を皆さんと共にすすめて、一人一人が、自分の職場、自分の居る場所でどうか声を上げて、私たち沖縄県民と共に新基地を作らせない声を共に共にあげていただけるよう心から訴えて私からのアピールとします。ありがとうございました。

=====

・原発再稼働・放射能と子どもの問題
  黒田節子さん(原発いらない福島の女たち)

 福島は今絶命の淵にあります。放射能汚染と被曝問題の否定、被爆者の救済施策が進み、欺瞞が横行しています。ついこの間の11月30日に第21回被爆者県民健康調査検討委員会の発表がありました。甲状腺がんがある、あるいは疑いがある子どもたちがついに151人と数えられました。これは事故当時18歳未満だけです。それ以上の上の子どもや他の病気は入っていません。福島県以外の子どもたちはどうなっているのでしょうか?少し前、北茨城市の独自の調査で3人の子どもたちが、甲状腺がんだと分かっています。
 今、はっきりわかっていること、大切なことは、不安定であるということで、放射線被曝の不安や懸念を押しつぶすのではなく、被曝を回避するためのあらゆる施策を早急に取ることです。
 被爆者は今、避難の権利、子どもたちが安全なところで教育を受ける権利などをはく奪されています。避難の解除と帰還施策が強引にあるいは巧みに進められています。福島から避難している人、あるいは子どもたちに、安全な空気、クリアな空気、生活支援、健康診断の充実とその継続が保障されなくてはなりません。これは普遍的で基本的な人権の問題であります。
 今に至る甚大な被害でありながら、なぜ原発の再稼働なんでしょうか?国も県も原子力規制委員会も全くの無責任体制で、自己の責任を擦り付け合う関係にあります。原子力規制委員会では一切、避難の審議はしないとなっています。福島をそのままにしながら、再稼働に突っ走る安倍政権は、人間の命、自然界すべての命を冒涜し、ないがしろにして、原子力マフィアにする最悪の悪徳政権です。
 福島県民は憲法25条の生存権を侵されています。生存権とは人間が人間らしく、当たり前に生きる権利です。福島県民はこの権利を奪われているのです。
 この頃、私は福島とアウシュビッツということで考えることがあります。福島は過去形ではなく、現在進行形であること、福島の悲劇は実際はいまだ全体が分からず、むしろこれから先、明らかになってくるだろうという違いはもちろんあります。では、福島に絶命はないのだろうか。それはニュースに出ていて、あるのではないかと私は考えるのです。なぜなら、安全だから福島に帰れというキャンペーンが圧倒的だからです。福島県民に不安を語れる自由はあるのだろうか?この自由はありません。人々は普通の顔をしなければ地域では暮らしにくく、孤立と分断への怖れを抱いています。アウシュビッツと同じだというとお叱りを受けるかもしれません。でも今そんなことを考えています。
 そしてアジア侵略と「慰安婦」問題、沖縄、アウシュビッツなどなどから示されていることは、厳しくても真実に向き合わない限り、本当の回復はますます遠のき、そのことによって被爆者の人間としても名誉回復と救済はいつまでもなされないということではないでしょうか。
 さて、脱原発の象徴であり続けた検察庁前のテントが、強制執行の危機にさらされています。福島も私たちもお世話になったテントが、国の暴力によって破壊されようとしています。けど私たちはきっとあきらめないし、黙ることはありません。これはもう爆発してしまったところに住む者にとって、それしかないからです。放射能はやすやすと国境を越えます。自分の国の安全だけで済むことではありません。隣人を犠牲にしてなり立つ文化というものを拒否したいです。国境を越えたネットワークで、原発はもうたくさんだ、いらないと叫ばないと、間に合わないと思っています。それぞれの違いを認め、弾力あるネットワークで、あきらめずに世論に訴え続け、共に頑張っていきましょう。行動していきましょう。   

=====

・リプロダクティブヘルス・ライツの危機的状況
  西山千恵子さん(大学非常勤講師)

「女性は最後の植民地」という言葉があります。いま、女性の身体そのものが、まさしく「子どもを産む機械」として植民地にされようとしています。
 リプロダクティブ・ヘルス・ライツとは、子どもを持つか、持たないかといった、性と生殖に関する健康が保障され、自分の身体を自分で決定する権利のことをいいます。しかし、少子化の危機が叫ばれるこの時代、自分の身体の自己決定権という、身体の安全や自由に関わる最も根本的な人権が政治によって脅かされている状況です。
 まず政治家が率先して、女性に妊娠・出産の圧力をかけています。女性を「子どもを産む機械」にたとえた元厚労大臣の発言ばかりでなく、話題になった女性議員への性差別ヤジも、「結婚したらどうか!」「産んでから」「産めないのか」と、妊娠・出産を迫る怒号ばかりでした。菅官房長官も芸能人の結婚発表に際し、「国家に貢献、たくさん産んで」と、まさに「平成版・産めよ殖やせよ」の発言をしています。
 内閣府の少子化対策として、文科省が今年高校1年生に配布した保健の副教材にも、「正しい科学」と称し、女性の妊娠する力が22歳以降、はっきりと低下するという改ざんグラフが掲載されました。この副教材は他にもデタラメなグラフがあり、教育の名のもと、インチキな数字によって、女子高校生たちを若年での妊娠・出産に誘導するものです。この傾向は全国でも広がりつつあり、安倍政権のむき出しの少子化対策の中で、リプロダクティブ・ヘルス・ライツは、危機的状況にあります。女性の非正規化・貧困化が進み、自分の身体の決定権すら確立していない状況の中では、現政権の女性活躍推進法など空疎に響くだけではないでしょうか。
 安倍総理も国会で女性議員を狙い撃ちして複数のヤジを飛ばしていました。垣間見えるのは女性への憎悪と蔑視です。男性議員たちによる女性へのヘイトスピーチを挙げればキリがありません。人権が尊重される社会を作るために男性中心の政治と政策を変えていくことがぜひとも必要です。

=====

・「高校無償化」制度からの朝鮮学校除外問題について
  金奈奈さん(朝鮮大学校学生)

 5年前の2010年4月、いわゆる「高校無償化法」が施行されました。この法律は、日本で学ぶ外国人も含む「すべての子供たち」が平等に就学支援を受けられる制度として、1945年以降、朝鮮学校に対する制度的差別を行ってきた状況下で、朝鮮学校に通う学生たちに対する支援としては画期的な内容でした。
 「高校無償化法」が施行された当時、私は高校二年生でした。このことを知ったときは、その意味が良くわかりませんでしたが、自主運営のウリハッキョに通わせるために朝早くから夜遅くまで働いてくれている、親の負担を少しでも軽く出来ると喜んだことを今でも鮮明に覚えています。
 しかしその喜びはつかの間のものでした。就学支援金の支給対象となっていた外国人学校の中で、唯一朝鮮学校に通う生徒たちだけは法律施行時には適用されず、その後も朝鮮半島情勢によって一喜一憂する日々が続き、ついに2012年、第二次安倍政権が発足したのと同時に「改悪」された省令によって朝鮮学校は適用対象外となりました。
 この間、私たちは勉強や、部活、友だちとの楽しい時間を削って街頭に立ち、署名活動を行いました。それでも何も変わることはなく、卒業していく先輩たちは口をそろえて「ごめんな、お前たちにもっと重い荷物を背負わせてしまって。高校無償化実現してやれなくて本当にごめん」と悔し涙を流しながら卒業していきました。私もその中の一人です。
 私はこのような矛盾を自分の手で変えたいと思い、朝鮮大学校へと進学しました。
 大学では先輩たちが、高校無償化適用のために何かすることができないかを考えた結果、大学生たちが文科省前で無償化適用を訴える「金曜行動」を2013年5月からスタートさせました。最初は数人から始まったこの活動が、オモニたち、日本の支援者の方たち、そして高校生たちもともに抗議の声をあげる活動になり、その年の年末には1000人を越える人たちが集まるまでになりました。
 一方、この間にも高校無償化への日本政府の態度は変わらず、ついには高校生たちを原告とした裁判を提訴するという異常な事態になりました。大阪、愛知を皮切りに、現在全国5箇所で裁判が行われています。
 高校生を法廷に立たせざるを得ない状況の前に、私たちはこの現状を世界に広く訴えかけようと、2014年7月、国連自由権規約委員会日本国審査が行われている、スイス・ジュネーブに代表を送りました。現在、人種差別撤廃委員会で2010年、2014年、社会権規約委員会で2013年に朝鮮学校を高校無償化から除外することに対する勧告が出されています。このように国際人権法に照らして違法であり、不当であるという勧告に対して、日本政府は依然として態度を変えようとはしていません。そして、私のように高校在学中にその思いを達することができず卒業していく学生が増えていくばかりです。
 私は、この活動を通じて、朝鮮高校生を高校無償化から除外するという問題は純然たる人権問題であり、これは人権後進国と揶揄される日本の人権状況を表しているものであること、この問題を解決することが日本に住む方々の人権状況を少しでも改善する活動につながると思っています。
 お集まりのみなさん!
 私たちは、朝鮮高校生に無償化が適用されるその日まで戦い続けます。
 国連人権勧告実現のために共に手を取り合い、私たちの力で勝利を勝ち取るためにがんばっていきましょう。

