日本政府に国連・人権勧告の実現を求めるアピール
9月3日の内閣改造で安倍首相は、過去に「民族浄化推進」等を叫ぶネオナチ、ヘイトクライムを繰り返す在特会と行動をともにしてきた者を閣僚として任命した。菅官房長官は「問題ない」と擁護する。しかし、8月、国連人種差別撤廃委員会の最終所見は、ヘイトスピーチ規制に関連して、「ヘイトスピーチの発信及び憎悪への煽動を行う公人及び政治家について、適切な制裁措置を実行する」と述べている。この閣僚は、この勧告から「自由」なのか。
7月、日本は6年ぶりに自由権規約の実施状況について審査を受けた。自由権規約委員会は日本政府報告書を審査し、代用監獄・死刑制度の廃止、「慰安婦」問題解決、ヘイトスピーチへの処罰法制化など19項目におよぶ個別人権課題について評価・勧告を行った。
続いて8月、日本は国連人種差別撤廃委員会で条約の実施状況について審査を受けた。人種差別撤廃委員会は日本政府の第7・8・9回報告書を審査し、30項目にわたって懸念・勧告を表明した。ヘイトスピーチ規制、技能実習制度の改革、「慰安婦」問題、高校無償化からの朝鮮学校排除等の問題に対する取り組みの不十分さが指摘された。とりわけ、ヘイトスピーチ、ヘイトクライム規制については、処罰立法措置をとることを義務づける人種差別撤廃条約第4条(a)(b)の留保を撤回し、差別禁止法を制定するようにとの勧告がなされた。また、自由権規約委員会に続いて、個人通報制度、国内人権機関設立が勧告・奨励された。
これらの国連人権機関の勧告は、日本が加盟国である限り遵守しなければならない。しかし、日本政府は繰り返し「法的拘束力はない」と言い、「慰安婦」問題について頑なに「性奴隷制」を否定し、「解決済」論に固執している。代用監獄制度については、この期に及んでも「リソース不足」と言って、その存続をいまだに画策している。このような日本を見て、自由権規約委員会のナイジェル・ロドリー議長は「変わらない日本」と評している。
しかし、私たちはあきらめない。在特会の京都朝鮮第一初級学校襲撃事件裁判で、京都地裁・大阪高裁は人種差別撤廃条約の諸規定に基づいて在特会の犯罪を断罪し、懲罰的賠償を命じる判決を出した。遅々としてはいるが人権確立の闘いは着実に前進している。日本軍「慰安婦」被害者に権利が回復する日、朝鮮学校に学ぶ子どもたちへの差別がなくなる日、在日コリアンがヘイトスピーチの恐怖に息を潜めて生きていかなくともすむ日、琉球の人びとが自己決定権を獲得する日、差別、権利侵害に苦しむ人びとが自由に生きていくことのできる日、その日は必ず来る。
日本政府はすべての国連・人権勧告を受け入れ、実行せよ!その日を引き寄せるために私たちは闘う。
2014年9月28日
9.28国連・人権の勧告の実現を!集会参加者一同