=====

・精神障害者が直面する問題
  山本眞理さん(全国「精神病」者集団会員)
        (世界精神医療ユーザー・サバイバーネットワーク(WNUSP)理事)

 日本の精神病院の病床数は世界一、そして平均入院日数も世界一です。
 病床数は約30万床、なんと約20万人が1年以上入院、さらに20年以上入院している方が3万6千人以上います。一方刑事施設は約定員6万5千人、無期囚は2000人もいません。日本は精神障害者を犯罪者以上に大量に長期に渡り隔離収容している国です。日本は収容所列島と言っていいのです。
 さらにメディアでは毎年入院患者への虐待が暴露され、死に至るものも告発されて今年も看護師が傷害致死で逮捕もされています。
 国連人権委員会は日本政府報告書審査のたびに、入院中心から地域での医療支援体制への転換を求め、拷問等禁止条約委員会とともに、精神病院を監視する独立した機関を求めてきました。
 しかし政府は一向に勧告に従う政策を取ろうとしていません。
 日本政府は障害者権利条約を批准しました。条約はすべての精神病院への強制入院精神障害者への強制医療の廃止を求めています。
 しかし政府のこの間の政策は強制入院を減らすどころかむしろ強制入院を増やしていく方向であり、全く逆方向の政策をとっています。実際強制入院は毎年増え続けており、新規の措置入院はこの25年間で3倍以上となっています。
 政府は、強制入院は減らないにしても、適切な医療保障であり、短期間であればむしろ精神障害者の利益となると開き直っているのです。
 さらに独房への監禁である隔離や、ベッドに体を縛り付ける身体拘束は増え続けています。
 精神障害者に対しての差別立法も相次いでいます。運転免許の取得・更新への制限、事故を起こした時の精神障害者のみに対する重罰化、秘密保護法の適正調査における精神疾患の明記などなどです。
 障害者権利条約は今までの人権条約にない、国内監視機関が条文で明記されています。
 しかし政府から独立した国内監視機関も作られていません。障害者政策委員会がその監視の役割を果たすとされていますが、そこには知的障害者も精神障害者も委員とされていません。
障害者権利条約の完全履行のためにも、今までの国連人権勧告実現のためにも、国内人権機関と選択議定書の批准は必須です。
 様々な被差別者の団体、人権団体とともに、私たち精神障害者もまた人権勧告完全実現、国内人権機関の創設、選択議定書の批准を求めて共に戦い続けたいと考えています。
 共に頑張りましょう。

=====

・教育現場への政治介入
  新井史子さん(東京・教育の自由裁判をすすめる会)

 今から12年前の2003年10月23日、東京都教育委員会は卒業式・入学式などの学校行事における国歌斉唱時の起立とピアノ伴奏を教職員に義務づけ、従わない者は処分するという通達を発しました。処分を振りかざしての国旗・国歌の強制。私たちはこれは教育の戦前回帰の始まりであり、生徒を再び戦場に送り出す道へとつながると直感し、国歌斉唱時に起立しないという不服従の道を選びました。40秒間の静かな着席のために処分を受けた教職員は2015年4月現在合計474名に達しています。
 私たちが12年前に予感し、危惧したことは予想を超えるスピードで現実となり、遂に戦争法案まで通ってしまいました。2006年の教育基本法改悪以来、教育現場への国家および地方行政の露骨な介入がものすごい勢いで進んでいます。日の丸・君が代の強制は小中高に留まることなく、今や国立大学にも及ぼうとしています。道徳も教科化されました。教科書に目を転じれば、従軍慰安婦に関する記述が消え、教科書検定では政府見解に基づく記述が強制され、侵略戦争を肯定する育鵬社や自由社の教科書の採択を有利にするための政治的な画策がなされています。自衛隊もどんどん教育現場に入り込んできており、都立高校の宿泊防災訓練では、生徒が自衛隊施設での訓練に参加させられています。彼らは日の丸・君が代強制を始めとする様々な管理強化制度の矢継ぎ早やの導入によって物言わぬ教師を作り、生徒に愛国心をすり込むことによって、戦争を受け入れる人づくりをもくろんでいるのです。
 しかし、私たちはそのような攻撃の中でも地道な闘いを続け、一定の成果を収めてきています。日の丸・君が代強制反対の各種裁判では、今年に入って地裁・高裁段階ではありますが、私たちに有利な判決が続々と出されています。
 また、私たちは裁判と平行して、2008年以来国連へもこの問題について訴えを続けてきました。2014年1月25日にこの場所で行われたこの同じ集会で、私たちの問題が自由権規約委員会の第6回日本政府審査のためのリスト・オブ・イシューに取りあげられたことをご報告しましたが、その年7月の総括所見ではそれに呼応する形で「思想・良心・宗教の自由」に関する勧告パラグラフ22が出されました。都教委や各省庁との交渉など、この勧告を生かすための活動も続けられています。私たちはさらに具体的な表現の入った懸念・勧告の獲得を目指して国連へのアピールを持続する予定です。
 様々な人権侵害と闘っているこの場に集まられた多くの方々と共に、今後とも活動を続けていきたいと思います。共に頑張りましょう。




12・5 国連・人権勧告の実現を! 集会アピール

12・5 国連・人権勧告の実現を!
集会アピール

 昨年7月、国連・自由権規約委員会は総括所見を発表し、日本に関して、ヘイト・スピーチ、死刑廃止、「慰安婦」、福島原子力災害など19項目の個別人権課題に関して評価・勧告を行いました。また8月には、人種差別撤廃委員会が総括所見を公表し、朝鮮学校の高校「無償化」排除、沖縄問題など31項目について懸念を表明、または勧告しました。それから1年以上が経過しました。日本政府はこれらの勧告を受けとめ、改善に向けて努力する義務を負っていますが、何ら責任を果たしていません。それどころか人権侵害を強めてさえいます。

 いま琉球・沖縄の人々に対し日本政府は凄まじい人権蹂躙の攻撃を行っています。安倍政権は、「辺野古に基地はつくらせない」という民意を無視し、陸・海警察権力により住民の抵抗を抑えつけ、辺野古新基地建設を強行しています。これは琉球・沖縄の「自己決定権」(国連人権規約第1条)を踏みにじるものであり、国連人種差別撤廃委員会が認めた先住民としての権利を侵害する行為です。琉球・沖縄は日本への強制併合以降、植民地主義的・同化主義的政策により幾多の苦難を強いられてきました。県民4人に一人が殺された沖縄戦、戦後27年に及んだ米軍政支配、「復帰」後の過重な基地負担など。これらの上にさらに新基地が押しつけられようとしているのです。この理不尽を許すことはできません。安倍政権は、琉球・沖縄の自己決定権を尊重し、辺野古新基地建設を直ちに中止すべきです。

 ただ安倍政権が行っている人権侵害は琉球・沖縄に対してだけではありません。
福島の原発事故被害者に対しては、避難指示解除と「帰還」政策が押しつけられています。安倍政権は、「避難指示解除準備区域」に指定した地域の避難指示解除を強行し、さらに解除地域を広げようとしています。事故は終息しておらず、被害は継続し、被曝による健康被害(小児甲状腺がん等)は拡大し続けているにもかかわらず、原発再稼働のために「フクシマ事故」を終わったことにしようとしているのです。これは自由権規約委員会の勧告を無視し、踏みにじる行為です。

 朝鮮学校の子どもたちは依然として高校「無償化」から排除されたままに置かれています。在日コリアンに対するレイシスト・排外主義者たちのヘイト・スピーチは京都朝鮮学校襲撃事件裁判最高裁判決後も続いています。そして、「人種差別撤廃基本法」は実現していません。

 日本軍「慰安婦」被害者の人権、尊厳も回復されないままです。日韓首脳会談(11月2日)で「『慰安婦』問題を早期に妥結するため交渉を加速させる」との合意がなされましたが、安倍政権は「法的責任」を否定し、「人道的」に対応すると公言しています。これは問題解決ではありません。

 安倍政権のもとで、難民認定は遅々として進みません。2014年の難民認定はわずか11人です。安倍首相は、国連総会で難民救済のために経済支援を約束しながら、「日本は難民を受け入れるのか」との質問に対して、「移民受入れより前に、女性の活躍、高齢者の活躍、出生率をあげていく」と答え、難民受け入れを拒否しました。

 安倍政権が戦争法「制定」を強行し、この国を戦争する国に変えていくなかで、自由、人権の抑圧・侵害が拡大していくことは必至です。しかし、市民はもう黙っていません。「自己決定権」に基づき、権利擁護のためにねばりづよく活動を続けています。

 私たちは、この国の人権状況を国際基準に沿って変えていくよう日本政府に求めます。そのために政府から独立した国内人権機関の設置、個人通報制度の確立を求めて運動を強めていきます。

 ナショナリズム、排外主義-「1億総活躍」のもとに人権、自由を抑圧し、平和を壊す動きに対して、私たちは立ち向かいます。世界人権宣言-国際人権法のもとに連帯を広げていきます。尊厳と人権をとりもどし、平和を実現するためにともに力を尽くしましょう!

                 2015年12月5日
          12・5 国連・人権勧告の実現を! 集会・デモ参加者一同

12・5 国連・人権勧告の実現を! 集会・デモ 国会議員のみなさまからのメッセージ

12・5 国連・人権勧告の実現を! 集会・デモ
国会議員のみなさまからのメッセージ

 12・5「国連・人権勧告の実現を!」集会・デモに当たって、国会議員のみなさまからメッセージをいただきましたので、ご紹介いたします。

・田城郁さん
・又市征治さん
・初鹿明博さん
・福島みずほさん
・高橋千鶴子さん
・小川敏夫さん
・大平喜信さん
・田村智子さん
・糸数慶子さん
・有田芳生さん
・なたにや正義さん
・神本美恵子さん
(順不同)

=====

「国連・人権勧告の実現を!」集会メッセージ

 「国連・人権勧告の実現を!」集会の開催にあたり連帯のメッセージを送ります。

 9月19日未明に、違憲の集団的自衛権を前提とした「戦争法」が立憲主義と民意を踏みにじり強行採決されました。

 「戦争法」が成立し「特定秘密保護法」等の情報統制と国民監視体制が強化され基本的人権を蹂躙する戦時体制が市民の気づかぬまま築かれています。
また、原発事故の収拾も困難を極め汚染状況の情報公開も被災者の救済も遅々として進んでいません。

 安倍政権の政治姿勢と軌を一にしたヘイトスピーチの横行、「高校無償化」からの朝鮮高校除外の民族差別も許したままです。また、障がい者や少数者に対する差別も顕在化し悪質化しています。辺野古新基地建設反対の沖縄県民への暴力的対応も重大な基本的人権の侵害で許すことはできません。

 歴史修正主義と反知性主義のアベ政権を一日も早く打倒し、人権が当たり前に尊重され自由・平等・博愛・相互扶助の日本社会を取り戻す為に共に闘いましょう。

2015年12月5日
参議院議員 田城 郁
(民主党 比例区選出)

=====

12・5「国連・人権勧告の実現を!」集会に寄せて

2015年12月5日

参議院議員 社民党幹事長  又市 征治

 12・5「国連・人権勧告の実現を!」集会にご参加の皆さんに、心からの連帯のあいさつを送らせていただきます。

 私は以前から日本政府が国連の人権勧告に無視し続けていることに、大きな憤りを覚えてきました。とくに朝鮮学校の無償化からの排除、日の丸君が代強制、福島原発事故被害者の健康問題、そして難民問題などです。

 朝鮮学校の無償化からの排除は、本来、高校教育の無償化という有意義な政策である無償化法を、新たな差別法へと転化してしいました。さらに自治体レベルでの行政からの支援についても、新たな差別が持ち込まれるようになりました。

 国連の人権勧告を無視する安倍政権には、国連の常任理事国入りどころか、人権・民主主義について語る資格はありません。力を合わせて、国連・人権勧告を実現しましょう。

=====

「12・5 国連・人権勧告の実現を!」集会へのメッセージ

 「12・5 国連・人権勧告の実現を!」集会のご盛会を、心よりお慶び申し上げます。

 国連人権勧告の実現のため日々ご活動されている実行委員会の皆様、そして本日ご参集の皆様に対して、心から敬意を表します。

 戦後最長245日間の先の通常国会で、安倍政権は立憲主義を否定し、民主主義にとって重要な手続きを蔑ろにし、安全保障関連法案を強行採決しました。

 一方、国内人権機関の設置、個人通報制度の批准や移住労働者、ヘイトスピーチ、セクシャル・マイノリティなど人権勧告の多くの課題は置き去りのままです。

 私は、衆議院議員に議席をいただいてから、自由と人権を守って公正で、格差の少ない社会を創っていく、立憲主義や三権分立を蔑ろにせず民主主義をしっかりと守っていくという政治理念のもと活動してまいりました。

 安倍政権の暴走に待ったをかけ、人権後進国というレッテル返上、国連人権勧告の実現のため、国会審議で厳しく追及してまいります。
 共にがんばりましょう。

2015年12月5日
衆議院議員 初鹿明博

=====


国連・人権勧告の実現を!連帯メッセージ

 本日の「国連・人権勧告の実現を!」にお集まりの皆さま、社民党副党首・参議院議員の福島みずほです。本日は東京を離れており、集会とデモをご一緒出来ず、とても残念です。

 国連の憂慮している日本の人権状況は、先の戦争責任の放棄・放置や社会的マイノリティの排除、原発事故の隠蔽、外国人排斥の動きの激化などますます悪化の一途を辿っています。

 そして、特定秘密保護法や戦争法の成立で、来年の参議院議員選挙後には、著しい人権の制限を内容とする自民党改憲案が国会に提出されると言われています。

 今夏の戦争法をめぐる国会前の市民の「アベ政治を許さない」「安倍総理から憲法守れ」の声は、市民の人権を制限し、弾圧し、自由と民主主義を破壊しようとしている安倍政権への、そして全体主義への抵抗と民主主義を守るための地殻変動だと感じました。

 国会でも「人種差別撤廃施策推進法案」を提出しましたが、私たちは人種や国籍による差別をはじめ、出自による差別も、障がいの有無による差別も、性的指向による差別も、経済状況による差別も、思想信条による差別もさせないための取り組みを一層強めていかなければなりません。

 本日お集まりの皆さまと共に反ファシズムの大きなうねりを作り出すために全力を尽くすことをお誓いし、連帯のメッセージと致します。
                  2015年12月5日
                  社民党副党首 参議院議員
                   福 島 み ず ほ

=====

★国連・人権勧告の実現を メッセージ

 昨年9月「女性が輝く社会に向けた国際シンポジウム」で安倍総理は、「21世紀こそ女性に対する人権の侵害のない世界に」と演説しました。私は昨年「女性活躍法案」に対する本会議質問でこのことをとりあげ、ジェンダーギャップ指数は恥ずべき状況と指摘。働く女性の2人に1人が非正規、賃金は男性の半分。働く女性の4割以上が年収200万円以下。「この事実そのものが人権を脅かす問題ではないか」と質問しました。総理は人権とは途上国の問題とでも思っていたのか。あらゆる分野で国連から勧告され、「法的拘束力がない」と無視し続けてきた、人権を語る資格なしの国なのに!

 原発事故が収束していないのに帰還を迫り、賠償と支援を打ち切る。辺野古では、国が県を訴え反対行動を実力で排除するなど、絶対にありえません。最大の人権侵害である戦争法は絶対に廃止させましょう。

 皆さんの活動に心から敬意を表し、本日の集会の成功を祈念しております。

                     2015年12月5日
                      日本共産党衆議院議員(比例東北)
                       高橋千鶴子

=====

 日頃より、人権問題に取り組んでおられる皆様方に深く敬意を表します。

 自分を大切に、同じように人も大切にという社会の基本が軽んじられていることを大変残念に思っています。

 私は、これまでに人権委員会設置法、選択的夫婦別姓を認める民法改正、ヘイトスピーチ禁止法などの法案提出に携わってきましたが、いずれも成立には至っていません。これからも成立に向けて努力致します。

 その中で、前国会で審議入りしたヘイトスピーチ禁止法は、時期通常国会では全会一致で成立させるべく、与野党協議を継続していますので、最大限の努力を致します。

 皆様方の努力が結実し、人権が完全に尊重される社会が実現するよう祈願しまして、激励のメッセージとさせて頂きます。

                           民主党参議院議員 小川敏夫

=====

 「国連・人権勧告の実現を!」にお集まりのみなさんに心からの連帯のメッセージを送ります。

 日本政府の国民の権利保護に向けた姿勢は、他の先進諸国などと比べても際立って後ろ向きであり、その下で多くの国民が苦しんでいます。労働者や女性の問題、教育や学費の問題、外国人へのヘイトスピーチの問題など、どの問題をとっても国民の権利が十分に守られているとは言えず、むしろ悪化している状態です。

 国民の権利向上のためには、日本政府に国連人権勧告に従わせ、種々の国連人権条約に批准させ、権利保護に向けた抜本的対策を取らせることが重要です。

 私も、国民の権利がしっかりと守られ生かされる社会実現のために全力を尽くす決意です。ともにがんばりましょう。

                          2015年12月5日
                        日本共産党衆議院議員  大平喜信

=====

「国連・人権勧告の実現を!」集会へのメッセージ

 「全ての人に人権と尊厳を!」と立ち上がられた皆様に、心からの敬意と連帯の思いを込めてメッセージを送ります。

 人権にかかわる条約を批准はするが、国内の施策は条約と無関係、国連の各委員会からの勧告も「法的拘束力はない」とする――このような日本政府の対応はあまりにも不誠実です。例えば、国連子どもの権利委員会は、日本における過度な競争教育が子どもの成長発達を妨げていると指摘する勧告を繰り返し行っています。日本の教育システムにも踏み込むこうした勧告に真摯に向き合ってこそ、「いじめ」「不登校」などの問題にどうとりくむかが見えてくるのではないでしょうか。

 人権にかかわる国連の勧告は、当事者をはじめ日本国内で様々な運動に取り組む方々の奮闘があってこそのものです。皆様の運動にさらに連帯し、勧告を力に、日本の政治を前に進めるため、私も力をつくしてまいります。

日本共産党 参議院議員 田村智子

=====



「国連・人権勧告の実現を!」集会への激励メッセージ

 「国連・人権勧告の実現を!」への激励と連帯のご挨拶を申し上げます。また、日頃より人権問題に取り組まれておりますことに心より敬意を表します。

 さて、日本は様々な国連の人権条約に加盟しており、条約の履行のために取った立法上、司法上、行政上の措置などについて報告書を提出しています。残念ながら、日本は締約国の責務である国内法の整備を怠っているため、各人権委員会から改善の勧告を受けています。

 憲法98条2項では、「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする」と加盟国の条約実施義務を定めており、「従う義務なし」と日本政府が主張することは許されないばかりか、人権後進国のレッテルを貼られかねません。すでに、人権委員会は締約国の責務を果たそうとしない日本政府に苛立ちを募らせています。

 これまで、沖縄、女性、子どもの人権政策に取り組んでまいりましたが、さらに、人権問題に取り組んでいく所存です。

 この集会が大きな成果をあげられますことをご期待申し上げます。
                        
参議院議員 糸数慶子  

=====

                     「表現の自由」絶対視は人間の尊厳を守れない

                                                         参議院議員    有田芳生(ありたよしふ)

 歴史的かつ現実的に意義ある集会とデモにご参加のみなさん。あいにく徳島での仕事と重なり、残念ながら参加することができません。しかし思いは共通です。ヘイトスピーチをはじめとする差別を撤廃する道は、国連の人種差別撤廃委員会が数時にわたって勧告してきた人種差別禁止法をこの日本で制定するしかありません。

 その第一歩として国会では人種差別撤廃施策推進法を制定すべく、引き続き1月からの通常国会で行動していきます。ヘイトスピーチは人間の尊厳と平等を破壊する犯罪行為です。世論をさらに高め、「表現の自由」を抽象的に強調する人間不在の誤った見解を克服し、差別撤廃のための新しい地平を切り拓いていきましょう。

=====

メッセ-ジ

 「『12.5 国連・人権勧告の実現を!』集会」にご参集の皆様、お疲れ様でござ います。日頃より皆様が様々な人権課題の改善にむけての活動にご尽力されて いることに心より敬意を表します。

 また、私 なたにや正義 にあたたかいご支援を賜っておりますことに、あ らためて感謝を申し上げます。

 さて、9 月末に閉会した国会では、集団的自衛権の行使が可能となる安保法 制が与党による強行で非民主的な数の横暴によって成立してしまいました。こ の国会での闘いはひとまず終わりましたが、この法案に効力を発揮させないよ う、とりくみを進めて参ります。当面、来年夏の参議院議員選挙に向けてとり くみを強化していくことが重要であると考えています。

 また、わが国の人権状況は劣化の一途をたどっており、国際的にも遅れてい ると言わざるを得ません。引き続き、人権侵害救済制度の確立にむけて、人権 救済機関の創設をはじめとした課題の進展へ、皆様とともにしっかりと取り組 んで参ります。

 本日ご出席の皆様の益々のご活躍とご多幸を祈念申し上げ、連帯のメッセー ジとさせて頂きます。

 ともにがんばりましょう!
2015年12月5日
参議院議員(比例代表)
なたにや正義
=====

 「国連・人権勧告の実現を!」集会開催、誠におめでとうござ います。2013 年 6 月の閣議決定からこの間、お集まりの皆さんの お取組に心から敬意を表します。

 私たちは、日本国憲法12 条「この憲法が国民に保障する自 由及び権利は国民の不断の努力によってこれを保持しなけれ ばならない」の通り、自由と権利を自覚的に行使しながら、新し い民主主義を発展させていくことができると信じています。私た ちも身を持ってこのことを子どもたちに伝えていかなければなり ません。

 本日の参加は叶いませんが、本集会が仲間とともに人権と尊 厳について語り合い、情報を共有する、実り多い議論の場となり ますことを祈念いたしております。

2015年12月5日
参議院議員 神本みえ子

12・5 国連・人権勧告の実現を! 集会・デモ 御礼・ご報告

12・5 国連・人権勧告の実現を! 集会・デモ
御礼・ご報告

 2015年12月5日(土)に行われました「国連・人権勧告の実現を!」集会・デモには、400名を超える多くの方々にご参加をいただきました。

 ご参加をいただきました方々には御礼を申し上げます。どうもありがとうございました!

 実行委員会では今後も、集会やデモ、学習会などを継続して企画・実施してまいります。ぜひともご参加・ご支援をいただければと思います。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。


2015年10月19日月曜日

12・5 国連・人権勧告の実現を! 集会・デモのお知らせ

12・5 国連・人権勧告の実現を! 集会・デモのお知らせ



 日本には、たくさんの人権課題があります。国連の条約機関からも、数多くの勧告が出されていますが、政府は「従う義務なし」として、取り組む気すらないようです。

 このままで本当によいのでしょうか。

 「国連・人権勧告の実現を!実行委員会」では、世界人権宣言を記念して制定された、世界人権デーと人権週間にあわせて、課題の解決と、国連による人権勧告の実現を求める、集会とデモを実施します。

 ひとりひとりの人権が守られる社会を実現するため、渋谷の街を歩いてみませんか。

 プラカードやのぼり旗、横断幕を始め、楽器やハンドマイクなど、何でもご自由にお持ちいただくことができます。また、ぜひお好きな服装でお越しください。国連による人権勧告の実現に向けて、みなさんの思いのたけを、存分にアピールしていただければと思います。

 多くの方のご参加をお待ちしております。

*チラシのダウンロードはこちら()からどうぞ!

日時:2015年12月5日(土) 13:15 集会スタート
                 15:00 デモ出発

会場:代々木公園野外ステージ


【特別報告】

・国連・表現の自由特別報告者の来日問題について
  藤田早苗さん(英国エセックス大学人権センターフェロー)

 日本政府は、国連表現の自由特別報告者の公式訪問の日程まで確定していたにもかかわらず、直前にドタキャンし、参議院選挙後までの延期を要請しています。特定秘密保護法やマスコミ報道への介入など国際人権の観点からの批判を恐れ、選挙への悪影響を回避するため国連における約束を破る恥ずべき行為です。

 今回の特別報告者公式訪問のために尽力されてきたイギリス在住の国際人権法研究者の藤田早苗さん(エセックス大学人権センターフェロー)が来日し、今集会で緊急アピールを行います。

【集会発言】

・「国内人権機関と個人通報制度について」
  伊藤和子さん(弁護士/ヒューマンライツ・ナウ事務局長)

・「人種差別撤廃基本法制定に向けて」
   師岡康子さん(弁護士/外国人人権法連絡会)

・「安倍政権の国連人権勧告は守る義務なし」問題 
  寺中誠さん(東京経済大学教員)


【テーマ別アピール】

・沖縄・辺野古の問題
  青木初子さん(沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック)

・原発再起動・放射能と子どもの問題
  黒田節子さん(原発いらない福島の女たち)

リプロダクティブヘルス・ライツの危機的状況
  西山千恵子さん(大学非常勤講師)

「高校無償化」制度からの朝鮮学校除外問題について
  金奈奈さん(朝鮮大学校学生)

精神障害者が直面する問題
  山本眞理さん(全国「精神病」者集団会員)
        (世界精神医療ユーザー・サバイバーネットワーク(WNUSP)理事)

教育現場への政治介入
  新井史子さん(東京・教育の自由裁判をすすめる会)
 
 
【日本政府に対する主な国連人権勧告】

・個人通報制度の批准・独立した国内人権機関の設置
・取り調べの完全可視化、代用監獄の廃止、刑事司法手続きの改善
・日本軍「慰安婦」に対する公式謝罪と人権救済
・婚外子に対する差別的法制度の撤廃
・マイノリティの子どもの教育
・女性労働者の権利・難民や移住労働者の権利
・アイヌ、沖縄の先住民族の権利
・部落差別問題
・障害者の権利、精神障害者の非自発的入院
・「特定秘密保護法」
・人種差別禁止法の制定、ヘイト・スピーチの法規制
・死刑制度廃止に向けた取り組み
・朝鮮学校への適切な財政措置
・セクシュアル・マイノリティに対する差別
・人身取引や外国人技能実習生制度
・思想、表現の自由(「君が代、日の丸」不起立者への処分問題)
・福島原発事故後の健康に関する権利
 
 
 
主催:国連・人権勧告の実現を!実行委員会

連絡先 電話:090-9804-4196(長谷川)
    メール:jinkenkankokujitsugen@gmail.com
    ブログ:http://jinkenkankokujitsugen.blogspot.jp/
    フェイスブック:https://ja-jp.facebook.com/jinkenkankokujitsugen
    ツイッター:https://twitter.com/unjinken

「12・5国連・人権勧告の実現を!」集会とデモへの賛同のお願い

「12・5国連・人権勧告の実現を!」集会とデモへの賛同のお願い


 「国連・人権勧告の実現を!実行委員会」では、様々な人権課題に取り組む個人や団体が、連帯して活動しています。日本社会の人権課題は、改善されるどころか、むしろ後退していると言っても過言ではありません。人権意識の向上のため、世論に訴えていくことが重要です。ぜひ実行委員会の活動にご賛同をいただき、デモと集会へご参加いただければと思います。

★ 賛同者・賛同団体を募集しています。賛同いただける場合は、実行委員会までお知らせください。
     メール jinkenkankokujitsugen@gmail.com
     ファックス 03-3819-0467

★ 賛同金は一口1,000円です。団体の方はできるだけ複数口でお願いします。お振込先は次の通りです。
      加入者名 国連人権勧告実現
      ゆうちょ銀行から 振込口座 00100-6-264088
      ゆうちょ銀行以外から  019支店 当座 0264088

なお、振込手数料はご負担くださいますようお願いいたします。また、当日プログラムにお名前を掲載させていただきますが、掲載を希望されない場合はその旨お知らせください。

*領収証の発行が必要な場合は、実行委員会までお知らせください。
*チラシのダウンロードはこちらからどうぞ!


=====<< 賛同者・賛同団体一覧 >>=====


●団体(2015年12月17日現在・62団体)

チマ・チョゴリ友の会
子どもと女性の人権を考える東京の会
府中緊急派遣村
国連に障がい児の権利を訴える会
奇数月刊誌「朝鮮学校のある風景」編集部

東京・教育の自由裁判をすすめる会
国際人権活動日本委員会
Anti-Racism Project(ARP)
子どもの人権埼玉ネット
朝鮮・韓国の女性と連帯する埼玉の会

外国人学校・民族学校の制度的保障を実現するネットワーク埼玉
朝鮮学校生徒を守るリボンの会
アジェンダ・プロジェクト
特定非営利活動法人レインボー・アクション
関東大震災朝鮮人虐殺の国会責任を問う会

差別・排外主義に反対する連絡会
日朝国交正常化をすすめる神奈川県民の会
東北アジア情報センター・広島
民族教育の未来を考えるネットワーク広島
辺野古リレー

かりん燈関東
個人保護条例を活かす会
全石油昭和シェル労働組合
在日韓国青年会・中央本部
「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会

「高校無償化」からの朝鮮学校排除に反対する連絡会
フォーラム平和・人権・環境
公人による性差別をなくす会
全ての学校に高校無償化を!練馬の会
「良心・表現の自由を!」声を上げる市民の会

板橋高校卒業式事件から「表現の自由」をめざす会
在日本朝鮮人人権協会
アイヌ・ラマット実行委員会
ATAAC Japan
「日の丸・君が代」の法制化と強制に反対する神奈川の会

「日の丸・君が代」強制に反対し、国連勧告実現を求める1・29院内集会実行委員会

予防訴訟をひきつぐ会

全国「精神病」者集団(JNGMDP)
杉並くらし工房
I女性会議東京都本部

全日本建設運輸連帯労働組合
なくそう戸籍と婚外子差別・交流会
心神喪失者等医療観察法(予防拘禁法)を許すな!ネットワーク
朝鮮人強制労働被害者補償立法をめざす日韓共同行動
日本友和会(JFOR)

ピースボート
東京都公立学校教職員組合
国立武蔵病院(精神)強制・隔離入院施設問題を考える会
反差別国際行動日本委員会
対話で平和を!日朝関係を考える神戸ネットワーク

部落解放同盟東京都連合会
社会福祉法人さかえの杜
憲法を愛する女性ネット
アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(wam)
アジア女性資料センター

先住民族とともに人権・共生・未来を考える会
日本キリスト教協議会 平和・核問題委員会
在日本朝鮮留学生同盟
日朝友好広島県民の会
NPO法人移住者と連帯する全国ネットワーク

憲法9条―世界へ未来へ連絡会(9条連)
東京オモニ会連絡会
 
 
●個人 (2015年12月17日現在・102名)

松野哲二
丹羽雅代
徳永恭子
石川美紀子
新井史子

荒牧重人
有賀夏紀
村松妙子
井上輝子
斎藤紀代美

賀谷恵美子
近藤徹
田中聡史
宮村博
花輪紅一郎

木村葉子
軽部哲雄
渡辺保雄
矢野秀喜
黒田恵

西中誠一郎
長谷川和男
矢野恭子
小山高澄
池田幸代

川浪寿見子
石川哲朗
長尾由美子
谷口滋
毛利勇二

森脇栄一
渡辺吉男
神尾康冶
尾澤邦子
横原由紀夫

慎民子
申嘉美
岩崎わか
外山喜久男
山城由紀江

森本孝子
池田幹子
岩木俊一
内山貴夫
大能清子

中野潤
渡辺厚子
清水孝一
輿芝豊
山内寛

小林信次
高木澄子
京極紀子
出原昌志
竹内勝子

佐野通夫
柚木康子
土井登美江
永井よし子
亀永能布子

寺尾光身
岡田良子
秋山淳子
山本眞理
孔連順

中野宣子
菅家敬子
佐藤洋史
豊田文雄
森田俊隆

野副逹司
関本克良
渡辺美奈
有村順子
池田恵理子

宮嶋美子
永山富子
林明雄
志村洋子
坂根輝吉

木村まり
木村宥子
坂内義子
新藤月子
大槻和子

小林英三
松原明
山本勉
スガノタツヤ
岡崎洋子

中野潤
堀純
山口あずさ
谷森櫻子
平田泉

斎藤せつ
榎本みつ枝
石下直子
宮下直子
くすもとみち

坂本繁夫

 
(順不同)

2015年10月9日金曜日

第14回学習会「子どもの権利条約の実施状況と課題 -第4~5回統合報告書の提出にむけて-」

第14回学習会「子どもの権利条約の実施状況と課題-第4~5回統合報告書の提出にむけて-」



   子どもの問題に取り組む際のグローバルスタンダードである子どもの権利条約を日本が批准してから20余年が経ちます。この間、子どもの育ちや子育てをめぐる状況は厳しさを増すばかりで、条約の実現にはほど遠い現実があります。

 このような条約の実施状況について、国連・子どもの権利委員会から、1998年・2004年・2010年と3回にわたり、総括所見(懸念と勧告)が出され、条約の効果的な実施に向けて優先的に取り組むべき課題が提示されています。

 しかし、他の人権条約と同様に、これらの勧告はほとんど実現していません。

 こうしたなかで、第4~5回統合報告書の提出期限(2016年5月21日)が近づいてきました。今回の学習会では、第4~5回統合報告書の提出に対応して、改めて子どもの権利条約の意義や意味を確認しながら、そして3回の総括所見の内容をふまえて、総括所見の実現(条約の効果的な実施)の課題と展望について検討します。

 これらの検討を通じて共有した課題を、政府報告書に対するNGOとしての意見の提出や政府との協議に活かしていきます。

*チラシのダウンロードはこちらからどうぞ!

○日 時:2015年10月23日(金)19時~21時

○講 師:荒牧重人さん(子どもの権利条約NGOレポート連絡会議/山梨学院大学)

○会 場:連合会館 5階 501会議室 http://rengokaikan.jp/access/
(千代田区神田駿河台3-2-11)

千代田線 新御茶ノ水駅 B3出口(徒歩0分)
丸ノ内線 淡路町駅 B3出口(B3出口まで徒歩5分)
都営新宿線 小川町駅 B3出口(B3出口まで徒歩3分)
JR中央線・総武線 御茶ノ水駅聖橋口(徒歩5分)​

○資料代:500円

主催:「国連・人権勧告の実現を!」実行委員会

連絡先(Mail): jinkenkankokujitsugen@gmail.com
Blog:      http://jinkenkankokujitsugen.blogspot.jp/
Facebook:  https://ja-jp.facebook.com/jinkenkankokujitsugen
Twitter:   https://twitter.com/unjinken

2015年9月9日水曜日

第13回学習会の報告

第13回学習会の報告

 第13回学習会は、弁護士の師岡康子さんをお迎えし、29名の参加者を集めて開催された。その概要を報告する。

・人種差別撤廃のための施策は日本政府の義務

 人種差別撤廃条約2条1項dにおいて、「いかなる差別も禁止し終了させる」と規定されているとおり、日本も同条約に加盟していることから、政府には人種差別全体への取り組みが求められている。2013年に示された国連人種差別撤廃委員会の「一般的勧告35」の3項でも、ヘイト・スピーチと闘うためには、「条約のあらゆる規範と手続きを動員すること」が求められている。

 人種差別全体への取組みについての、国際人権基準で求められている最低限の基準として、8つの要素を考えている。

1 差別に関する実態調査
2 国の政策・制度の再検討
3 平等な人権を保障する制度
4 人種差別禁止法
5 ヘイトスピーチ・ヘイトクライムの処罰
6 人種差別撤廃教育
7 国内人権機関
8 個人通報制度

 日本はこの8つのうち、ひとつの施策も実現されていない。今回の法案はこの基準を満たすための第一歩である。

・「規制法」ではなく「理念法(基本法)」

 基本法とは、参議院法制局によれば、国の基本方針・原則・準則などを明示したもので、一般の法律よりも上位にある。また、今回の法案には、強制手段となる罰則がないため、「規制法」ではない。また、人種等による差別を禁止する原則は明示しているものの、具体的にどう禁止するかについて定めていないため、「禁止法」としても不十分である。

 表現の自由との兼ね合いについても、今回法案は表現を規制するものではないため、原則として問題は生じていないと考えられる。

・人種差別撤廃施策推進法案の内容

 総則として、憲法と人種差別撤廃条約を踏まえ(1条)、国際的協調を図ること(5条)を規定。また、人種等による差別の定義として、「人種」「皮膚の色」「世系」「民族的・種族的出身」を挙げている(2条)。何人も人種等による差別を、特定の人に対してか、不特定の人に対してかを問わず、してはならないと規定(3条)。但し、特定の人に対する行為として「侮辱・嫌がらせ」が挙げられている一方、不特定の人に対しては、「不安もしくは迷惑を覚えさせる」行為とされており、差異がある。この点は修正するか、もしくはガイドラインで補われるべきだと考えている。

 また、国及び地方公共団体の責務を定め(6条)、人種差別撤廃に向けた基本方針の策定(7条)や財政上の措置(8条)、政策審議会の設置(20条)、施策の状況に関する国会への年次報告が義務づけられている(9条)。

 さらに、実態調査を義務づけており(18条)、調査を踏まえて、基本方針を策定することとされている。

・今回の法案の意義

 これまで、日本政府が何も取り組みをしてこなかった状況に対して、まず動き出す一歩になると考えられる。何より、人種等による差別が違法であると宣言することは、大変意義の大きいことと考えている。今回の法案が成立したところで、その場で人種差別をやめさせることはできないが、その大前提となる。

2015年7月30日木曜日

第13回学習会「『人種差別撤廃施策推進法案』の意義と課題」

第13回学習会「『人種差別撤廃施策推進法案』の意義と課題」

 ヘイト・スピーチをはじめとする人種、民族などに対する差別の撤廃をめざして、日本ではじめての人種差別撤廃条約を具体化するための「人種差別撤廃施策推進法案」が今国会に提出されています。

 この法案が成立した場合、どのような変化や効果が期待できるのでしょうか。また、今後の課題として、どのようなことが考えられるのでしょうか。

 これらの点について、本法案の提出に関わってこられた、弁護士の師岡康子さんに、基本的な法案の内容を踏まえながら、お話をいただきます。

人権を取り巻く活動に関わる誰もが理解しておくべき法案です。ぜひとも多くの方にご参加をいただければと思います。

*チラシのダウンロードはこちらからどうぞ!

日時 2015年8月29日(土)14時〜16時

講師 師岡康子さん(弁護士)

会場 セシオン杉並 視聴覚室(2階)
(〒166-0011 杉並区梅里1丁目22番32号)
http://www2.city.suginami.tokyo.jp/map/detail.asp?home=H04930
*東京メトロ丸ノ内線東高円寺駅下車徒歩5分または新高円寺駅下車徒歩7分

資料代 500円

主催:     「国連・人権勧告の実現を!」実行委員会

連絡先(Mail): jinkenkankokujitsugen@gmail.com
Blog:      http://jinkenkankokujitsugen.blogspot.jp/
Facebook:  https://ja-jp.facebook.com/jinkenkankokujitsugen
Twitter:   https://twitter.com/unjinken

2015年7月18日土曜日

第12回学習会の報告

第12回学習会の報告

第12回学習会の概要は次の通り。

・「世界最大の収容所大国」−最初にして、唯一の手段としての強制入院

 日本における精神障害者に対する処遇は、強制入院措置による病院収容が中心で、1960年代からずっとこの方針は変わっていない。自由権規約委員会による1979年の勧告でもすでに指摘されている。

 これは「法律によって人を監禁できる」という状況で、精神医療保健法という法律が根拠。同種の法律は各国にあるものの、医療保護の場合も措置入院の場合も、日本においては期限が定められておらず、これを「不定期拘禁」と呼んでいる。日本の精神病床の平均在院日数は300日を超え、OECDでも突出した水準になっている。

 医学的には隔離入院の効果はないとされており、医療の名のもとに、人権侵害が隠ぺいされ、正当化されているのが実際のところ。先進国では1960年代から方針転換を進めており、地域での支援が中心になっている。

 「侵襲」ということばがあり、侵入して介入するという意味だが、本人同意もなく、医療の名のもとに「侵襲」してしまうのはどういうことなのか。英語では「integrity」を侵すと言う。障害者に対する拷問であり虐待であると言える。

 2013年の拷問等禁止条約の審査では、初めて精神病者集団として、意見を提出・ロビイングをした。勧告を得ることはできたものの、適正手続きを取ることを条件として、強制入院が許容されてしまっている。精神障害者に対する一切の強制入院の廃止を求めている、障害者権利条約とは異なる状況・水準にある。

 とはいえ、そもそも日本の状況が異常であり、勧告には不満だが、それに日本政府は勧告を守ることはできないだろう。

・病院内での暴力・虐待事件

 ほぼ毎年、病院内での暴力・虐待事件が起きている。新聞沙汰になったものだけ、ピックアップしたものを資料にまとめている。障害者虐待防止法は制定されたが、学校と病院は通報義務の対象外となっている。病院の経営者団体が圧力をかけて対象外にさせたからだと言われている。

 また、都内であった病院内での事件については、加害者の看護師に対して、警察は動いておらず、また、処分も停職15日にとどまっている。被害者が障害者で、場所が病院だから、このような軽微な処分にとどまったのではないかと考えている。

 なお、虐待防止法は今年見直しの予定で、通報義務の対象として、学校と病院を含めること、また、独立した監視機関を作ることを障害者団体は求めている。

・精神科病院をめぐる構造的問題

 そもそも、日本では1960年代から精神病院は民間に任せる方針がとられてきた。1960年に設立された医療金融公庫が大きな役割を果たしていた。国が措置指定病院として指定し、お客さんとしての患者を割り当てる方針がとられていた。

 精神科病院においては、死亡による退院が年間2万人あるが、病床数自体は減っていない。退院した分、新しい人を入院させており、むしろ入院数は増えている。また、病床数は1万人あたり27床で、世界の病床数の2割が日本にあるという状況。医療観察法にしても、予定病床数を超えて作られていることも問題であろう。

 さらに、入院患者は3カ月ごとに病院を転院させられている例がある。これは最初の3カ月は診療報酬が高いことが理由。病院としては、1人の患者で400〜500万円の収入になり、医療観察法に基づいていれば、2000万円の収入になる。

 精神障害者の入院だけは聖域扱いされている。本人の利益ではなく、治安が優先されている。また、デイケア、ナイトケアと称した治療は、患者の囲い込みに使われている。地方では精神科病院が何でも引き受けており、従業員数も多い。また、特に生活保護を受給している精神科の患者は、本人の自己負担がないため、貧困ビジネス化している。

=====

参加者は28名。講演終了後も活発な質疑が行われた。

なお、さらに詳しく知りたい方は、全国「精神病者」集団のサイトもご覧ください。
http://www.jngmdp.org

2015年6月2日火曜日

第12回学習会「世界一の障害者隔離収容大国日本 ~各人権条約体はどう勧告したか~」のお知らせ

第12回学習会「世界一の障害者隔離収容大国日本 ~各人権条約体はどう勧告したか~」



 長年国連人権条約の各委員会から指摘されながら、日本の精神障害者の隔離収容実態はびくとも変わらず、むしろ強制入院の増加、屋上屋を架した医療観察法による隔離などなど、事態は悪化の一途をたどっています。

 私たち障害者の力でかちとった障害者権利条約の政府報告書提出も来年に迫っています。今のところ政府は、精神障害者に関しては全く守る気がないというしかないような資料を障害者政策委員会に出しています。

 勧告は守る義務はないという壁をどう突破していくのか、参加したみなさまとともに考えていきたいと思います。


*チラシのダウンロードはこちらからどうぞ!

○日時:2015年6月26日(金) 19:00~

○講師:山本眞理さん(全国「精神病」者集団会員、世界精神医療ユーザー・サバイバーネットワーク(WNUSP)理事)

○会場:スマイルなかの 4階 多目的室(中野駅北口より徒歩7分)
http://nakanoshakyo.com/contact_us/

○資料代:500円


主催:     「国連・人権勧告の実現を!」実行委員会

連絡先(Mail): jinkenkankokujitsugen@gmail.com
Blog:      http://jinkenkankokujitsugen.blogspot.jp/
Facebook:  https://ja-jp.facebook.com/jinkenkankokujitsugen
Twitter:   https://twitter.com/unjinken

2015年5月31日日曜日

第11回学習会の報告

第11回学習会の報告

 第11回学習会は「『女性活躍推進法』と『国家戦略特区での外国人家事支援人材の活用』―“加害者”にも“傍観者”にもないたくない」という長いタイトルで行われた。

 講師は、働く女性のセンター代表でライターの栗田隆子さん。彼女は、いつもは非正規労働者のいわゆる「当事者」として話すので、「当事者」ではない立場で話すのは初めて。この問題は周知も議論も足りず、今日はそれを皆さんと共に行いたいと前置きした。

 「国家戦略特区での外国人支援人材」という当事者は、まだ日本には存在しない。私たちのネットワークの「国連・人権勧告」の根拠となるILO「家事労働者のためのディーセント・ワークに関する条約(第189号条約、2011年6月採択)」(以下家事労働者条約という)を、日本は批准していない。未批准の条約と当事者が存在しないテーマの学習である。それを行うのは、今後の女性労働者や男女労働者、そして外国人移住労働者に深く関わる大きな課題だからである。

 栗田さんの話は、国家戦略特区による「外国人家事労働者」の導入は、「外国人だから」「女性だから」と放置される危うさがあるのではないか。外国人に家事支援させることが、日本の女性の活躍につながるのか、と始まり、女性活躍推進法と、家事労働者条約の「労働者」の基本的な違いを説明した。活躍推進法の目的は「自らの意思によって…個性と能力を十分に発揮して」であり、「家族を構成する男女が…職業と家庭生活の両立可能を旨とする」ための法である。あくまで女性労働者自らの意思でと法律の理念は統一されている。さらに男女で構成する家族が前提で、独身者や、1人親家庭、男女以外の組み合わせの家族については触れられていない。一方で条約は、労働者の「結社の自由、あらゆる形態の強制労働の禁止」を規定し、労働者としての団結の権利の保護措置を批准国に求めている。「自らの意思」という女性活躍推進法と「団結の権利」という家事労働者条約の、労働者についての基本理念の違いは大きい。日本政府はこの条約を批准する予定はあるのだろうか。

 家庭という密室での労働に、法律が機能するのか、という問題もある。サウジアラビアでは、哺乳瓶からミルクを飲んだ際誤って窒息死し、それは事故死だと訴えていたスリランカの家事労働者に、斬首刑が執行された。

 家事労働とは、そもそも家庭を営む人間が共同で生活する者として担いあうものではないのか。

 次に大きな問題として、栗田さんは30年前の悪夢のラインアップが再び来ているのでないか、と指摘した。労働の規制緩和と女性労働者の分断が始まったのは、1985年に雇用機会均等法、労働者派遣法が成立してから。それらの法律成立以前は、基本的には労働者にはすべて「労働基準法」だけが適用された。しかし均等法で正規雇用の女性労働者が、男性並みに働く女性と一般職に分断された。派遣法により、派遣労働者に対しては「雇い止め」というかたちの突然の解雇を可能にするなど、事実上労働基準法が無化され、正規雇用と非正規・派遣の労働条件の格差は広がり、女性労働者の分断は進んだ。それは女性のみならず、いまでは男性労働者にも広く及んでいる。

 そして今回の悪夢のラインアップでは、そこにさらに不安定で、低労働条件の外国人労働者を加え、さらに労働者間の格差を拡大させ、分断を進めようとしていることである。
労働者、労働運動として大切なことは「例外を絶対つくらせないこと」「外国人を例外にしないこと」と強調した。

 栗田さんの話を受け、会場からも活発な意見や報告があった。

・アジア女性資料センターは移住連とともに、ワーキングチームをつくってこの問題に取り組んでおり、福島みずほさんの質問書作成にも協力した。この法律は成立しそうだ。家事労働の内容も明確でなく、介護労働と家事労働をいっしょに派遣会社が受けいれるだろうが、その監督機関はなく、受け入れ調整機関もない。今後ロビー活動を展開し、メディアを巻き込んで、取り組んでいきたい。

・シングルマザーで長年派遣労働者として働いてきた女性は、均等法は成立時「小さく産んで、大きく育てる(まずは成立させ、後で良い法に改正させていく)」と言われたが、これだけ差別・格差を拡大した。今回の規制緩和も特区にとどまらず、日本の労働市場に進出しワーキングプアの女性がどんどん入っていくようになる。

・男性からは、息子が30歳を過ぎても自分で食べていけない状況だ。若者、子どもの貧困化が進んでいる。日本の労働者の権利、移住労働者の権利について、話し合える土壌がどんどん失われている。

・自らをUターン移住労働者と言い、23年前にペルーから日本に来て、いま南米の日系人の移住労働者の相談などをしている女性の発言は以下のようだ。労働者の送り出し国〈南米など〉と受け入れ国(日本)の賃金格差は歴然としており、働きに来たいという人は多い。当事者と支援団体のセッティングをしているが、日本の支援はパターナリズムの可哀想な人の支援で、末端の労働者とのつながりがゼロだ。そして移住労働者は、日本に居ながら日本の状況や社会問題を知らない。こういう状況を変えて、労働者としての真の対等な連帯が重要であると訴えた。

 上記以外にも意見や感想が出て、会場との意見交流も活発に行われた。課題はとても大きい。今回の学習会をきっかけに、問題の認識を深め、取り組みを広げて行かねばならない。
(まとめ 高木澄子)


2015年4月26日日曜日

第11回学習会 「女性活躍推進法」と「国家戦略特区での外国人家事支援人材の活用」“加害者”にも“傍観者”にもなりたくない!! のお知らせ

第11回学習会「女性活躍推進法」と「国家戦略特区での外国人家事支援人材の活用」
“加害者”にも“傍観者”にもなりたくない!!


 雇用形態に基づく経済格差は広がり、かつて「豊か」と見なされてきた日本社会において貧困層が確実に拡大しています。しかし、女性の活用をうたう「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」や、そのための「すべての女性が輝く政策パッケージ」にも、格差の是正・貧困の解消政策は明記されていません。

 その一方で経済成長戦略のため、国家戦略特区での外国人家事支援人材の活用がうたわれており、自治体ではその受入れをすすめようとしています。その受け入れに、第一番に名乗りをあげているのが、橋下市長の大阪です。大阪では7団体で「質問書」をだし回答を得るなど取り組みを行っています。

 「一部の日本女性が“輝く”ために、外国人の女性を“活用”するのか? 日本人女性の私は、これ以上“加害者”にも“傍観者”にもなりたくはない」と言うのは、先の質問書を出したメンバーの一員であり、今回の講師の栗田隆子さんです。彼女のお話を聞き、みんなで話し合いたいと思います。ぜひ、ご参加ください。

*チラシのダウンロードはこちらからどうぞ!

○日時: 5月10日(日) 14:00~17:00(開場13:30)

○講師: 栗田隆子さん(働く女性の全国センター代表&ライター)

○場所: スマイルなかの 4階 多目的室(中野駅北口より徒歩)
http://nakanoshakyo.com/contact_us/

○資料代: 500円

*なお、事前のお申し込みは不要です。直接会場にお越しください。


主催: 「国連・人権勧告の実現を!」実行委員会

連絡先:    jinkenkankokujitsugen@gmail.com

Blog:      http://jinkenkankokujitsugen.blogspot.jp/
Facebook:  https://ja-jp.facebook.com/jinkenkankokujitsugen
Twitter:   https://twitter.com/unjinken

第10回学習会の報告

第10回学習会の報告

10回目となる学習会は、2015年4月3日(金)東京中野にて近藤登志一さん(部落解放同盟東京都連合会書記長)を講師に開かれた。学習会は、まず部落差別と法制度の改正を中心とした反差別運動の概要から始まり、戸籍不正取得の問題を中心に話された。内容は、以下のようなものだった。

 これまで、結婚相手や就職希望者が被差別部落出身者かどうかを調べる、ということが繰り返されてきた。その時、情報源となるのが戸籍である。2008年の戸籍法改正で、戸籍が原則公開から原則非公開に転換され、本人以外による戸籍の取得は弁護士などの「8士業」に限定された。しかし、「8士業」者や調査業者による不正な目的や書類偽造による不正取得事件があとを絶たない。2011年に摘発され1万件も不正取得されていた「プライム事件」でも、首謀者の一人は 「探偵業界では戸籍の不正取得は蔓延」「明治時代から続いてきたような調査(部落問題のこと)「を求める人が多い」 という証言も出ている。また、こうした不正取得事件からは、個人情報の不正売買が全国的に行われている実態が伺われる。対策としては、大阪府では身元調査の規制条例があり、500の自治体(東京では12区)では本人への通知制度がある。

 身元調査は、依頼者があってはじめて行われるものだが、その依頼者の意識のあり方については、2014年に公表された東京都の意識調査が紹介された。

「同和地区出身者との結婚について」
http://www.metro.tokyo.jp/INET/CHOUSA/2014/04/60o48123.htm

学習会ではごく一部が紹介されたが、過去(1999年)の調査と比べた時に「子供の結婚相手が同和地区出身者であった場合の対応」では、「「子供の意志を尊重する。親が口出しすべきことではない」が9ポイント減少」し、子ども自身の「同和地区出身者との結婚に反対されたときの対応」でも、「「親の説得に全力を傾けたのちに、自分の意志を貫いて結婚する」が7ポイント減少し、「絶対に結婚しない」が5ポイント増加」している。差別意識が改善しているとはいえない状況にあるようだ。

 また、戸籍と並んで部落差別が行われる時に利用されるものとして「部落地名総鑑」といった被差別部落の一覧とされるものが存在してきた。現在でも、区役所などに「どこそこが被差別部落かどうか教えて欲しい」という問い合わせは多いという。さらに現在では、インターネット版の「部落地名総鑑」が存在し、誰でも簡単に閲覧可能な状態になっている。これは、現在でも差別意識が根強く存在していることの証であり、また、その存在自体が身元調査=部落差別を誘発する悪質なものである。

 国際人権条約との関係で言うと、日本政府は人種差別撤廃条約に部落差別問題が含まれると認めていないということだった。また、国連の「コンピュータ化された個人データ・ファイルに関するガイドライン」(1990年)の「非差別の原則」と戸籍は矛盾するのではないかという指摘があった。国内法においては、同和対策事業特別措置法が2002年に終了し、2000年には人権教育・啓発推進法が制定されたが、「人権侵害救済法」は頓挫している。

 現在、東京都では人権指針の見直しが進められており、当事者運動は連携して働きかけてきたが、まもなくパブリックコメントが行われるはずなので、その時は注目して意見を送ることが呼びかけられた。質疑応答では、自身も被差別者だという人から、もっと被差別体験を語って欲しかったという意見があった。また、本人への通知制度については日弁連の反対があるがという質問がだされ、日弁連と本人通知制度の推進に賛成する弁護士との間で話し合いが進められているとのことだった。また、東京の教育現場では、2000年の人権教育・啓発推進法のころから、個別具体的な差別について教えることができなくなったのではないか、という意見があった。

 今回の学習会は、いまはもう存在しないかのようにすら言われる部落差別について改めて知る貴重な機会となった。「どこそこが被差別部落かどうか?」を調べること自体が部落差別である、ということを改めて確認しなければならないと思った。また、部落差別には、本人が気づかないうちに出身地が調べられ、本人が知らない間に部落差別によって排除・差別される、という構図があることも学習会で指摘されたが、このことは、自分は部落差別と関係ないと思っていても、社会に部落差別が存在する限りは、誰もが知らぬ間に被害を受ける可能性があるということではないかと思った。

 次回の学習会は5月10日(日)14:00~17:00、スマイル中野(東京都中野区)4階多目的室にて、「「女性活躍推進法」と「国家戦力特区での外国人家事支援人材の活用」」をテーマに行われます(資料代500円)。どうぞご参加ください。

2015年3月18日水曜日

第10回学習会「今日の部落差別と国連勧告 ~戸籍不正取得事件を中心に~」のお知らせ


第10回学習会「今日の部落差別と国連勧告 ~戸籍不正取得事件を中心に~」



 戦争に向かう動きは、日常的な人権侵害から始まります。思想・表現の自由の侵害や、民族や国籍、出自など多様な人々のありようが否定され、画一的な人間の生き方が強制され、それに合わない人々は差別や偏見により、排除される動きが強まっていきます。

 部落差別は運動体の活動の成果によって、1969年に「同和対策事業特別措置法」が制定されてから、10年の期限を延長しつつ2002年に終了しましたが、部落差別は解消したのでしょうか。東京都の調査では依然として偏見や差別の実態が厳しいことを表しています。また、特別な専門職にのみ認められている第3者の戸籍謄本等を取得できることを悪用して、売買するような悪質な事件も多発しています。国連ではこうした状況に対して、どのような勧告を出しているのでしょうか。

 そして、今年はオリンピックを意識してなのか、14年ぶりに東京都の人権指針が見直されるといいます。
 具体的な事例をもとに、部落差別とは何か、ともに考えていきたいと思います。

*チラシのダウンロードはこちらからどうぞ!

○日時:2015年 4月3日(金) 19:00~

○講師:近藤登志一さん(部落解放同盟東京都連合会書記長)

○会場:スマイルなかの 4階 多目的室(中野駅北口より徒歩7分)
○資料代:500円


主催:     「国連・人権勧告の実現を!」実行委員会

連絡先(Mail): jinkenkankokujitsugen@gmail.com
連絡先(Tel・今回): 080-3489-5506(森本)
Twitter:   https://twitter.com/unjinken